L'art de croire             竹下節子ブログ

フランス社会党予備選

フランス社会党の予備選も、共和党にならってか、候補が7人で、うち女性が1人だけ。

10日間で3度も公開ディベートがあるあわただしさで、1度目が12日の夜にあったが、盛り上がりはなかった。

それと並行してマクロンやメランションがミーティングで盛り上がっていた。

社会党と離れて中道左派を行って大人気の若いマクロン。
彼の周りに集まる人々が本当に投票所に出かけるのかどうかは問題だ。

社会党との共闘にうんざりして「本当の左派」を行くメランションは5年前より人気がある。

左派はこの5年間の社会党政権にうんざりしている。社会党予備選に出ている7人のうち4人までがヴァルスを含めて現政権の大臣経験者だから、予備選で勝って正式な社会党の候補になったとしても、4月末の決選投票にまで進める確率は少ない。
今の社会党は、ENA出身のエリート中心のエスタブリッシュメントが采配を振るってきたから、「民衆」から見放されている。

ここで、メランションのような「真正左派」のような受け皿に、「民衆」が向かうのならいいけれど、それがないとマリーヌ・ル・ペンのような極右に向かう。
アメリカの民主党予備選でバーニー・サンダースに希望をつないでいた人たちの票が、サンダースが敗れてからトランプに流れたことの二の舞になってもおかしくない。
実際、メランションとル・ペンの政策は重なって、この両極の二人がアンチEUと言っていい。その意味で逆に、ル・ペンの票を回収するかもしれない。

けれど、アンチEUではない「慎重で常識的な」左派は、そうするとメランションに投票することは控えるだろう。
でも社会党にはノンを突き付けたい。
かといって共和党のフィヨンには原則として投票したくない。

そこで、マクロンの登場。
しかしマクロンもついこの前までオランド政権の経済相だった。
ネオ・リベラリズム財界との相性もいい。
社会党に愛想をつかした「民衆」がマクロンなんかに投票してもいいのだろうか。

しかし、民衆がうんざりしているのは共和党・社会党にかかわらずここ20年の政権の無能さだ。

民衆が期待しているのは「変革」。
ラディカルな変革は、近代革命の旗手だったフランスのお家芸でもある。

それなら、経歴にかかわらず、わずか38歳のマクロンは、大いに「新しく」見える。

フランス革命が始まった年、ダントンが30歳でロベスピエールは31歳だった。ナポレオンは35歳で皇帝になった。マクロンはそれを意識しているし、それが伝わっている。

社会党予備選の第一回目のディベートは、かれらの間で互いを批判しない、という申し合わせがあるようで、上品だけれど覇気のないものだった。
まあ、社会党の現政権が不人気だと分かっているのだから、下手に批判すると藪蛇でもある。

番組後の視聴者アンケートではヴァルス、モンブール、アモンの三人が有力とか。

この3人を見てフランスっぽいと思うのは、プライベートだ。

ヴァルスがスペイン生まれでフランスに帰化していて、連れ合いは有名なヴァイオリニストだ。

モントブールは女性にもてて、最初の妻が貴族。他に女優、ジャーナリスト、元大臣などの女性と関わっている。

アモンの連れ合いはデンマークとカタルーニャのハーフのエリートで、高級ブランド・グループLVMHで要職についている。

アメリカならヴァルスなど大統領選に出る資格もない。他の候補もいろいろ言われそうだ。

ヴァルスの攻撃的な雰囲気は今やサルコジを彷彿とさせるし、アモンは大統領という雰囲気ではない。

「見た目」だけで言うとヴァンサン・ペイヨンが一番「大学教授風」の品格で、こういう人が、軍事と外交と共和国の統合という本来の大統領ポストを守って、内政はもっと民主的なシステムにすればいいんじゃないかと思ってしまう。

ともかく「社会党」は、右をマクロンに左をメランションにはさまれて、今の政権政党だというのに、冷ややかに見られている。

本選でマクロンが選ばれればまさにマーケティングの勝利だなあと思う。
今の時代の「若さ至上主義」もベースにあるかもしれない。

ともかく、来週の今頃は、社会党予備選の決選投票に出る2人が決まっている。
その2人のディベートには少しまともに耳を傾けるつもりだ。
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by mariastella | 2017-01-15 02:09 | フランス
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