L'art de croire             竹下節子ブログ

アマゾンのバロック音楽

先日パレスティナの女性によるコーラスに感動してリンクをはったので、次に、アマゾンのバロック音楽祭についてもリンクをはろうと思ったのだけれど、ぴったりのものがない。

とりあえずこの画像を見てください

たいしたインフラもないところで、インディオの少年少女、青年たちが教会で毎日数時間も楽器の練習をしている。3歳から参加する子供もいるという。

ボリビアのサンタ・クルス県のアマゾンの近く、すごく奥地みたいなチキスト地方に、17世紀末にスペインから来たイエズス会士たちが、チェンバロ、バイオリン、ビオラ、チェロを持ってきて、修理や制作のノウハウも伝え、ヨーロッパのバロック音楽の楽譜だけではなく、現地でインディオの作品も含めて12000曲を残したという。

このチキスト地方のイエズス会伝道所群というのは1990年に国連の世界遺産に指定され、1996年から2年ごとにルネサンス・バロック音楽祭が開催されている。

中南米のカトリック文化はバロック真っ最中で、建築、彫刻、絵画、装飾もみなすばらしい。プロテスタントの宗教改革があった後のカトリックが、それまで「神に捧げていたアート」を、人々への宣教のために信仰を可視化するアートに転換させたからだ。

イエズス会がやってきて布教というと、

「帝国主義、植民地主義による侵略に便乗、またはその手先」

などと言う人がいるが、例えばこのボリビアのイエズス会士たちは、ひたすら現地の人の福祉のために投資した。

それが植民地主義の搾取とほど遠いことは、このイエズス会士たちが、その後、この地域を自分の勢力下におこうとしたスペイン国王によって追放されたことからも明らかだ。

日本に来た宣教師たちも、音楽、演劇、印刷術などを伝えた。
日本の場合はすでにインフラが発達していて、建築技術も卓越していたから、ボリビアよりも音楽や演劇の割合が高かったかもしれない。
少年のみによる復活祭の野外劇やさまざまなショーの要素を含んだ行列が、「新しい文化」への好奇心を掻き立てた。出雲の阿国がイエズス会劇に遭遇した可能性も大いにある。

ルネサンス音楽やバロック音楽は、後の「西洋近代音楽」と違って、日本の伝統音楽や芸能と相性がいい。産業化以前のアートだからだ。

このことについて、サラバンドとメキシコの関係を前に書いたことがある。サイトのこの部分の 『サラバンドの起源』を見てほしい。

今の時代のイメージでは、素人がバイオリンやチェロでバロック音楽合奏するなんて、スノッブな印象か時代遅れな感じだけれど、バロック音楽はメキシコにもアマゾンにもよく似合うのだ。できればボリビアの子供たちにもバロック・バレーも伝わっていてほしかった。

子供に音楽を禁じるイスラム過激派のひどさをあらためて思う。
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by mariastella | 2017-01-22 00:33 | 音楽
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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