朝のラジオで、ドイツの新聞のパリ特派員というジャーナリストが、あと十日を切ったフランス大統領選についてのインタビューを受けていて、興味深いことを言っていた。
フランスにあってドイツにないのは民主主義の代替案としての共産主義なのだという。
ドイツは東西分断の後、社会主義の東ドイツ(ソ連型ではなかったが事実上ドイツ社会主義統一党の寡頭政治だった)を吸収したこともあって、「共産主義」はトラウマになっていてもう「政権交代」の選択肢にないという。
そういえば、アメリカもマッカーシズムの共産党狩りがあったし、占領下の日本でもレッドバージがあった。戦前戦中の全体主義下ではもちろん迫害されていた。
その後、戦後の復興や、冷戦終結とともに、新自由主義の独り勝ちになって日本でも社会党は社会民主党になったし、共産党はスティグマを背負ったままだ。
フランスでも、共産党は長い間独自の大統領候補を立ててきたが、21世紀に入ってから弱小化して、2007年から、「左派戦線」のもとでの大統領候補の支援をしてきたり社会党と共闘したりしている。今の極左候補は社会党を2007年に離れて独自の左派党を作ったジャン=リュック・メランションだが、ここにきて共産党からコンタクトされているそうだ。
今回ル・ペンとメランションの対決などになったら、どちらもEU離脱志向なので大変だ。
極右ポピュリズムと極左ポピュリズムの対決になるなら、ほんとうにフランスの保守と革新の政権交代システムが変化してしまう。
私は今から秋までに「神、金、革命(共産主義)」という三つの普遍主義もどき、普遍主義的偶像崇拝システムの歴史と実態の観察をまとめる予定なのだが、この三つとポピュリズムとの関係についてもじっくり考えなくてはならない。
「神」も「共産党」もなくなったら「金」の独裁になるのかなあ。
そして民主主義は金の苗床をから栄養を得ているのだろうか。
神、金、革命が、民主主義とポピュリズムとどういう関係を持っているのかをもう少し分析しなくてはならない。