大統領選3日前のシャンゼリゼでのテロ、誰もが、2004年のマドリードの列車爆破テロのことを思い出す。あれも総選挙の3日前だった。(スペインは王国だから大統領がいなくて、日本やイギリスのように総選挙の結果で政権が決まる)
テロの後すぐに当時の保守政権がそれはバスク独立派のテロだという見解を出したが、選挙当日の朝にアルカイダが声明を発表し、スペインがアメリカに従ってイラクに派兵したことを断罪された。
政府がバスクに責任転嫁しようとしたのも意図的だと見なされて、結局、選挙では左派が勝利して、スペインはイラクからも撤退した。
この展開に対して、それではイスラム過激派のテロの思うつぼになったのだと批判した人たちも多くいる。
今回のシャンゼリゼのテロの警官狙撃犯は39歳で、23歳の時にも警官殺しをしていて、釈放されてからもまた警官をねらった要注意人物だったという。昔から警察への憎悪があるわけで、大統領選に向けたISの煽りに乗った形だ。
シャンゼリゼはパリでも最も警戒が厳しい地区で、言い換えれば、その気になれば警官も憲兵も兵士もぞろぞろいるので彼らを標的にするのは簡単だ。
今の警官は対テロ仕様になっているから、すぐに射殺される率は高いけれど、もともと警官を殺すことが強迫観念になっているような人物のようだからそれは抑止力にならないのだろう。
ル・ペンはもちろん、自分が大統領であればこんなことは起こらない、とコメントした。金曜が最後のキャンペーンの日なので、各候補はこのテロに対する声明をいろいろ工夫せねばならなかった。
候補者の最年少のマクロンは39歳で今回の狙撃犯と同じ年齢だ。
狙撃犯のカリム某は、パリ郊外生まれで、家宅捜査されたうちもパリ郊外だ。詳しいことは分からないが、おそらくいわゆる「イスラム系移民の子弟」なのだろう。
39歳。
リセのフランス語教師と結婚して銀行家として成功し、大統領の顧問となり、財務大臣にもなり、そのポストを辞めて大統領選に立候補し、ナポレオン風にカリスマ性を発揮しているマクロン。
20代から警官殺しが頭から離れないカリム某。
イスラム過激派と接触したのはご多聞に漏れず刑務所内なのだろう。
何だか反動でマクロンを応援したくなった。
ブノワ・アモンが大麻を合法化すると言っていることもしっくりこない。
39歳でも、大統領になろうとする人がいる。
多くの人に多くの希望を与えて多くの期待を担おうとする人がいる。
青年には大志を抱いてほしい。
テロリストになって天国に行こうなんて自分本位のことを考えないでほしい。
国や、世界や地球のために何ができるか考えることだってできるのだ。