L'art de croire             竹下節子ブログ

マクロンとル・ペン

大統領選の第一回の投票で、大方の予想通り、ル・ペン女史とマクロンが2週間後の決選投票に進出。

最近のメランションの支持率増加は、実はル・ペンに向かっていたポピュリズム票がメランションに流れる傾向の表れかもしれないから、極右と極左が引っ張り合って共倒れして、結局マクロンとフィヨンくらいの組み合わせになればといいのにと思っていたけれどそれは無理だったようだ。

久しぶりにマクロンの顔を見ると、演説の表情がなんだかヴァルスやサルコジの若い頃を彷彿とさせる。一年前に彼の顔についてこういう記事を書いたことがあるが、たった一年で、もうすっかり「大統領顔」になっているのは驚きだ。三年前までは一般には全く無名で、選挙で議員に選ばれた過去もない若者が、大統領選の第一回選挙でトップになるとは、信じられない。

スマホを駆使した効果的なミーティングの演出の裏話も流出していたし、「公約」自体も、個人的にはあまり歓迎できないものもあるし、あまり期待はしていないなかったのだけれど、それでも、数日前のテロの時に書いたように、「若者の精力善用」のいいモデルかもしれないなあと思い始めていた。

メランションは前にも書いたかもしれないが、彼の支援者だった知り合いのバロックダンサーが実態を知って離反した話を聞いていたので私の中では終わっていたし、社会党のアモンは、原発脱却を唯一言明して緑の党のヤニック・ジャドに支援されていたことを評価していたけれど大麻解禁について納得いかないこともあり、フィヨンは個人的にやや距離が近いのだけれど、公務員削減について賛成できなかった。

投票日の午後、ある集まりで、私のファンだと公言する93歳の女性オディールと久しぶりに同席した。
当然、選挙の話になる。彼女の反対側の隣に座った男性(79歳の退役軍人)が、「あなたが誰に投票したかあててみましょう」などと言い出して、かなり突っ込んだ話が展開した。

このオディールは、代々の貴族とはいえかなりリベラルな人なので、マクロンかなとも思ったら、「だいぶ前から子供たちや孫たちにマクロンに投票しろと勧められていたけれど迷惑だ、私は自分で考える」という。
ひょっとしてアモン?

で、オディールはぎりぎりまで迷っていたのだけれど、数日前にフィヨンが中東のキリスト教徒への支援を表明したのが決め手になってフィヨンに投票したのだそうだ。

なるほど。

それぞれの琴線に触れるテーマがある。

オディールは私と征服王ウィリアムの功罪について議論したいからまたうちに来てくれ、と言った。
そうなると、そのあたりの歴史をさらっておかないと。

今回は、大統領選について、9歳の子供から、93歳の女性まで、かなり具体的な話をした。
フランスらしいとも思うけれど、今回はイギリスやアメリカのポピュリズムの台頭を受けて、特に関心が高かったと言える。

そして結果として、第五共和制を政権交代しながら支えてきた保守と社会党の二大政党が予備選を経て選んだ候補が両方とも脱落した。王政だとも揶揄される大統領の権限の大きい第五共和制そのものに限界が来ている。

マクロンにバイルーが合流したことは前に書いたが、今回マクロンがトップに立ったことを受けてバイルーが自分がやりたくてできなかったことを彼がやり遂げつつあることをしみじみと喜ぶ感じにやはり好感を持てた。マクロンが大統領になったらいよいよ、首相ですか、と聞かれて今はそんなことをいう時期じゃない、と答えていたけれど、バイルーが首相、って、あり得る構図とはいえ、不思議だ。

6月に選挙があるので、今回敗れた二大政党はそちらの方にかけることを強調していた。
マクロンが大統領になったらどう組閣するのかが興味津々だ。
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by mariastella | 2017-04-24 06:51 | フランス
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