L'art de croire             竹下節子ブログ

前川さん証言と詩織さん事件 その1

(ちょっと寄り道の話題です)

このところ主にネットで見ることのできる雑誌を通してだけれど、加計学園と文科省の問題、そして御用(?)ジャーナリストによる性被害にあった女性の問題について、リスクの大きい「証言」を敢えてした二人の印象が特に強く残った。

まず、前者。

前川さんという方は、ほんとうに正義感が強くて、意志も強く、他の人の証言からもうかがえるように、現場主義で現場調査というのが好きな人なのだろうと感じる。だから、出会い系バーにだって出かけて行った。
保身の意識がある人ならばしなかっただろうけれど、使命感と探求心が強かったのだろう。生まれた時からすべてに恵まれている人だし、個人的な野心というものとは縁がないのだと思う。
「男ならだれでも」などという人も多いようだけれど、骨の髄まで清廉な男というのは存在する。
ああいう場所に行って個人的に話を聞き、支援し、大きな運動や対策の視野も持つというのは、フランスならカトリック系ソシアルでよく見られることだ。

だから前川さんにも何かキリスト教的な背景があるのかなと思ったが、実家は浄土真宗系のようだ。日本のエリート家庭によくあるように奥さまやお母様がミッションスクールの出なのかもと思ったけれど分からない。

ただ、おじいさまに当たる前川製作所の創業者喜作氏のエピソードがどこかキリスト教的だと思った。

私財と情熱を投じて、学生の教育の場として「和敬塾」を目白につくり、

「財は子孫に残さず、命も金も子供も、また身に着けている者は一切神仏からの預かりもの。ゆえに、自分が生きている間に自分に託されたあらゆる物は自分の力で社会にお返しする」と言っていたそうだ。
単に寄付したというのでなく実践した。
その上、目立つことを嫌い、「左手でやることを右手に知らせるな」とよく言っていたそうだ。

これは明らかに新約聖書の

「施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない(マタイによる福音書6-3)」から来ているのだろう。

和敬塾も東京カテドラルのすぐ近くだし、明治や大正のインテリには、洗礼を受けなくとも内村鑑三の聖書講義から影響を受けた人は少なくなかった。安倍能成、田中耕太郎、天野貞祐らの文部大臣もそうだ。

前川喜平さんも喜作さんのこのような家風を受け継いでいるとしたら、納得がいく。

別にカトリック国の政治家の方が清廉潔白度が高いと言っているわけではない。ただ、超少数者である「清廉潔白で弱者の側に立つ権力者」がいる場合、カトリック国の方が、中立的なストラクチャーを簡単に見つけられるから共感、協力してもらえやすいかもしれない。

そのことで私の頭に浮かんだのはアンリ・マレスコーさんのことだ。

見るからに誠実そう。(続く)

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by mariastella | 2017-06-07 00:58 | 雑感
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