L'art de croire             竹下節子ブログ

スピノザ頌 2

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リビングの食卓の上に寝そべるスピノザ君。客用のダイニングも隣接していますが猫禁止なのでほとんど使っていません。
うちは二軒長屋で、隣に猫の苦手な人を迎える玄関やダイニングもあるので、人には見せられないこういう姿もOKでした。テーブルの上にのってくれると写真を撮りやすいのでむしろ歓迎。
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たまには椅子の上にのってテーブルの下に隠れていることも。

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妹猫、弟猫、私の髪も舐めて整えて(?)くれるスピノザ。時々舌をしまい忘れるのがかわいい。
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スピノザの死を見て、はじめて「理想の死に方」に遭遇しました。
「聖人システム」の効用や 「santo subito」の欲求も実感しました。

死に方で言うと、ここ20年ほどで失った4匹の猫を比べると、

1997年に死んだガイアは、わずか3歳半、膀胱炎だったのに尿管結石と誤診されてカルーテル挿入と取り出しのために2度も麻酔されて死んだ。獣医の請求書に「一回分しか計算していませんから」と言われた。「心臓がもちませんでした」と電話があった。
うちから歩いて1分のところで開業している獣医だが、それ以来一度も足を踏み入れていない。

2010年に9歳で死んだサリーは、元気だったけれど、乳癌のしこりを発見して獣医(これは歩いて10分くらいのところにある医院でとてもやさしい人)のところに連れて行って、手術したが、免疫力が弱っているせいか猫風に感染して戻り、それがうちにいたスピノザやまやにも伝染した。
それ以来ぐったりして、目も見えなくなり、獣医は癌が脳に転移したのだろうと言った。
どうして自分がこうなったのか理解していないようで、動こうとして動けず、とても苦しそうで、最後に血を吐いてばたりと倒れた後でまた獣医のもとに連れていった時は、もう意識はなく、麻酔をかけてもらってお別れした。手術の前は全く元気にしていたので、死期を早めたという気がした。
5歳上のまやが12歳の時に口元に腫瘍ができたのを手術で除去したら元気に長生きしていたので、手術さえしたら助かるかと思ったのだ。

2013年に17歳少し前に死んだまやは、最後の数年、腎臓が弱っているのは分かっていたけれど心理的に問題の多い子だったので、積極的な治療はしなかった。サリーのこともあったので、もう外科的なことは何もしたくなかったし、病院にも連れて行きたくなかった。白内障もあった。だんだん食べなくなって動けなくなって、優しい先生に往診に来てもらい、うちでできる世話はすべてしたけれど、水も受け付けなくなり、立てなくなり、それでも痙攣して苦しそうだった。最後に獣医の判断を仰ごうと連れていった時はもう動きもしなかった。麻酔を打ってもらってお別れした。「麻酔」と言うのが即安楽死なのかどうかは分からない。ともかく、表向きには、まずゆっくり眠らせてくれる、ということで、納得する。

サリーもまやも火葬してもらって壺に入って戻ってきて、一年後に庭に灰を埋めた。

で、スピノザ。最後まで目も見えていたし、2メートル以上の跳躍力もあり、12歳年下のイズーに対して絶大な権威があった。ある日突然食べなくなった。次の日に飲まなくなり、排泄もせず、隠れた。腎不全の末期だと思ったが、念のため往診してもらった後、病院で一度点滴した。それで少し元気になって自力で飲んだり食べたりするなら続けようと思って自宅点滴道具も持って帰った。でも病院の点滴の後でますます動かなくなった。
一度だけ点滴してみたが、様子が変わらない上に痛々しくて、これは残される人間のためにやっているのだと確信した。

食べない、飲まないから死んでしまうのではなくて、
死ぬから、食べたり飲んだりしなくなるのだということが明らかだった。
静かに、ゆっくり息をして、声をかけると時々頭を上げたり尻尾を動かしたりしてくれた。

いっしょに暮らしてくれてありがとう。
愛してる。
これからもずっとそばにいてね。(今とは別の形で)

の三種の言葉をくりかえして愛撫し続けた。(続く)



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by mariastella | 2017-07-14 07:29 |
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