L'art de croire             竹下節子ブログ

地球のために何ができる? その5

(承前)

今から2千年前のユダヤ社会では、律法遵守の形式主義が司祭階級の特権維持装置となっていたが、その欺瞞を批判して律法の本来の意義を取り戻そうとする「改革派」の運動が起こっていた。洗礼者ヨハネの率いるグループもその一つだったが、ローマ帝国支配下にあるユダヤ教のエスタブリッシュメントの中でも、民族宗教から普遍宗教への志向が生まれていた。

けれどもそれは「内包型」だった。

以下、10月に出る新書の一部を少しだけ引用する。

なぜイエスの説教が普遍宗教に発展したのに、他のユダヤ人改革者がユダヤ教自体を普遍化させるに至らなかったのかという理由についてだ。

 >>>まず、トーラー(律法とその注釈)の中にさえ見られる普遍宗教(地縁血縁を問わない救い)の方向性が「内包的」だったということだ。つまり、普遍性を志向する改革者たちも、「ある日すべての異教徒がエルサレムの神殿にやってきてユダヤの神を崇拝するだろう」という方に目を向けていた。「包括型」普遍宗教と言える。それに対してイエスの説教は、「神はもはや、ある場所、ある国、ある言語に縛り付けられることはなくなるだろう」という「拡大型」の普遍主義だった。<<<

つまり、

「うちの宗教とうちの神さまが唯一で絶対で、いつかは全世界がひれ伏して帰依するもんね」

というものが「包括型」だ。(ユダの国は結局イエスの死後40年ほどで滅びるので、包括型普遍主義の方向は断たれてしまった)

それに対して「うちの神さまは唯一絶対だから、いつかは全世界の人を救うもんね」

というのが「拡大型」。

「全世界の人を救う」から「福音」というわけだ。

「そんなこと頼んでないし」

と異教徒や無神論者が思うかもしれないが、思っていなくても神の愛はすべての人に注がれていて、全被造物は「キリストの体」なのだ。

人間が秩序や形式を与えようとする「共同体メンバー認定」や「よそ者排除」などは、神の業とは別物だ。「宗教」としてのキリスト教がせっせと異端を取り締まり、異教徒を殺してきた歴史は、ユダヤの祭司がイエス・キリストを十字架にかけたことの愚かな繰り返しである。

と、ローマ教会は20世紀も後半になってようやく学習し、謝罪までして、「地球を救う」環境保全にまで乗り出したわけだ。

これはある意味すごい。

たいていの宗教が、とっくに分裂していたり、消滅したり、堂々と私物化されたり、ビジネスとなったり、形骸化しているような時代に、

「うちの神さまを人質(神様だから人質というのもなんだけど)にして今まで好き勝手にやってきましたが、間違っていました。神さまを解放して地球上の至る所に聖霊が降り注ぐ本来の姿に戻します」

と言うのだから。

全世界を「キリストの体」に閉じ込めるのではなく、全世界を「キリストの体」と呼ぶことにしたようなものだ。

「キリストなんてうちの氏神様じゃないですけど…」

と敢えて拒否する必要もない。氏神様もみんな含めて、すべての人間の歴史や文化活動も、大きな体、大きな命、の大切な一部であって、排他的な関係ではなく、全体をなしているのだから。

すべてのものに「仏性が宿る」と言うことと、すべてのものに「神が宿る」と言うことは、同じ「普遍」の表現だ。

と、考えることが、私にとって「地球を救う」とは何かについて一つのヒントになった。もう一つは、五十代半ばから、食後高血糖の問題やら、肩関節周囲炎による腕の可動性拘縮の問題という「体の不都合」を体験することで得た気づきがある。(続く)


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by mariastella | 2017-08-03 05:28 | 雑感
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