L'art de croire             竹下節子ブログ

機内で見た映画 その3 『僕のワンダフルライフ』『ヘッドハンター・コーリング』

アメリカ映画2本

『僕のワンダフルライフ』(ラッセ・ハルストレム)

は、犬と飼い主の絆ストーリー。

1950年代からのアメリカの情景が変化してくるのを見るのも楽しく、飼い主との間の愛情やかけがえのない感じもぐっとくる。過去に飼っていた犬との思い出も重なる。

少年イーサンが青年になり、父親が失業してアル中になり、青年は恋もして、アメリカンフットボールの選手として大学入学が内定し、恋人と同じ都会に出ていくことが決まっている矢先に、家が放火されて窓から飛び降りて足をやられ夢は潰える。母の実家の農場を継ぐために農業を学びに旅立ち、老いた愛犬ベイリーはイーサンの祖父母の家で死を迎える。

その後でシェパードとして生まれ変わって飼い主となる警官の孤独を癒し、警察犬として活躍して殉死、次にコーギー犬として黒人の女子学生のペットとなり幸せな生活をまっとうする。さらににミックス犬として虐待されるが逃げだして年老いたイーサンと再会。自分がベイリーの生まれ変わりだと気づいてもらおうと努力して…


泣かせるエピソードが満載で、でも、犬に託して、


生きることとは愛すること、

愛する人のために尽くすこと、


など、わかりやすいモラルのメッセージ性がかえってむなしい気もする。

こういう公正でまっとうなモラルをハリウッド映画などが繰り返し称揚しているのに、どうしてアメリカの人種差別はなくならず、銃社会が続くのだろう、などとつい思いいたってしまうからだ。

市井のアメリカ人と犬との交流を見ると心を通わせることができるのに、どうして、力の誇示しかしないようなトランプ大統領のような男がトップに立っているのだろう。

『ヘッドハンター・コーリング』(マーク・ウィリアムス)

も、わかりやすい家族愛もの。


ジェラルド・バトラーという主演俳優がいい味を出している。

建築家になるのを夢見る10歳の長男が白血病になり、仕事人間の父親が出世競争から脱落してまでも子供と妻に寄り添う。

シーク教徒の医師の姿もすごくアメリカ風だ。

弱いものを救うために最大の力を尽くすのがシーク教の教えだ、というのも、とてもいい。

けれども、58歳の男の再就職の難しさや、嘘をつくなど汚い手を使ってでも自分の業績を稼ぐという実態や、金がすべての社会を見ていると怖くなる。


もちろん映画ではそこから主人公が人間性に目覚めることで目先の成功は失うがもっと大切なものを救いそれが結果的には次につながる、というハッピーエンドになる。

とはいっても、その陰には、消費され、消耗してバーンアウトしていく人たちや崩壊する家庭が累々としているのだと思うと気が重い。


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by mariastella | 2017-11-09 05:02 | 映画
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