L'art de croire             竹下節子ブログ

「主の祈り」をめぐって その8

歌を歌えなかった12/3のミサでいろんなことを考えた。


「主の祈り」の「父」という呼びかけについて考えていると、

「神はあなたを先に愛している」とか、

「あなたには神が見えていなくても、あなたが神を無視しても、神はあなたを見ているし、決して見捨てない」

とか、

「神はあなたに自由意志を与えた。神に背を向ける自由さえあなたは行使できる」

云々


という決まり文句が、別の実感を持って見えてきた。

それは「親子ってそうだよなあ」という親の立場にたっての実感だ。

ここで親子というが、もちろん、世の中には我が子を虐待する親もいれば、血のつながりのない子供を溺愛する人だっている。そういう個別例ではなくて、社会進化論的に選択されてきたスタンダードな親子関係を想定する。

「親」は自由ではない。

親が自由を行使したのは「子をなす」時だけだ。

いったん「子」の親になれば、親にはその子をいないことにする自由はない。

排除する自由も、無視する自由も、恨む自由もない。

愛することしかできない。

そして親は子供が自由で自立した人間となることを願う。

そのために、養い、育てる。

子供の安全を守り自覚を促すために限定的に子供の自由を制限することもある。

でも、子供がその養いや育てに応えなくとも、最終的には子供の自由を尊重することしか親にはできない。

子供が出ていこうと、親を否定しようと、親は子供を愛し続ける。

というパターン。

「父なる神」も、クリエートする部分、「父なる神」となる部分で自由を行使した。

そして「なかなかよくできた」などと言っている。(創世記で何かを作る度に「神はこれを見て、良しとされた。」とある。

で、人間には「自由意志」を与えたのだが、禁断の実を食べた時点で、神と分かれる自我が生まれたので神のもとにいられなくなった。

でも、「父なる神」の側には、子を愛さない、良くないと断定するような自由はない。

だって、「父だから」。


ずうっと愛しっぱなし。


でも「製造責任」は感じるから、時々、それぞれにみあった「試練」を与えることで、「養い育てる」ことを続けようとはする。

思い切って「子なる神」まで派遣した。

「親」的感性に想像力が働く人なら、「父なる神」の立場はすごくよく分かる。

「父権社会」の「権威的父」ではない方の、例の、ノリッジのジュリアンが「天の母」と呼んだ方の「親」的感性。


「自由にふるまう子供を愛し続ける他に自由がない、選択肢のない」親心。

そうやって愛してきた子供が、とつぜんこちらを振り向いて、「お父さん」と呼んでくれた。

「お父さん、私を助けてください、私が正しい道を歩むように、誘惑に負けないように守ってください」

と言ってくれた。

「主の祈り」のように。

それを耳にするお父さんの喜びはいかばかりだろう、

命を与え、養い、愛し続けた苦労が、この信頼によって報われる。

「愛が報われる」っていいな。

「主の祈り」って「命をくれた父の愛に報いる祈り」なのかもしれない。


(しかも、子供たちがきょうだいそろって口をそろえて「いつも見守ってください」と言ってくれるなんて、想像するだに感激だ。親としては、感謝されなくても、頼られなくても、愛は変わらないのだけれど。「父なる神」をたまには労わろう。)


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by mariastella | 2017-12-13 00:05 | 宗教
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