先日の朝のラジオで、移民問題専門家の歴史学者で政治学者のパトリック・ヴェイルが話していたのがとてもよく整理ができていて納得した。
彼にとっては、マクロン政権は移民に対するフランスの原則を否定するとんでもない大統領になりそうな男のようだ。
最近、移民、難民や路上生活者に赤十字などが差し入れた食物や寝袋などに警察が催涙ガスを撒くなどの事件があり、違憲判決などが出ている。
しかし、例えばマニュエル・ヴァルスが内務相の時に暴走した時も、上から支持されたものでなかったが、今のコロン内相は全面的にマクロンの指示でやっている。
また、サルコジとマクロンは正反対だ、という。
サルコジは言葉の上では暴力的だったが、現場ではそれなりに現実的だった。
マクロンは言葉の上では移民にようこそ、などと丁寧で親切だが夜になると食べ物や避難所を襲う。
冬の夜のホームレスを一時迎え入れる避難所に警察を入れて不法滞在者かどうかのチェックをし始めたというのだ。
フランスには、三ヶ所、身分を確認しないで無条件で受け入れる聖なる場所が三つある。
子供を受け入れる学校、
病人を受け入れる病院、
宿のない人を受け入れる避難所
だ。
実際、それを知っているから、あえて就学年齢の子供をフランスに不法に送り込む親もいる。
不法滞在で働いている外国人が、体に異変を感じた時にパリの公立病院に行けば無料でMRIなどの検査をうけて治療も受けられるセクターがある。身分証明書も何もいらない。
ホームレスが炊き出しに並んでも、避難所に宿を求めても、身分の確認はない。
それがフランスの伝統でアイデンティティで、どんな政権も変えることができなかった。
身分の確認をメトロの中で、労働現場でやるのなら別だが、学校、病院、避難所はご法度である。
それに手を付けたマクロンは、核兵器を使用したようなものだという。
来春に向けて新しい移民法案が議論される。
じっくり経過を見ていきたい。