軍事ジャーナリストの小西誠さんと三上智恵さんのトークで
『南西諸島陸自配備について 標的の島』というのを視聴した。
あまりにも徹底した住民不在の考え方には驚くとか怒る以前に、笑うしかない、みたいな話がある。
この22分あたりを見ると、笑えてくる。実際、三上知恵さんも小西さんも笑っている。
55分あたりから、1921年に太平洋地域の島嶼要塞化禁止を合意したワシントン条約というのが日米英仏伊の五ヶ国で締結されていたことが語られる。
沖縄は明治維新以来の非武装地帯だったのだがそれが確定した形だった。
この島嶼要塞化禁止を提案したのは日本だったそうだ。
まあ、すでにある軍事基地はそのままに、という話なのだから、核拡散禁止条約のようにすっきりしない部分はあるけれど。
その沖縄に1944-45年にかけて日本が軍隊を送り込んだことがそもそも沖縄の地上戦につながった、とも言っている。
小西誠さんを見てとてもなつかしかった。
今はじめて見たとしたらそれなりに年配者なのだろうけれど、若い頃に会った人って、昔のままのイメージだ。
1970年だったと思うけれど、小西誠さんの『叛軍』の映画の少人数の上映会みたいなものに出席した。その後で小西さんとのディスカッションがあったのだと思う。
今になって、ネットで検索したら、こういう解説があった。
>>>小西の<叛軍>行動にたいして、検察は、これを自衛隊法第六四条および第一一九条をもとに「政府の活動能率を低下させる怠業的行為」として起訴したが、小西は「国民を護る義務を帯びた自衛隊が国民に銃を向ける訓練をするのは違法だ」といった考えにもとづいて、それに<不服従>の権利をもって対抗した(『陸上自衛隊服務関係法令解説』にも「違法の瑕疵が重大かつ明白な場合は、命令を受けた隊員はみずから職務上の命令の無効の判断をすることができ、これに服する必要はなく、また服してはならず、もしこれに服したときは、その結果についてみずからも責を負わなければならない」とある)。民主主義の徹底化によって大幅に<不服従>の権利をみとめ、軍隊の職務ならびに機構上の特殊性からとかくおちいりがちな兵士たちのロボット化、そのロボット化による非人道行為の横行をあたうかぎり防止する。<<<
「不服従の権利」というのがあるんだ、すごいなあ、と感心して、フランスの軍隊はどうなんだろう、とフランス語で検索したら、
「不服従の権利」でなくて「不服従の義務」というのばかりがずらずら出てきて驚いた。「不法な、あるいは不当な命令には服従してはならない」し、それをすみやかに軍事大臣に報告する義務があるというのだ。
ついいろいろ別の国のものも調べてしまった。今は国際的に標準になっている項目らしいが、それを権利というか義務というかのニュアンスもいろいろあって興味深い。
ちなみに小西さんは、今も「自衛官人権ホットラインの相談室」という掲示板を運営している。
>>自衛隊法や自衛官の人権についてのご質問、隊内での暴力・いじめなど
自衛官、家族のみなさんの悩みや不安にお応えするための相談室です。
事務局長小西誠はじめ自衛隊や軍事問題の専門スタッフが相談に応じます。<<<
とある。
少し読んでみたが、日本のような同調圧力の高い国での軍隊のような閉鎖的な階級社会の実情はかなり深刻そうだ。
それにしても、半世紀の間、変わらず人権と軍事の問題を追及してきた小西誠さんって、すごい。