フランスは、宗教戦争後の絶対王権も、革命後のナポレオンまでも、ローマ・カトリックの神を自分たちの権威の担保にしていたので、「反教権主義」という反カトリック教会の運動も根強かった。
では、反教権主義者は近代的で民主的で、カトリック教会の中世的、封建的なことを徹底的に批判しているのかと言えば、なんだか変なものもある。
カトリック教会を揶揄する時に、丸々太った司祭だの、修道女たちの姿を戯画化するのはお約束だけれど、反教権共和主義者こそ、1944年にようやく成立した婦人参政権に激しく反対したのだ。
「我らの敵、女」などという講演をした自由思想家アンドレ・ロリュロは1930年に、伝統的な反教権主義の雑誌を再刊した。
1911年の表紙は、修道女と司祭が「修道院の秘密」みたいな怪しげな本をいっしょに読んで笑っている絵柄だ。
でも、膝に乗っている猫も快楽のシンボルなのかもしれないけれど、ツボにはまり、なんだか、みんな自由で、楽しそうでいいなあ、と思えてしまう。