L'art de croire             竹下節子ブログ

神に呼ばれる時

 超越についてのその2で「文化の真の基礎」と書いてしまったが、今日、教皇の講演を読み返すと、「真の文化の基礎」だった。
 訂正ついでに、その部分を載せておく。理性についてのB16の見方がよく分かる。

« Chercher Dieu et se laisser trouver par lui : cela n’est pas moins nécessaire aujourd’hui que par le passé. Une culture purement positiviste, qui renverrait dans le domaine subjectif – comme non scientifique – la question concernant Dieu, serait la capitulation de la raison, le renoncement à ses possibilités les plus élevées et donc un échec de l’humanisme, dont les conséquences ne pourraient être que graves. Ce qui a fondé la culture de l’Europe, la recherche de Dieu et la disponibilité à l’écouter, demeure aujourd’hui encore le fondement de toute culture véritable. 》

 で、よく見てみたら、Chercher Dieu や、la recherche de Dieu は、
 se laisser trouver par lui と、la disponibilité à l’écouter とセットになっているのだ。

 神を探すことは、神に見出され、神の声に耳を傾けること、とセットになってる。

 実際、たとえば、

 「私がシスターになりたかったわけじゃない、神に呼ばれたんだ」

 というような証言はよく耳にする。

 だとすると、この場合の神は、「絶対」とか「超越」には置き換えられない。
 有神論や理神論の神でも呼んでくれなさそうだ。
 「無」神論の神だけが、「呼んでくれる神」と相補的存在だから、沈黙によって、存在を主張してる。

 ともかく、「超越」は、こちらからの探求はできるけど、超越の方が声をかけてくれたり、こちらを見つけに来てくれるというのは無理だ。
 「呼んでくれる神」というのが、ひょっとしてキリスト教的ペルソナ神のいいところかもしれない。

 神に呼ばれるというのはどんな感じだろうか。
 ついつい、統合失調症の「やらされ体験」症状だとか、いわゆる「電波系」のこととか思い出してしまう。実際、神秘家と呼ばれている人の「お告げ体験」も、現象だけを見ると明らかに病理的なものもある。

 今年になって、大部の『聖母マリア御出現事典』(Fayard)を出したこの道の権威ローランタン師は、2000年には、400から500の事例と言っていたのに、いまや、2450例を挙げている。「御出現」が何らかの(信仰にとってポジティヴな)跡を残した、何かを生んだ、という例を全部数えたらそうなったのだそうだ。御出現はドグマでないから、線の引きようがない。公認されたのはたったの13か14(間接的)だそうだ。公認といっても、容認みたいなもので、司教や教皇も、非公式になら個人的に信じていることを公言してもいい、とされている。

 ともかく、信仰というのはどうやら双方向的なものであるようだ。
 呼びかけに答えたり、召しだしに応じたりすることも探求の一つの形であり、逆に、神はどこにいるんだろうと探しそうとすることがすでに神から見出されていることになるのかもしれない。神とはそうやって双方向的なかたちではじめて存在するのだろうか。


 
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by mariastella | 2008-09-16 08:24 | 宗教
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