L'art de croire             竹下節子ブログ

2016年 12月 04日 ( 1 )

オランド大統領の不出馬

木曜日、オランド大統領が次の大統領選への不出馬を表明した。
現職大統領が二期目をあきらめるのは珍しいことだ。

テロの後に、テロリストの国籍剝奪の提案をしたことだけが自分の失敗だった、とも言っていた。
それによって国民を一体化しようと思ったのに、かえって分断させてしまった、と。

確かに、国籍剥奪なんて、極右の言いそうな排除の論理だ。
フランスの普遍主義には似合わない。
それに、実際のテロリストはフランス国籍を持っているとは限らないし、実行犯の多くは自爆したり射殺されたりするから、その後では意味がないし、国籍剥奪されるのが嫌でテロをあきらめる、などという抑止力などあり得ないだろう。

それでも例えばイギリスが最近、シリアでISに加わったイギリス人の700人のジハディストのうち最も危険な80200人のリストを公開して彼らをすべて逮捕もしくは殲滅すると宣言したのは、フランスでは考えられない。

ISの訓練場所を空爆する時に、そこにフランス国籍の者がいるのでフランス人を殺すことになる、その是非、ディレンマについて議論があったことがあるくらいだ。

フランスの死刑廃止において戦時を除くという例外があったから、イギリスにもあるのかもしれない。
「テロリストとの戦争」が宣告しているのだから、国籍の有無にかかわらず「テロリストの死刑」はあり得るという理屈なのだろうが、少なくともフランスはそんなことを大きな声では言えないし言っていない。

オランド不出馬表明の後でヴァルス首相がすぐに出馬を表明していないのは「礼儀の期間」をおくからだ、と言われる。Delais de décenceだが、今回の場合、「喪の期間」にも似ている。

その辺もまあ、フランスらしい、抑制というかジェスチャーなのだろう。

どちらにしてもヴァルスの勝機は少ない。
マクロンの方がまだ人気がある。

けれども、「一度も政権に関わっていない」からまだ誰も失望させていない、という理由だけで、マリーヌ・ル・ペンが第一回投票で有利であり続ける情勢は変わらない。

どうなることやら。
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by mariastella | 2016-12-04 10:01 | フランス



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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