L'art de croire             竹下節子ブログ

2016年 12月 30日 ( 1 )

年末のニュース、オランドとプーチン

以前の記事でも触れたジャクリーヌ・ソヴァージュさんが28日に大統領による全恩赦を受けて娘たちのところに戻った。

オランドが来期に出馬しないと表明してから、多分、この不発に終わった部分恩赦を全恩赦に変えるだろうと予想していたのだが、それが当たった。
ジャーナリストへの暴露インタビューで、司法への不信を口にして謝罪に追い込まれていたくらいだから。

でも、この王政の名残である「恩赦」の制度を使うのは、社会党マインドのオランド自身が原則的に躊躇していたらしい。

でも今年の初めにJS(ソヴァージュ)さんの娘たちをエリゼ宮に招いてかなり心を動かされたというから、司法に裏切られた末、やはり強権発動に踏み切ったというべきか。

司法の側は怒っている。何度も法律にのっとって様々な制約をクリアして釈放拒否の判決を出しているのに、自由な大権であっさり覆されるのなら、これからみんなが司法を通さずに大統領府の門を叩くことになる、と。

しかし、JSさんには再犯の恐れというのはゼロだし、共に犠牲者だった娘たちが母親を救おうとして引き取るのだから、さすがに、政治家たちはみな賛意を表明している。
娘さんたちが父親から性暴力を受けていたのを守れなかったことでJSさんを責める声もあったというが、彼女は当時それに気づいていなかったという。
いや、自分自身が毎日激しい暴力の犠牲になっている時、人の識別力など曇ってしまうとしても無理はない。

仮にJSさんが、夫が娘に乱暴しているのを現行犯で目撃してその時に猟銃を持ち出して撃ち殺していたとしたらどうなんだろう。いや、そんなことをして娘たちのトラウマをより拡大するよりも、たった一人で謀殺を選んだわけだ。ともかく、すでに4年も投獄されていたのだから、この釈放は誰が聞いてもほっとするニュースだった。

それにしても、こんなことすら「いいニュース」だと感じられるくらいに、世界中から悪いニュースがどんどん届いている。

29日には、いいのか悪いのか分からない奇妙なニュースも入ってきた。

ロシアが「欧米」抜きで、トルコ、シリア、シリア反政府軍、の代表を集めて停戦条約をまとめようとしていることだ。

ISとの戦いは終わっていないので、クルド軍は相変わらず戦っている。

でも、アレッポをあれだけ叩いた後で、どう停戦に持っていくのだろう 。
アレッポでのロシア軍の容赦のない感じは不思議ではなかった。
今時、アメリカだってあれほどの絨毯攻撃はしない。
チェチェン戦争のグロズヌイ攻撃のことを思い出す。

そういうあからさまな殲滅作戦みたいなのを堂々とやって、プーチンは一方で、安倍首相と会ったり、トランプやフィヨンにすり寄ったり、イランや中国やトルコに働きかけたり、「外交」にも勤しんでいる。

その中で、フランスとヨーロッパに向けたレトリックがまたアナクロニックで不思議なものだ。(続く)
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by mariastella | 2016-12-30 07:35 | 雑感



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