L'art de croire             竹下節子ブログ

2017年 06月 05日 ( 1 )

ローマ法王とフランス大統領 その2

(これは昨日の続きです。)

ローマ法王フランシスコとフランス大統領マクロンの五つの共通点(By 《La Vie 3744 》

その2です。

2番目の共通点とは去年の春、まだ社会党内閣の経済大臣だったマクロンが独自に立ち上げた運動 En Marcheだ。

En Marche は日本語では「前進」と訳されているようだが、単に歩くという意味だけではなく、動いている、うまくいっている、目的に向かう途上にある、などのいろいろなニュアンスがある。

まず法王。

ヴァティカンのように何世紀もイタリア領邦国家の利権とずぶずぶだった巨大組織は、前進どころか慣性で一歩も前に進めないというイメージだけれど、この教皇は、どこかの国の「岩盤規制の一点突破」みたいなやり方ではなく、広く全方向的に窓を開いていくような動き方をしている。

離婚して再婚したカップルを再び共同体に迎え入れること、
多宗派とのエキュメニカルな理解と前進、
ヨハネ=パウロ二世時代にいったん破門された聖ピオ10世会との歩み寄り

など、いろいろな分野で、たとえ歩幅は小さくても少しずつ動き進むことを好む。問題の解決とは人々が並んで歩くことによる出会いの中で見い出されるものだろう。
目は天を仰ぎ、足は地に着けて「歩いていく」ことがフランシスコ教皇のやり方だ。

マクロン大統領は、その「前進」という運動名はイデオロギーではなく現実との接点を表現する。彼の政策のいくつかは、その運動の内部から自発的に生まれた。また、頭の中だけではなく実際に体を動かせるという「可動性」の徳も強調する。物理的なアクセス可能は、社会的公正を目指す政治の一部だ。彼が大臣時代にそれまで公共機関の独占だったバス路線を「自由化」したことで、フランス中を長距離バスで移動する人が大幅に増えたことがその典型だ。<<


これはやはりプラグマティズムに基づいているのだけれど、
巨大な権威を持つ教皇が広く浅く少しずつ「伝統」を揺さぶろうとしているのに、民主主義と議会制度に縛られるマクロンの方が、強硬に自由化の法を整備して目に見える結果を出すのが対照的だ。

政治家には「次の選挙」というハードルがあるし、常に「政敵」からの攻撃を受ける対策も必要だ。「今ここで」自分の実力を見せつけることが必要とされる。
教皇の方は時として挑発的なコメントを小出しにしながら、様子を見て、パン種が発酵するのを待っている。政治生命のスパンが全く違う。
次の選挙や選挙の地盤を後継者に譲るなどの憂いもない。
配偶者も子供もいないし、時空を超えた神や聖人たちとの交わりの中で足を地につけている。

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by mariastella | 2017-06-05 17:12 | 宗教



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