L'art de croire             竹下節子ブログ

2017年 08月 05日 ( 1 )

ウィーンで考えたこと  その1

ウィーンを歩いていると、東京やパリとちょっと違うなあ、というほほえましいものに出会う。

信号機の図柄もその一つ。

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青信号は女性が男性の手をひいて歩いているような感じで二人の間にハートが。

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赤信号も二人並んで待っている。

全部の信号ではないけれど中心部には多かった。

ジェンダー的な配慮??

しかもこの信号、なんだかチクタク、というかカタカタとまるでゼンマイでうごいているようなローテクな音をたてる。

言葉や表示は完全に英独の二択だ。

私は英語に次いで第二外国語がドイツ語で、昔はゲーテやシレジウスもドイツ語で読んでいたので、書かれたものはまあまあ分かるけれど、聞き取りは難しい。カフェでうっかりドイツ語で注文したりするとドイツ語が返ってくるので聞き取れなくて、慌てて英語で言い直すことになる。観光客はみな英語でしゃべっているせいか、

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こういうデザインがあって笑える。

確かに、英語ではAustraliaとAustriaは似ていて混同されるらしいが、日本語のカタカナだと一字違いでもっと問題になっているそうだ。
オーストラリアは南の国、で、ドイツ語の Österreich は 東の国(フランク王国にとって東の辺境だったからだ。それが「西」ローマ帝国を受け継ぐ神聖ローマ帝国のめいしゅになったのだからやこしくもある。

今回初めて、ドイツとのはっきりした違いを感じた。
変な話だけれど、「オーストリア生まれのドイツ人」だったヒットラーがハプスブルク家を嫌ったという理由も分かる気がした。
オーストリアの独特の退廃や倒錯の微妙な機微も。

音楽や美術や宗教を通してもそれがよく分かる。

昔はヨーロッパのどこに行っても、ただ、その地の文化を「拝見」しているだけだったし、日本人として刷り込まれているビジョンを「確認」するようなところがあった。

最近はどこに行っても感慨深い。

もし私が今女子大生だったり、あるいは、私が女子大生だった頃に今のデジタル・テクノロジーがあったなら、そういう「確認」をせっせと撮影してインスタグラムだのfacebookだのtwitterだのにアップする形で「消費」してしまっていたことだろう。

それにしても、今回はハプスブルク家とカトリックの関係をすごく考えてしまった。
フランスはもちろんイタリアやスペインやポルトガルやらのベタなカトリック国(の王様たち)と比べても、ハプスブルク家の「カトリック皇帝」みたいな矜持には独特のものがある。

私は昨年『ナポレオンと神』で、ナポレオン二世の運命とヒットラーとアンヴァリッドのことを書いた。そのせいで、大聖堂やフランシスコ会の墓所では胸が騒いだ。

近代フリーメイスン創立の300年記念ということで国立図書館の展示も興味深かった。
なるほど確かに、300年。私が講談社選書メチエから『フリーメイスン』を出したのは2015年だったが、今年になってネットメディアのインタビューを受けたし、もうすぐ発売の『サイゾー』からも取材を受けたばかりだが、300周年だったからなんだなあと今頃納得する。

私の本にももちろんモーツァルトのこと、ヨーロッパのフリーメイスンとアーティストの話が書いてあるので、その時にもいろいろな資料を読んだが、今年ウィーンで、モーツァルトがらみでフリーメイスンについて珍しい資料を実見することになるとは思わなかった。

いろいろなことを少しずつ書いていこう。


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by mariastella | 2017-08-05 06:27 | 雑感



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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