L'art de croire             竹下節子ブログ

2017年 08月 08日 ( 1 )

ウィーンの話 その3  シュテファン大聖堂の南の 塔に昇る


ウィーンでは一日に18000歩も歩いた。

シュテファン大聖堂も、南の塔の上まで昇った。

ずっと低い北の塔の展望の良いところまではエレベーターがある。

そちらももちろん昇ったが、南の塔は300段以上の螺旋階段を延々と昇らなくてはならない。

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写真の右端のところどころに開いているのが見える長方形の穴から吹き込む風でなんとかしのげるが、おりからの猛暑で大汗をかく。

なんでこんな高いところに昇るのかなあ、と自分でも思う。

降りるのはもちろんずっと楽だ。

天国に上がるのは難しい、

地獄に堕ちるのは簡単、

ってことかなあ。

大聖堂内の説教壇も、階段を昇ってかなり上の方にある。

c0175451_05362410.jpg

下の方には動物やら怪物やらの彫刻が施されている。

これは別に、司祭が会衆を見下していわゆる「上から目線」で説教を垂れるためではない。王侯貴族の宮殿に付属する聖堂では、王たちが聖堂に入らずに居住室から直接、説教壇より高い位置にあるテラスの席について、見下ろす形になっているところなどいくらでもある。

説教壇が高いところにあるのは、そこに上ることで煩悩やら邪心やら「悪」を「下界」に置いてくるという決意の意味があったそうだ。自分の卑しい部分を下に残して、霊的な部分を聖霊にインスパイアしてもらって説教の言葉が出てくるようにするためだという。


そうなると、苦労して塔の上に昇るのも、登山と同じでちょっとストイックな「浄め」の気分なのかなあ、とも思ったが、「馬鹿と煙は高いところに上がるのが好き」という言葉も頭に浮かんだ。

シュテファンというのは十二使徒の中で最初に石打ち刑で殉教者になったステファノだ。

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祭壇の絵ももちろん殉教図になっている。


フランス語ではエティエンヌという。ステファヌという名前もある。カトリックのことを知らない人には、エティエンヌとステファンが同じ使徒由来の名だとは気づかないくらいに違う。

ピーターやペーターがピエールやペドロ、ピエトロ、ピョートルなどとヴァリエーションがあるのはまあ見当がつく。

ステファンがスティーヴンやエステバン(スペイン語)になるのもやや分かりにくいが、Sが完全に抜けたフランス語のエティエンヌって、慣れれば普通なのだけれど、フランス語のミシュランのガイドブックの地図にSt Etienne と堂々と表記してあるのを見ると違和感があり過ぎだとあらためて思った。

ハプスブルク家のウィーン最大のゴシック・カテドラル、地下にはカタコンブもあれば歴代の皇帝、王族の内臓を収めた壺も並ぶ。見どころは満載だ。


「ハプスブルク家はみな敬虔なカトリックだった」と解説にある。


「敬虔なカトリック」ってなんだろう。


権威付けや人脈や政治や外交のツールの他に、迷信、あらゆる種類の「神頼み」をほんとうに必要としていたということか、それとも本気で「教義」を信じていたのだろうか。確かに、信心グッズのコレクションの壮大さにはただの見せかけではない強迫観念が垣間見える。

ともかく、最大の野次馬的興味は、この大聖堂が捧げられている殉教使徒シュテファンの聖遺物である。それはどこにある?


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by mariastella | 2017-08-08 05:44 | 宗教



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