L'art de croire             竹下節子ブログ

カテゴリ:雑感( 312 )

幼児は右翼か左翼か?

社会党系のリベラシオン紙の中にある「プチ・リベ」というおそらく中高生を対象にしたページが時々ある。その15回目(2016/11/5-6)のテーマは「政治における左と右」というものだった。

もともと右翼、左翼という言葉自体が、フランス革命後の国民議会に由来する言葉で、その歴史や、15歳の少女の政治観、「左」と「右」の考えたの違いなどが紹介されているが、その中に『幼児は「左」か「右」か?』という記事があった。
ここでは「右」とは既成の権威に服する保守、左とは被支配者側につく、というくらいの意味だ。

で、結論は、3、4歳では「右」、
5歳はばらばら、
8歳は「左」、

と、はっきり傾向が変わるそうだ。

三つの国立大学とCNRS(国立科学研究機関)が共同で行った「子供における政治観の誕生」という研究でヒエラルキーに対する感受性を扱ったもの。

やり方は、まず、キャラメルという名の猫とノワゼットという名のネズミのマリオネットが遊んでいるシーンを子供たちに見せる。

その寸劇の中で、何かを決めるのは必ず猫の方で、ネズミはそれに従う。
猫がリーダーだということが明らかに分かる。

それを見た後で、子供たちは大小二つのチョコレートをもらって、それを猫とネズミに渡すように言われる。

3、4歳の子供はみな、大きい方のチョコレートをリーダーである猫に渡す。

5歳の子供たちは、ばらばらだ。

8歳の子供たちは、大きい方のチョコレートを、決定権のないネズミに渡す。

3、4歳の子供たちは生活の多くのシーンで両親による決定に従っている。だから猫の権威を認める。

8歳になるとある程度の自立を獲得するので、弱い方のネズミに多くを与えることで、自分が助けを必要とするときにも与えてもらえるだろうという意識が働くのだそうだ。
猫に比べてネズミの権利が制限されているのを見て、大きいチョコレートを与えることでその「不公平」を「是正」してバランスを取ろうという感覚が働くという。

この結果から、3、4歳の子供たちは保守陣営の大人に似ているのではないかというのだ。

また、社会への見方、政治的志向は、自分の生活の環境や文脈によって変化するということでもある。

おもしろいといえばおもしろい。

フランス人は家庭でも盛んに政治の話をする。

8歳にもなれば親の政治的意見にも左右されるだろう。

逆に、8 歳の子供と政治の話をすることもあるし、その時には自分自身も責任を感じて慎重になる。

そういえば最近こんなことがあった。(続く)
[PR]
by mariastella | 2016-11-29 02:17 | 雑感

マレク・シェベルの死。 ベリーダンス。

宗教人類学者でイスラム啓蒙主義を唱えていたアルジェリアのマレク・シェベル(Malek Chebel)が先日(11/12)パリで亡くなった。63歳。残念だ。

イスラムの核にある陶酔やエロティシズムについても語った人だった。
スーフィズムに近い。

ベリー・ダンスが、女性の腹を「商品」としてではなく装飾品として提示した画期的なものであるとか言っていた。これは盲点だけれど本当だなあと思う。

私はサウジアラビアとモロッコでベリーダンスの講習に参加したことがあるけれど、すごく健康的で楽しかったのを思い出す。
先生の腹の動きの見事さに惚れ惚れした。
腹筋が割れているというのではなく脂肪もついている。
その柔らかさの不思議ななまめかしさは、確かに商品としての性的なものではない。

変な話だけれど私はうちの猫たちのしっぽの動きを、本体と切り離してイメージするのが好きだ。
柔らかい毛におおわれた爬虫類、というシュールな感じで、くねくね、するりと動く。
しなやかで意外性もある妖しい美しさだけれど媚びるところはみじんもない。

ベリーダンスの腹にも同じように魅惑される。

これって別にイスラムと直接の関係がないのかもしれないとも思うけれど、シェベルが言うのだから、イスラム文化圏の産物なのだろう。
まあ、気候的に言ってもヨーロッパで生まれることのないタイプのダンスであることは間違いがない。

モロッコでは男性も参加していた。
女性の腹の方が絶対に、やわらかで美しく妖しい。
[PR]
by mariastella | 2016-11-17 03:47 | 雑感

トランプファミリーと宗教

しつこいようだがもう一つ気になったというか、検索してもうまく見つからなかったこと。

トランプが「長老派」プロテスタントらしいことは分かっているが、先妻との結婚式や子供たちの洗礼や洗礼親などはどうなっているのだろうか。

これまでアメリカの政治家たちのカップルはアイルランド系カトリックのケネディならフランス系カトリックのジャクリーヌとか、やはりカトリックのシュワルツネッガーがケネディ家の女性と結婚とか、公の部分はわりとわかりやすかった。

でも、トランプは最初の妻が当時共産圏のチェコの女性で、チェコは共産圏でもハプスブルクのせいで一応カトリックがマジョリティで、正教も少しという国。3番目の現夫人もやはり旧共産国ユーゴスラヴィアのスロベニア出身でカトリックの優勢な国だ。
こういう旧共産圏でカトリック文化圏の国はポーランドやハンガリーもそうだが、カトリックのネットワークによって外部とのつながりを維持したこともあって、カトリック・アイデンティティは小さくないと思う。

トランプはこういう相手との結婚や離婚の仕方が、「善き信者」の顔を大切にするアングロサクソン系のピューリタン文化とはかけ離れている。

この節操のなさが逆に、いざとなったらカトリック文化圏のヒスパニックにも親近感を抱いてもらえるのかもしれないし、アングロサクソンのエリートからは忌避されるのか、あるいは、もうあのアメリカでさえ、宗教の帰属なんてどうでもいいエレメントになっているのかよくわからない。

でも、リッチなファミリーにとって、冠婚葬祭、特に子供の各種通過儀礼はシンボリックで大切なはずだから、息子の洗礼式のニュースなどが拾えないかと思って少し検索したのだけれど出てこなかった。

前に書いたように、福音派カトリックと称しているマイク・ペンスと組んでいるように、「プラグマティック」ということなのだろうけれど、宗教ロビーの力はアメリカでまだまだ大きいだろうから、これからの対応の仕方も見ていきたい。

「神」なしで「金」をコントロールするのが難しい文化圏であるのは確かだ。
[PR]
by mariastella | 2016-11-12 23:37 | 雑感

トランプとフランス その3

朝のラジオでトランプ大統領に関するフランス目線のコメントが続いた。

-- オバマ夫妻がトランプ夫妻をさっそくホワイトハウスに招待したことについては、

ブッシュにオバマが招待されるのには一週間待たねばならなかった、でもさすがにアメリカ。フランスなら、大統領交代はエリゼ宮の階段の上で出会って方向を変えるだけだからね。

-- フランスはアメリカの最古の同盟国(独立戦争でアメリカと共にイギリス軍と戦った)。
だからエリートはたいていフランス好き。
それなのにトランプは、1989年に自家用ヨット「トランプ・プリンセス」号をアンティーブの港に停泊させた以外フランスと接点がない。フランスの政治家は誰としてトランプに会ったことはない。経済的にも何の接点もない。トランプはフランスに対する投資はゼロ。

-- ジョークで思わず吹き出したもの。

トランプオランド(フランス大統領)を並べたら、アヒルとフォワグラ」

ここのところ両者の映像を同じくらいの頻度で見せられているフランスだからツボにはまった。

フランス以外で笑いをとれるかどうかはわからないけど。ここのところオランドは「むくんでいる」ような太り方だからね。どっちがアヒルでどっちがフォワグラでもいけるかもしれない。
[PR]
by mariastella | 2016-11-10 18:04 | 雑感

フランスから見た米大統領選 その2

ターザンについての記事をアップした後だけれど、米大統領選についての記事へのアクセスが多かったので、フランスから見た今回の大統領選についてもう少し書いておくことにした。
日本ではもちろん英語圏からの情報がメインだと思うので。

アメリカのジャーナリストにはフランス語を自由に話せる人が少なくないから、現地取材中のフランスのメディアにもフランス語で直接コメントする人が多いのも日本では考えにくい。

で、今日の夜の特別番組でいろいろな立場の人から語られた「フランス目線」の見方を覚書。

-- 軍事力はアメリカが断トツでも、GNIの世界一はアメリカでなくEUだ、アメリカとEUがパートナーシップを維持しなければ、次の通称規範は中国発になって「欧米」規範と違ったものになってしまうので重大だ。

-- 1914/8に第一次大戦が勃発した時、すべての人が驚いた。
しかしベルグソンは、「衝撃的な出来事のように見えるがこれまでの経過を冷静に観察すると、これしかない結末だ」と言った。今回も、同じ種類の「自明性」がある。

-- 米大統領の権力は仏大統領の権力よりずっと小さい。議会に反したことは何もできない。

-- トランプはロビー運動家から「買われる」必要はない。

-- 対ロシアと対ISについてはポジティヴな結果が期待できるが対イランはネガティヴ。

--  トランプは2分半しか集中力が続かないのでTwitter向きだが、今は祝いよりも政策を立てるブレーンの選定に真剣になっているだろう。
(しかしすでに副大統領はバリバリの共和派なのだから、丸投げになるのかもしれない。by sekko)

-- 11/20のフランスの共和党予備選と12/4のイタリア憲法改正国民投票への影響。

-- トランプが共和党予備選で対立候補を次々となぎ倒したエネルギーが勝利の鍵だった。
 (「野心」よりも「やる気」が人の心をとらえる。ナポレオンを見るとよくわかる。by sekko)

-- フランスの政治ディスクールは、ルイ14世、ナポレオン、ドゴールと、全世界を視野に入れた普遍主義が特徴。そのためには非現実的な公約が必要で、皆がそれを理解している。

-- トランプを支持した人は、「最後の尊厳のよりどころとしての銃の携帯」の権利を失いたくない人。
民衆にとっての「自分の力」のシンボルである銃所有のメンタリティとトランプ支持がセットになっている。
だから武器を持たないフランスとは違う。

-- プーチンとネタニヤウは歓迎している。トランプはアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムへ移すと言っている。 

-- 仏共和党予備選でサルコジのポピュリズムが有利になるのか ? 
ジュッペは冷たい印象を与える。
      
-- 「変革」を謳うマクロンの方が心をとらえるのか ? しかしENA(政治家のエリートコース)出身のマクロンが変革などできるのか。                                                                             
--  来年の大統領選の最終投票にマリーヌ・ル・ペンが出てくるとしたら、相手は社会党よりもサルコジのような人物の方が勝てるのではないか ? 

-- しかし今のル・ペン(国民戦線FN)はずいぶんとドゴール主義を強調している。
政策も、移民受け入れ規制を除けば極左と重なるくらい社会主義的だ。(極左も極右もEU離脱を唱える。)

などなどだ。参考にどうぞ。
[PR]
by mariastella | 2016-11-10 09:33 | 雑感

アメリカのオレンジ大統領誕生のニュースをフランスで聞く

別のことを書こうと思っていたけれど、起きたらトランプ大統領が誕生していたので、オバマの時の「最初のブラックの大統領」が、今回は「最初のオレンジの大統領」になる(映像で見るトランプの顔は確かにいつもオレンジ色だ)というジョークを思い出した。

このブログでは何度も、遠慮がちにヒラリーよりトランプの方がましかも、と書いてきた。マイケル・ムーアの予想があまりにも説得力があったので、トランプ勝利が予測できて、それでも、いざ大統領になったらちゃんとしたブレーンがついて暴言暴走させないように囲い込むだろうと希望的観測をつなぎたかったからだ。

サンダースが民主党候補になっていたら、選ばれていただろうに。残念だ。

8年前にヒラリーがオバマに敗れた時、KKKなどが「白人の女よりも黒人の男の方がまし」、としてオバマ陣営についた時から、アメリカの「ガラスの天井」というより深いところにあるミソジニーの根を感じた。その時と同じクリントンでは無理だろうとおもった。
健康問題もそうだけれど、彼女は「プロ政治家」すぎる。

「プロの政治家」で、政治人生のすべてを「大統領になること」に目標設定していた野心が見え見えすぎる。
そのイメージを多少なりとも「人間的」にするカードが

「夫の裏切りに耐えた」
「今は孫のいる幸せなおばあちゃんになった」

というふたつくらいしかないのは弱すぎる。

「バーベキュー・パーティを時々一緒にしなくてはならないお隣さん」としては、クリントンよりもトランプの方がはるかにましだ。

いいお隣さんの資質と大統領の資質は違うが、直接選挙におけるインパクトには影響を与える。

これから実際にどういう風にやるのかしらないけれど、選挙運動中にここまで暴言を吐けるというのは、もうピューリタン的な「政治的公正」の建前の時代がアメリカでは終わったということなのだろうか。

フランスだったら一回で葬られているようなことを次々言っていたけれど、先日のドゥテルテの記事でも書いたけれど、言い続けていたら、受ける方も慣れてしまうのかと思うと怖い。

日本との関係で、これで日本が「アメリカ離れ」して「真の意味での自前の平和」に向かうのか「平和の名のもとに自前の軍備」に向かうのかは分からないけれど、どちらも単独にはできないので他の国とのパートナーシップのあり方をじっくり考えなおす時が来たのだろう。

フランスはロシアの離脱、イギリスのEU離脱に続くトランプショックで、国民戦線(フロン・ナショナル)のトップがすぐに祝福し、次はフランスが続く番だと言っていた。

FNのナンバー2は、少なくともこれでアメリカとヨーロッパ間の自由貿易協定(TAFTA)はまとまらないだろうと祝福している。

2015年12月にフランスが主導したCOP21について心配する人もいる。

トランプは環境規制について、アメリカの経済を貶めようとする中国の陰謀だ、みたいな見当はずれなことを言っていたからだ。
でも実際問題として、トランプがパリ協定を覆すことはできないだろう。

またトランプは地元NYでは人気がなかったわけだが、もともとはインターナショナルで多様なニューヨークっ子であるわけだから、大統領になった後は、NYの「血」がバランス感覚を取り戻してくれるのを期待するとコメントした人もいた。

他に、民主党と共和党の大統領が定期的に交代すること自体はフランスでも二大政党のサラダボールの法則(混ぜた方がリスクは回避)と言われているので、悪くないという意見もある。

まあ、共和党内でこれほど分裂したのだから、まず内部調整の方が大変だろうけれど。

フランスの大統領選までも半年を切った。

社会党政権がすっかりネオリベのテクノクラート化しているのはアメリカと同じだったので、政権交代は望まれるところだが、トランプのような役どころはそれこそ国民戦線がやってくれるわけだから、フランス共和党では、アラン・ジュッペのような穏健派が今のところ一番人気なのでほっとする。

アメリカに比べたら(サルコジを除いて)みなエレガントに見える。

今回のことはフランスにとっていい教訓でもある。

そうはいっても州邦の集まりのアメリカと違って中央集権の強いフランスだから、トンでも大統領が出現したらダメージははるかに大きい。

トランプはデモクラシーの「多数決」で選ばれたわけだけれど、一応デモクラシーを受け入れている国のいいところは、インターナショナルなデモクラシーやトランスナショナルなデモクラシーもリスペクトしなくてはならないことだ。

言い換えれば、一つの共同体内でのデモクラシーは信用がおけないけれど、汎共同体、超共同体のデモクラシーとのすり合わせというストッパーがあれば、まだ現時点で「最良」のシステムだといえるかもしれない。

日本での反応はこれからネットで読んでいくつもりだ。ひとまず覚書。
[PR]
by mariastella | 2016-11-09 18:43 | 雑感

モンキーマインド

空港宅配便の集配が早く来たので日曜の午前中がぽっかりと空いた。

表参道は人混みなので、青山の方へ行き、国連大学の朝市に久しぶりに行って、青山ブックセンターに寄る。

つい、8冊も本を買ってしまったけれど、もうスーツケースは送ってしまったし、クリスマスまで読む暇もないので、クリスマスに手に入るように手配。
クリスマス休暇の楽しみができた。
フランスに帰ったらクリスマス休暇まで、キリスト教に関する本をスタートさせ、アンサンブルの練習やレッスンの遅れも取り戻さなくてはならない。

いつも前を通っていたけれど入ったことのないクレヨンハウスにも寄った。

絵本だけでなく、落合恵子さんが古希を迎えたということで、「老い」やシニアのファッションなどのテーマの本もいろいろあった。

先日、あるつきあいで、脳の休息法についての本を読まされたのだけれど、その中にモンキーマインド解消法というのがあった。
雑念が次から次へと起こって、自分と雑念の区別がつかなくなって脳が疲労するのだから、それを解消するには自分はプラットホームに残って、「考え」というサルの乗客の乗った電車が行きかうのを客観的に見るようにしろ、という話だった。

それを読んだ時、とても違和感があった。

雑念といえば雑念といえるのは私にもいろいろあるけれど、それで疲れたり、それと同化したりするなんて意識などないからだ。
「考え」は多ければ多いほど、泳がしているうちに勝手にさまざまな形をとって進化するので後からその成果を言語化するだけでいい、という風な部分もある。

いろいろな考えは、全く構成のちがう日仏語で等価に扱い可能になるまでは、まず非言語領域に入れておくという癖がついているからかもしれない。

でも、こういう書店でこういうテーマの本(同時代人だった落合恵子さんがこんなふうなシニアライフを送っているんだなあ)を見たり、いわゆる健康本や健康長寿本、飲んではいけない薬、してはいけない手術とか、シニアの美容だのファッションだののフローな情報(日本にいればこれらがどっと入ってくる)を見たり聞いたりしていると、あっ、これは確実にモンキーマインドなんだと分かる。

そしてこれらの情報の多くはまさに「あなたの将来、あなたの健康、あなたの快楽、あなたの見た目」を扱っているから、ついサルの列車に乗ってしまう人も出てくるのだろう。

モンキーマインド解消法は、思考にラベルを貼り、同じようなもの、すでに考えたものなどを仕分けして雑念の断捨離をしろという認知療法の一種らしいが、確かに、健康情報、快適なシニアライフ情報みたいなものはどれもみな似たようなものだ。
脳内飽和状態になる。

でも老いとか死とか病気とか実存的不安をうまく隠し味にして提供されるので、仕分けしないままに脳疲労を起こすというのは理解ができる。

日本に長くいたら私も気をつけなくてはいけないかもしれないけれど、フランスに帰ったら日本で仕入れたどんな健康情報も美容情報も一週間も経たぬうちに雲散霧消してサルは一匹もいなくなる。

前からそれは気づいていたけれど、日本が高齢化社会になって、健康情報やアンチエイジング情報がどんどん強迫的になってきた気がする。

フランスの高齢者は誰も自分のことを「みんなと同じ高齢者」だと思っていないのだろう。

でも、サルにかまっている暇がないのは、確かだ。
[PR]
by mariastella | 2016-11-07 00:23 | 雑感

あいりん地区で出会ったお坊さん

フランスから田辺にやって来た愛徳姉妹会のシスターたちは2週間後にはベック神父といっしょにあいりん地区にやって来たそうです。たくさんの子供たちを見たシスターたちが水を得た魚のように働き始めたのが目に見えるようです。

釜ヶ崎支援機構とかいろいろなストラクチャーがあって、なんというか、善意の喜びのエネルギーの高さに圧倒されます。ベック神父がシスターたち(聖心会のシスターたちも)と最初のセツルメントを作り、2番目のセツルメントもできていたのに、大阪の空襲できて全て焼けました。修道院と教会と病院だけは奇跡的に残ったのはベック神父に護られたのかもしれないということです。

三角公園で、毎週1回午後アコーディオンを弾くお坊さんに出会いました。アランを見たらフランスの曲を弾いてくれました。レパートリーがたくさんあって、皆さんが歌えるようにしているそうです。
c0175451_055662.jpg
[PR]
by mariastella | 2016-10-27 01:06 | 雑感

フッガーライの話 その2

フッガーライを始めた銀行家のヤコブ・フッガーは16世紀当時のヨーロッパの全GDPの2%に当たる財産を所有していたという。
割合からいうと「有史以来、世界一富める男」だそうだ。

ハプスブルク家が重要な顧客だった。
故郷のアウスブルクは彼のおかげでヨーロッパの金融の中心地となっていた。
フッガー家の宮殿は町のカテドラルに匹敵する広大な建築で、ここを訪れたモンテーニュはどの部屋も自分の見た最も美しいものだと言っている。

その金が、「信仰と福祉」を結びつける革新的なモデルを作った。

フッガーライは1516年から1523年にかけて造られ、簡素だが機能的な建物は500人まで収容できた。

その一人は石工で、1681年から94年まで14番地に住んでいたフランツ・モーツアルトだ。

未来の神童W.A.モーツァルトの曾祖父である。

フッガーライは、町の70%を破壊して730人の死者を出した1944年2/25-26の空襲からも復興して、ヤコブの家系の三つの分家を中心にした財団に管理されている。

経費の70%は3200ヘクタールの森林資源と観光収入と住宅投資からまかなわれている。
16世紀当時のモデルルームや記念館などを訪れる観光客のフッガーライ・ゾーンの「入場料」は長い間無料だったが今は4ユーロ(500円ほど)で、住民の年間家賃の4倍以上だ。アウスブルグには現在2万戸の福祉住宅がある。でも500年の歴史を持つ140戸のフッガーライのシンボリックな意味は大きく、住民たちの誇りとなっているという。

ヤコブ・フッガーは七人きょうだいの末っ子で、聖職者の道を歩むはずだった。

その彼が、大富豪になり、1506年に最初に教皇庁のスイス衛兵の費用を出したり、ローマのサン・ピエトロ大聖堂の建築資金を集めるために免罪符の販売を始めたりしたのだ。

ヤコブは教皇庁に金を貸し、その見返りに、免罪符の販売を一手に引き受けて歩合をせしめていた。

免罪符のシステムに反駁したマルティン・ルターを1518年に召喚して尋問した教皇大使はフッガー家に滞在していた。教皇はレオ10世だ。(参考)

けれども、フッガーライを見ていると、

聖と俗のなれあいや、私的な利益の追求、教皇庁の腐敗やご都合主義などだけが「宗教改革」の契機となっただ、

という単純な図式ではない宗教観や信仰のあり方がそこにはあるのが分かる。(続く)
[PR]
by mariastella | 2016-10-23 11:27 | 雑感

フッガーライの話

16世紀のドイツで銀行家のヤコブ・フッガーが始めた社会福祉住宅は、今も健在だ。

ドイツ南部バイエルン地方の第三の都市アウスブルグ(人口29万人)の中心部に1万5千平米に1516年に建てられたフッガーライ(フッガーの場所)だ。二階建てで隣り合わせの長屋式小住宅が並び、142戸の住居に150人が住んでいる。入居条件も昔からのものだ。1521年に創立者が作った規約は変わっていない。

貧しいこと。

アウスブルクの市民であること。

カトリックであること。

毎日「主の祈り」と「アヴェ・マリア」と「信徒信条」を、フッガーと他の寄進者のために唱えること。

庭の手入れや夜の見回りを手伝えることも望ましい。

最も必要なのは忍耐で、四年前から住む68歳のモニカ・シーバーという女性は七年待ってほとんどあきらめかけていたと語る。

規約だけでなく、家賃も変わっていない。
1521年に1ライン・フロリンであった家賃は、2016年の時点で年間0,88ユーロ、つまり年間100円くらいというわけで、ほぼ無償ということだ。

各戸は寝室とリビングからなる60平米で近代的に補修されている。

イロナ・バルベールは一年前に入居したが、すでにインテリアもすべて整えられていた。アメリカで15年過ごし、2度の離婚を経て今は天涯孤独、わずかな年金しかないが、フッガーライで本当の尊厳を取り戻したという。「もう動きたくないわ、ここで幸せです。きれいだし、静かだし安全だから」

フッガー財団の広報によれば、「尊厳」は大切なポイントで、創立者は「物乞い」は嫌ったという。
つまり「自助努力しても貧しい」人のための施設なのだが、候補者選別の優先基準は「より困っている人」なのだから、柔軟だ。

柔軟と言えば、毎日の祈りの義務も別に監視されるわけでもチェックされるわけでもない。

でも各部屋にかけられたデューラーによるヤコブ・フッガーの肖像画を見ながら、「サインしたんだから祈ってますよ」とモニカは言う。(続く)
[PR]
by mariastella | 2016-10-22 11:04 | 雑感



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
以前の記事
カテゴリ
検索
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧