L'art de croire             竹下節子ブログ

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無神論―二千年の混沌と相克を超えて

  amazonに、 『無神論―二千年の混沌と相克を超えて 』(中央公論新社)のレヴューが出ていた。

 この本を読んで最初になにか言う人の声を聞きたかったので、ネットって、ほんとにありがたい。

 まあ、敷居が低い分、時には無責任や勘違いもあるのでがっかりするけれど、伝えたかったことをきっちりキャッチしてくれた人のコメントを読むと、ほんとにほっとする。その時やっと、本が完成した気がするのだ。
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by mariastella | 2010-05-17 18:03 | 宗教

B16とキリスト軍団

 何かというと脇が甘かったり、批判の対象になってきた教皇B16だが、私はファンだ。
 
 今回のキリスト軍団に関する彼の態度は一貫していた。

 ピウス12世からヨハネ23世、パウロ6世、ヨハネ=パウロ2世と、四代何十年にも渉って騙してきた男を、ラツインガーは執拗にチェックして来た。

 キリスト軍団はメキシコ生まれで、福音派のカトリック版というか、マーケッティング戦略に則った顧客獲得がすごかった。創設当時のイエズス会ってこんな感じだったのかなあと思ったこともあったけど、全くひどい組織だ。

 でも、中にいる人、かわいそう。完全にカルトや秘密結社と同じ構造である。

 あらゆる陰謀系組織もそうだが、オメルタが支配している。オメルタ、は、自由の敵だ。

 B16の融通のきかない誠実なところが、こういうところで発揮できてる。
 彼もラツインガー時代に現金入り封筒を渡されてつきかえしたそうだ。

 カトリックにこういう自浄能力があるのは信頼感をそそられる。

 金、権力、秘密、美辞、脅し、カリスマ、これが組み合わさった「悪意」を告発するのはどんな分野でも容易なことではない。
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by mariastella | 2010-05-16 05:44 | 宗教

『眠れる森の美女』

 エマニュエルが私たちの音楽(途中から入る)をバックに、眠れる森の美女(http://spinou.exblog.jp/13916455/)の最初の紹介ビデオをウェブで流しているので紹介しておこう。

http://www.youtube.com/watch?v=bLkrcsxzlz8


 エマニュエルは、しゃべりながら踊ってる。すごい。終りの方に入っている私たちのトリオの演奏写真は、なんと、2003年に大阪の養護施設で弾いた時のものだ。子供たちが座って聴いている。この小さなバロックミュージカルも、ファミリー向けなので、こういう雰囲気がぴったりだと思ったらしい。

 6月6日のコンサートが終わったら、エマニュエルたちと本格的に練習に入る。言葉の壁がなければ日本でも絶対に楽しんでもらえそうなレパートリーなんだけれど。
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by mariastella | 2010-05-12 05:29 | 踊り

IRIS 会議

 結局IRISの会議に行ってきた。

 こういうの。

 http://www.iris-france.org/docs/pdf/2010-05-programme-csa.pdf

 何と、私が興味ないので失念していたのだが、Le Roy Ladurie は、数年前に紀元千年以降のヨーロッパの気候について本を出していて、地球温暖化の文脈で話題になっていた。今回は全くそれを繰り返しただけだ。地球温暖化とそれにまつわる終末論者の盛衰について何か話すのかなあと思っていた私が完全にずれていた。彼の名の字面を見ただけで中世のオクシタンに心がとぶ私って・・・

 でも、そのおかげで、普通はスルーしそうなテーマの会議に出席できた。原則一般公開だが、参加登録時にIRISとの関係優先になるし、いわゆる宣伝はしてないから、「関係者」ばかりという感じだ。

 結果的に非常に興味深かった。

 コペンハーゲンの環境会議の失敗について、環境会議のパラドクスは、

 一番汚してるやつが一番発言力が強くなる、 La nuisance est la puissance.

 というところだというのがおもしろい。

 もちろん、アメリカ、中国、ブラジル、インドなどで、これら、最も地球を汚している国が相対的に、クリーンにする力も最も大きいわけだから、主導権を握るというのだ。それに対して、アジア・アフリカの他の新興国はどんなになりふりかまわず汚していても、主導権をとるほどには汚していないというわけだ。日本やオーストラリアやヨーロッパのようにすでに環境対策に取り組んでいる国は、発言の重さが足りない。

 しかし今までの国際会議はパワーゲームだったが、環境会議だけは、どこかの国が一人勝ちとかできるテーマではなく、一蓮托生なのだから、この場所でこそ世界秩序を、という話だ。そこでネックになるのは、もちろん世界の南北格差や、貧富の差であり、各国間の格差の是正と公正な分配がないとそれはあり得ない、しかし、それを実現するには、各国の内部における格差の是正と連動しなければならない。「豊かな国」ほど、格差が広がっている。また、アメリカや中国でも、政府の都合とは別に、民間レベルで環境意識や弱者救済の分配ソシアルが盛り上がっているし、先ごろのコチャバンバ(ボリヴィア)での国際ソシアル・フォーラムでの「国際環境法廷」をつくろう決議のように、政府レベルやリーダーレベルでない国際共闘も高まりつつある。

 「フランスやヨーロッパ中心主義ではないか」という発言に、「ヨーロッパは地球をこういう形で搾取してきた歴史的責任があるから、同じ意識を新興国に課すことはできない」とちゃんと答えていた人がいたのも好感が持てた。


 最初に世界の貧困対策を訴えた国連の人は、「ここで décideurs にメッセージを伝えられるのは嬉しい」と熱弁した。

 ということは、ここに参加しているのは、やはり、(私をのぞいて)政策決定力のあるリーダーたちなのか、と、先ごろ書いた『脱陰謀論』のせいで、好奇心が湧く。元財務大臣のゲマール議員も発表したが、この人の名を聞くと、「あの子沢山でパリの真ん中にトレーニングルームつきの広大な官舎をあてがわれたスキャンダルで失脚した人だなあ」と思ってしまう。

 実際、何度も何度も、gouvernance mondiale  という言葉が連発される。陰謀論のせいで、何だか、色目で見てしまう。黒人の作家が、「さっきから gouvernance mondialeが充分でないという話があるが、ということは少なくともgouvernance mondiale がすでに存在するということですね」と、陰謀論者チックなことを言った。

 EUの関係者は、「いや、その胚芽のようなものはある、国連だってその一つだ、しかし、各国のローカルな事情と国際会議のタイミングは合うとは限らず、国連も世界政策の触媒となる代わりにただの公証人となっている。国際会議は協力coopérationの場ではなく調整 coordinationの場でしかないのが現実だ。」とこたえていた。

 食糧問題で、先進国で食糧の四割が捨てられる無駄と、途上国で倉庫や道路や加工場所の欠如のためにやはり生産された食糧の半分以上が打ち捨てられることがある無駄について、二つを混同するなという議論、ブラックアフリカでは、灌漑も肥料も欠如しているので真の農業大臣は太陽だ、という話、それから、この種の話で必ず出てくる、こうしている間にも6秒に一人の子供が貧困のために死んでいるという話・・・

 私は、環境原理主義とか環境ビジネス、環境の政治利用などが嫌いだし、絶望感や罪悪感をかき立てる言説も嫌いなのだが、同じことでも誰がどこでどのように言うかということで、全く変ってくるのを痛感した。

 マラウェイの例のように4年で飢餓から農産輸出にまでラディカルに変わった成功例もあるらしく、強くて大きい立場の者が弱くて小さい立場の者の尊厳を保証しながらサポートする限り、2050年に90億人に達する人類を養うために食糧の70%増産(無駄を解消することも含めて)は決して不可能ではないらしい。

 ル・ロワ・ラデュリーなんかは、フランスが21世紀に入って温暖化してることを保証して、そのおかげでワインの出来がきわめていい年が多かった、と締めくくった。とぼけていい味の人だ。

 この会議録はそのうちに少なくとも一部はネット上で公開されると思うが、早起きして出かけていった価値はあった。
 トップダウンの世界秩序なんて所詮不可能だが、草の根のボトムアップにも、高い視座が必ず必要だ。陰謀論や終末論に凝っている人たちにも、たまには、良心的な国際会議で語られていることをきっちり聞いてもらいたいものだ。
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by mariastella | 2010-05-05 23:58 | 陰謀論と終末論

近況

 これを書いてるのはフランス時間でまだ4月30日。連載の締め切りもクリアしたし、『無神論』の見本が思いがけなく早く届いて、嬉しい。

 5月は生徒たちが戻ってくる。
 聖人論の校正と脱陰謀論の校正、夏休みに向けて連載の書きため、20日に室内楽の発表会、6月初めの踊り付きコンサートの準備、そして、秋の日本でのコンサートの時に出したい音楽本の執筆。

 その前に、頭を無神論や陰謀論から切り替えるために、数冊の本を読み返す必要がある。どうせ参考文献として出すのでここに挙げておく。

 英語ものが2冊

1.Daniel Levitin
  This is your brain on music Dutton)

2.Charles Dill
 Monstrous Opera -Rameau and the Tragic Tradition (Prinston)

3.Ivan Wyschenegradsky
  Une philosophie dialectique de l'art musical

4.H-C Fantapié
  Restituer une oeuvre musicale - de l'oeuvre imaginée à l'oeuvre partagée

5.Ana Stefanovic
  La musique comme métaphore - La relation de la musique et du texte dans l'opéra baroque français:de Lully à Rameau

6.Jocelyne Kiss
 Composition musicale et sciences cognitives- Tendances et perspectives

7.Chrystel Marchand
 Pour une didactique de l'art musical

8.Jean-Luc Leroy
  Vers une épistémologie des savoirs musicaux

フランス語のものはすべて、 
  L'Harmattan が出版社である。
  4番目の著者は私のトリオと長い間攻防戦を続けてきた問題ありの人なので、買うのはすごく抵抗があったのだが、買ってしまった。

 このうちちゃんとノートをとって読んだのは最後の本だけで、後は、コメントを直接本に書き込んであるだけ。最後の本ではアートにおけるコンセプチュエルとは何かがよく分かったので、カトリックのドグマについてのエッセイですでに応用したことがある。(『カトリック生活5月号』)

 他にもうすっかり非言語領域に溜めこんで熟成しているタネがあるので、それにこれらの本からインスパイアされたものを投げ込んで…なんとなくイメージはあるのだけれど、日本語として出してくるのに2週間くらいはかかりそうだ。イメージはこういうの。

http://spinou.exblog.jp/13872300/

 これを書いてた時はかなりクリアになってたのに、その後無神論の校正をして脱陰謀論を書いてるうちに非言語領域に抑圧しちゃったので活性化しない。

 来週はやはり、IRIS会議

http://spinou.exblog.jp/14196878/

 が気になるので、参加申し込みをしてきた。脱陰謀論を書いたところなのでなんだかビルダーバーグ会議にでも顔出すような気分になる。

だとすると、来週はバロック・バレーも再開するから週三度もメトロを乗り継いで外出ということになって、ほんとに本を読む元気なんてあるんだろうか。エネルギーの絶対量がもともと乏しいのにこの頃とみに疲れやすくて足らないからなあ。

 でも、仮に今ぽっかりと一週間あいたとしても、別に元気は出ないと思うから、やることがあるだけまだましかもしれない。トリノに行って聖骸布の公開を見たかったのに、なんか今はすべて脳内でシミュレートして、これでいいや、って思っている。
 


 
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by mariastella | 2010-05-01 06:17 | 音楽

ブラック・ホール

 TVの科学番組に招かれた天文学者が、

 「ブラックホールについてどう思われますか?」

 と質問されて、すごくまじめに、

 「ブラックホールは・・・なかなかやっかいです」

 と答えたんだそうだ。

 フランス語だと

 「Qu'en pensez vous du trou noir?」

 「Le trou noir...c'est troublant.」

 だ。すなわち、

 「ブラック・ホールって・・・ホワイト・ホール」

 となる。 ダジャレにしても面白すぎ。
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by mariastella | 2010-05-01 01:56 | フランス語



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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