L'art de croire             竹下節子ブログ

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フクシマの国にはキリストはいないのか

私のサイトカトリック前教皇の著作を読まれた方からの感想が寄せられました。

それについてお返事を書いたので興味のある方はお読みください。

Forum2 です。

エコロジーとキリスト教についてです。

(その感想はそちらの掲示板に書き込めます。)
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by mariastella | 2014-07-31 20:41 | 宗教

悲惨なニュースが続くこと


フランスではこのところ、8時のテレビニュース(日本の7時のニュースに相当)を子供に見せるとトラウマになるという問題が盛んに取り上げられている。

大人でもいいかげん落ち込む。

マレーシア航空機の残骸、ガザでの殺戮、病院に運ばれる子供、シリアにイラク、子供たちの死者が出た国内のミニバス事故。

そんな時に、先日、同じニュースで山岳遭難のレスキュー隊のヘリコプターの活躍のドキュメンタリーを流していた。山で転落して動けなくなった70歳の男性を救うためにアクロバティックな飛行で救助員を下すヘリコプターの技術は感動的だった。
もう少し遅ければ男性は助からなかっただろう。
このような要請が日に8 件もあるということだった
そして救助された人には費用が一銭も要求されないと付け加えられていた。

70歳で一人で夏山登山するのだから、気力体力にすぐれ経済力もある人だろう。

その人が一瞬の事故で弱者に転落し、必死の救助を受けられる。

救助のチームはいかにも使命感に満ちていて、真剣で、万全を尽くしているのが見ていても伝わってくる。
頼もしい。

子供たちがこういうのを見れば、命の尊さや、弱者を救うことにはコスト計算などないのだと分かってもらえるだろう。

一方で、ガザの子供たちはあっさりと殺されていく。

長期的に見るとイスラエルの最大の問題は人口減で、パレスティナ人の最大の強みは人口増加、若年人口の増加だと読んだことがある。
だからハマスは戦略の一部として子供を危険な場所に人質として残して、殺されることで国際世論を味方につけようとしているのだとか、逆にイスラエル側はまさに、ガザの若年人口のパワーを削減するために非対称な殺戮を続けているのだという見方もある。

どちらも、戦争状態においては子供の命が軍需品の一種だと見なされているかのようだ。

ウクライナのマレーシア航空機事故でオバマ大統領が最初がえらく断定的にロシア攻撃をしているのもパレスティナやイラクなどの情勢から目をそらせるためかもしれないと胡散臭い。

ウクライナ政府軍による誤射という可能性も大いにある。2001年にロシアのTu-154が黒海に墜ちた時、ウクライナ側は初めは否定して後から謝罪した「実績」がある。もちろん、ソ連も大韓航空機を撃墜した前歴があるし、アメリカも1988/7/18にイラン-イラク戦争の時に巡洋艦USS Vincennesが、テヘラン‐ドバイ飛行中のイラン航空の655便を撃墜して290人の犠牲者を出したけれどレーガン大統領が謝罪したという記憶はない。

戦争があったり兵器があったりする時と場所では、このような「事故(?)」はいつでもどこでも起きうるということだ。天災や単発の交通事故などと決定的に違う明らかな人為的リスクだ。

それを可能にしているのはやはり、軍事産業とそれにまつわる国際的な利権構造であり、それをエスカレートさせる「強者に課せられていた規制」を緩和、撤廃するという新自由主義によるモラル崩壊だ。

航空機の残骸や傷ついた子供などの情緒に訴える画像だけに捕らわれていると事の本質は見えてこない。

体の中に、一ヵ所でも深刻に傷ついたり病んだりした場所があると、それがいつかは体全体を蝕み、命を奪う。一番弱い部分をケアしたり支えあったりすること以外に「全体」の生存とそのクォリティの維持は不可能だ。

「共に生きる」ことが「生きのびる」ための唯一の方法だといくら言っても言い足りない。
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by mariastella | 2014-07-23 19:33 | 雑感

インター宗教サッカーゲーム

ウクライナ、パレスティナ、恐ろしい報道ばかり続くが、ここのところサッカーの話題をふっていたので後日談を。

先日のアルゼンチンとドイツの決勝をアルゼンチン人のフランシスコ教皇とドイツ人のベネディクト16世とが一緒に観戦するのかどうかということについてはなんとヴァティカンが正式に「それはない」と答えていた。

神学者でピアニストのベネディクト16世はスポーツに関心がなく、フランシスコ教皇は午後10時就寝なのでイタリア時間午後9時からの試合は見るかもしれない、というコメントもあった。

でも、延長戦だったし、最後までは見られなくて、アルゼンチン・チームの運が尽きたのかも…

というのは冗談だけれど、そのサッカー好きのフランシスコ教皇は、9月1日にローマのオリンピックスタジアムで「宗教間サッカー試合」を主宰するのだそうだ。

ジダンだとか、メッシとか、トッティ、バッジョなどの、引退現役を含めた有名選手が参加するんだそうだ。インテル・ミラノのサネッテイが教皇庁科学アカデミーと共にオーガナイズして、自分も出場するらしい。

他にもいろいろ「大物」が参加するそうで、平和と対話のためにさまざまな宗教の選手が集まるそうだ。仏教とか神道代表で日本人選手とか来るのかなあ。

まあ、確かにサネッティもメッシもアルゼンチンのスター選手だから、サッカーファンのアルゼンチン人の教皇がらみの依頼と言えば引き受けそうだし、トッティやバッジョもイタリア人だから、ローマ・カトリックは地元と言うわけで、人は集めやすいのかもしれない。

でも、わざわざサッカーの試合で異宗教交流って、ある意味スポーツの国際大会はどれも宗教を問わないからすでに異文化交流の役割は果たしているのでは、とも思うけれど。

まあ、昨今のスポーツの国際大会というのはスポンサーとか放映権とか、膨大な賞金だとか、賭け金だとか、平和や対話というよりは「金」と「利権」の祭典みたいなところがあるから、多分みんながボランティアで参加して利益も弱者に還元するのだろうヴァティカン大会は、サッカー好きの教皇にとって「毒消し」みたいなものなのかもしれない。
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by mariastella | 2014-07-19 08:16 | 宗教

ワールドカップとローマ法王

今日がサッカーのワールドカップの決勝。

観戦自体に興味がないのだけれど、フランスで見かけるワールドカップをめぐる言説についてもっと何か書いてくれと頼まれたので少しだけ。

ドイツ対アルゼンチンの決勝が決まってから少し笑えたのは、新聞などに時々、ローマ教皇ベネディクト16世とフランシスコ教皇が肩を抱き合っている写真とともに「恐れもなく憎悪もなく」なんていうキャプションなどが見られたことだ。

現フフランシスコ教皇がアルゼンチン人で大司教時代に地元のサッカーのファンクラブに入っていたというエピソードは有名だが、ベネディクト16世がドイツ人だという組み合わせはすっかり忘れていた。

今回あっさり一時リーグで敗退したイタリアのヴァティカンで、史上初めてのドイツ人教皇と史上初めてのアルゼンチン教皇がこれも史上はじめて二人の教皇が共存するというめずらしい状況で、この二国が決勝を戦うなんて確かにおもしろいめぐりあわせだ。

そういえばベネディクト16世はバイエルン出身で、今回の代表が多く属しているクラブが地元だなあ。

ドイツはともかく、アルゼンチンのサポーターはブラジルと同じく試合に「神の加護」を熱心に祈ってそうな感じだから、「教皇さま、必勝祈願を頼みますよ」と言ってる人もいるのかもしれない。

コスタリカもカトリックが国教になっているくらいだから、祈る神は同じで、アルゼンチンが準決勝でPK戦に勝ったのは「教皇の祈りが効いたかも」とジョークをとばす人もいる。

もっとも、例えばフランスの試合の時、エリゼ宮でTV観戦して歓声をあげているオランド大統領とか、スタジアムに赴いて応援するメルケル首相などの様子がニュースで流れるのと違って、フランシスコ教皇はアルゼンチンの試合をスルーしているという報道を一度だけ耳にした。そりゃそうだろうな、と思った。

普通の国の首長なら、ほんとうは関心がなくても自国を応援する必要が生じるだろうし、それは経済効果や政治効果からしても理解できるけれど、ローマ教皇はヴァティカン市国の首長で全カトリックの首長でもあるから、「出身国」をひいきになんてしていられない。

パレスティナ情勢だけを見ても、他に必死に祈る案件はたくさんある。

もう一つ面白いと思ったのはある若い日本人が、

「フランスはドイツに勝ってほしいよね。そしたら自分たちは準優勝の実力があると思えるから」

と言ったので、

「チッ、チッ、チッ、それは日本人的なちょっと込み入った計算の発想だよ、こういう戦争みたいなメンタリティが支配する場では、自分たちを負かした相手をやっつけてくれ、仇をうってくれ、という単純な復讐の心理が勝つんだよ、フランスを降伏させたドイツを連合軍にたたいてほしい、みたいなやつだよ」

などと答えていたのだが、そしてフランス人にはそういう人も少なくないのだが…

実際は、

例えばブラジルのサポーターは、ブラジルを惨敗させたドイツを、同じ南米の名誉にかけてもアルゼンチンに叩きのめしてもらって復讐してほしい、などとは思わずに、

自分たちに圧勝したドイツにアルゼンチンが勝つなら自分たちはアルゼンチンよりはるかに下ということになるから嫌、

アルゼンチンがブラジルでカップを手にして勝利に酔う姿を見るのは耐えられない、

などで圧倒的にドイツを応援しているらしい。

アルゼンチンのサポーターたちもブラジル人サポータをからかったり挑発したりしているらしいから、近親憎悪みたいなものの方が強く働くのかもしれない。経済関係、外交関係は良好というのだから、アメリカ杯での遺恨(アルゼンチンの勝率が圧倒的)などスポーツ限定なのかもしれないけれど。

南ア大会では南アが敗退してからは、同じアフリカで残った唯一のガーナチームを応援しましょう、と言われたそうだし、日韓共同主催大会では日本が敗退した後は残った韓国を応援しよう、と言われたそうだ。

その理屈ではフランスは、「同じヨーロッパのドイツを応援しましょう」ということになってもよさそうだ。

しかし建前と人々の本音はまた別物だろう。

フランスの試合ではTVを見ていなくてもゴールが決まるとあちこちで歓声が上がるので試合の様子が分かるけれど、準決勝や三位決定戦ではまったく分からなかった。

今日の決勝はどうなるだろう。

16年前、パリのマジック・ショップでマジシャンたちと食事してテーブル・マジックを次々と披露してもらっていた時に、町の喧騒でフランスが準決勝でクロアチアに勝ったことを知ったのを思い出した。今だったらTVを見なくても、スマホなんかで経緯を確認する人が絶対いただろうなと思う。
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by mariastella | 2014-07-13 19:06 | 雑感

ワールドカップと人種差別とナショナリズム

昨日は午後6時から真夜中過ぎまでが、ワールドカップのフランス戦(対ナイジェリア)とアルジェリア戦(対ドイツ)が続いたので落ち着かなかった。

私はテレビ観戦しないが、ゴールなどある度にどこからか歓声が聞こえてくるし、勝利したら町に繰り出す人やクラクションなどで騒がしい。

特にアルジェリア戦はチーム史上初めて決勝トーナメントに進出した夜にサポーターがフランス中で大騒ぎしたので、極右のフロン・ナショナル党首が「二重国籍を与えるな」と言ったり、昨日もニースではわざわざ「公共空間に外国の旗を出すな」という通達が出されたりしていた。

もしアルジェリアが勝っていたら、準々決勝でフランスと対決することになるのだからまた不穏な空気で嫌だなあと私は懸念していた。

アルジェリアの22人の代表選手のうち16人がフランス生まれでフランス国籍を持っている。フランスのカリム・ベンゼマと同じだ。どちらのチームでも選べるわけだ。

ジダンの頃なら「フランス人」で誰も疑問を抱かなかったが、今は移民二世とか三世とかのレッテル付けが普通になっているていう時勢がある。

日本の場合、日本生まれの隣国人が帰化していてさえ差別的言辞の対象になったりする国なので、基本的に、「フランスで生まれて教育を受けてフランス語を話したら二重国籍OKで、どんどんフランスの理念を体現してください」みたいなのことは想像もつかないかもしれない。

もっともそういうフランスの「同化政策」(といってもフランスはそれを「フランス化」と思っていないで普遍主義の共和国理念だと思っているし、少なくとも政教分離はしているから、帝国主義的な同化政策とは少しニュアンスが違う)が破たんしてきているからこそ、移民二世や三世のゲットー化や暴動や、最近では刑務所やSNSで洗脳されてシリアなどの「聖戦」に参加する若者の問題などが噴出しているわけである。

そこを右翼はついてくるわけだ。

しかし現役の政治家の中にも、独立前のアルジェリア生まれという人が普通に存在する。
日本で「満州生まれ」と言うのとは少し意味が違う。
アルジェリアは「植民地」からフランスの海外「県」になっていたからだ。
二度の大戦で「アルジェリア県」の人々はアラブ人でもベルベル人でも「フランス人」として戦った。

独立戦争後にアルジェリアから引き揚げてきたヨーロッパ系の人々や、独立戦争でフランスに与したベルベル系の人々は、似たようなアイデンティティを抱いている。

共和国主義を体現している二世三世の共和国エリートもたくさんいる。

しかしフランスではまさに、その徹底した共和国主義ゆえに「何々系フランス人」という形容が公に禁じられているから、彼らは「フランス人エリート」でしかなく、「マイノリティの成功者のモデル」という形では取り上げられない。ロール・モデルとしてはかえって目立たないのだ。

黒人となるとさすがに外見の差異によって目立つわけだが、サッカーの黒人選手の場合、一昔前はその多く(チィエリー・アンリなど)が今も「海外県」であるカリブ海のグアダループやマルチニック系の家庭出身だった。

しかし、1998年のフランス大会で優勝した時にアラブ系、アフリカ系、白人系とミックスした「フランス統合のシンボル」と称揚されたチームの時代と今ではずいぶん変わった。

今のフランス・チームの黒人選手はアンゴラからの難民(難民船の中で生まれた人もいる)や、セネガル出身、コンゴ出身など、アフリカ系の移民二世のような人が多い。

ドイツのチームに一人だけいる「黒人」選手は父親がガーナ人で母親がドイツ人のハーフで二重国籍、きょうだいはガーナのチームの選手になっている。

イタリア・チームにも珍しく黒人選手が一人いるが、この人はシシリアでガーナ人の両親のもとに生まれ、実家の困窮のため3歳で里子に出された。有名になってから実の親が「返却」を求めたが、彼は自分にはイタリア人のアイデンティティしかないと言って18歳でイタリア国籍を取得した。

サッカーで黒人選手に対する人種差別事件が話題になったのは記憶に新しいけれど、その経歴はさまざまだ。

言えることは、白人の国の白人選手でも、ハングリーな環境で育った人が多いことで、これは肌の色と言うよりも、やはり、スポーツの世界では生まれや肌の色にかかわらず、才能がありハングリー精神をもってのし上がれば「出世できる」という構造があるからだろう。

施設や道具を必要とするスポーツと違ってボール一つでスラム街でも技を磨けるサッカーというスポーツではそれが特に顕著だ。

といっても、「ポケットに金が詰まっていては走れない」と言われるように、あまりにも巨額な金を得てしまうと、ハングリー精神が枯れてしまう。

今回のフランス・チームのように、リベリのようなスター選手が欠けてしまい、若手ばかりになった方がかえってまとまったというわけもその辺にあるのかもしれない。

フランスにいるので、周りの喧騒に巻き込まれないようにフランス戦の時の買い物や外出の時間帯をアレンジするようにしている。

私は基本的にはサッカーが好きではない。音楽のアンサンブルをやっているので、チームプレイにおけるメンタルというものにはすごく興味がある。
でもそういうものは、たとえばバレーボールなどの方が共感を持てる。

球技なのに試合中に殴ったり蹴ったり頭突きしたり噛んだりなどという暴力が頻発するようなサッカーは苦手だ。柔道のような格闘技の方が怪我はずっと少ないと思うし、少なくとも野蛮な感じは全然しない。

でも、サッカーのワールドカップは、例えば世界の最貧国に属するような国でも、たとえ強い個人は金でヨーロッパのチームに買われていったとしても、ワールドカップではナショナルチームに戻ってその国の名のりをあげられるところが面白い。

経済力のランキングや軍事力のランキング、成長率などのランキングばかりでうんざりしているので、それ以外の基準でできた世界のランキングを見ることによって世界への視線が相対化されるからだ。

言ってみれば「多様性」を実感できるいい機会だということだ。

何十年もフランスのような国で生きてきてなお、こういう機会に人種差別や移民問題も含めていろいろなことを考えさせてもらえれるのだから、日本がこういう大会に参加するようになったのは貴重な機会だなあと思う。
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by mariastella | 2014-07-01 22:17 | 雑感



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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