L'art de croire             竹下節子ブログ

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宝積寺の亀や菩薩や金剛力士

天王山の中腹、大山崎山荘のほぼ隣にある宝積寺の清めの水の亀。蛇口じゃなくて亀口だ。
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天下分け目の天王山。
宝積寺には秀吉の出世石とか、一夜で出来たとかいう「一夜の塔」(三重の塔)があったり、迫力満点の閻魔大王やと眷属の像がある。十一面観音もいい。

本堂の脇の廊下にはこんな菩薩(?)もいる。
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木造の金剛力士像の一人の腕が、手を逆に回して腕全体の筋肉の表現が解剖学的にリアルだ。
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個性的な真言宗のお寺だった。
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by mariastella | 2017-03-31 00:30 | 雑感

大山崎山荘と夏目漱石

京都盆地の西 桂川、宇治川 木津川が合流して淀川になるのが見える景勝地天王山の中腹にある大山崎山荘のテラスからの風景。桜はまだ蕾だった。
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庭園ははっとするほど個性的でとても大正時代のものとは思えない。邸宅も美術館も、昭和7年にできたモネの睡蓮などのある地下のギャラリー なんて、まるで直島の地中美術館みたいだ。
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でも、なにより驚いたのは、この山荘を造った加賀正太郎という証券業者と、明治の文豪 夏目漱石との関係だ。漱石は亡くなる1年前に京都に滞在した時、祇園の女将が連れてきた加賀と会う。

3/20 文芸芸妓として知られた女将と知り合い、その機知を気にいる。
3/22大山崎に別荘を建設中の加賀が、女将に頼んで、漱石にその別荘の命名を依頼に来る。
単に命名だけでなく実際にその地を見てほしいと執拗に頼む。
4/15 女将と共に大山崎へ。
4/17 東京に戻る。
4/18 手紙が溜まっていてその返信に追われ、加賀の依頼にまだとりかかれていないと書く。
4/29 山荘の命名案を14,5も送る。しかも弁解がましい。

考えないわけではないが、何も頭に浮かばない、と言いつつ、竹とか三川という言葉を入れた一つ一つの案について、その言われ、長所短所のコメントも丁寧に付けている。(これらの書簡が表装されて展示されていた)
で、「気に入らなければ遠慮はいりませんから落第になさい」と書いた。

それを真に受けたのか、まだ20代の若き富豪の加賀は、文豪の漱石の命名案をボツにして、「大山崎山荘」とだけ名付けたのだ。

これを知った漱石は「悪ければ悪いで、あれでは気に入らないからもっと別なのを考えてくれと言えばいいのに」と語っていたそうだ。

おそらく事前に漱石に十分な謝礼でも 前払いしていたのだろうけれど…驚きだ。
加賀はイギリス帰りでキューガーデンに感銘を受けて山荘の造営を思い立ったというから、おそらく同じイギリス帰りの漱石に何かイギリス風の命名を期待していたのだろう。「文豪に命名してもらった」という成金の名誉欲はでなく、イギリス風が欲しかったのだ。
その後の加賀の活動や感性を見ていると、彼は本物の「国際人」だったようで、「イギリス帰り」と言っても中味は明治の文人だった漱石の命名センス(杜甫の詩句や荘子などが出典)には失望したのだろう。

それにしても、漱石の書簡や日記を見ていると、あまりにも自然体で、まるで今の若者がfacebookで日記を書いているようなノリで驚く。鬱っぽい気分も率直に書くし、親近感をおぼえるほどだ。
私は3月末の寒さにうんざりしていたのだが、ある冬、最初に京都に着いた時の漱石は、「日本にこんなに寒いところがあったとは……」みたいなことを書いていて、東京から持ってきた自分の熱がどうなることやらなどと言っているので笑えた。それら全てがしっかりした墨蹟であるのもミスマッチで楽しい。

「今、午後十時です。」とか「現に今書く手紙は」とか、臨場感というか同時性があるのもまるでメールのやりとりみたいだ

ともかく、加賀が、結局「山荘名撰主人意に満たず」としながらも、さすがに別の人にイギリス風の名をつけてもらうことはなく、ただ「大山崎山荘」としたのは漱石へのリスペクトだったのかもしれない。

漱石は大山崎を訪れた翌年に沒し、その翌年山荘が完成した。ちょうど百年前のことだ。
1932年に漱石書簡が表装されて1935年の漱石忌に橋本関雪邸で展示され、その次が2017年の今年(漱石生誕150周年)だそうだ。

いいところに巡り合わせた、と思う。
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by mariastella | 2017-03-30 00:19 | 雑感

大野初子さんの人形

白沙村荘の橋本関雪記念館ではじめて見た大野初子さんの人形。
これは未完の遺作。
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すごく絵画的な造形なのだと驚いた。

お婆さんと孫。
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これは「女形」。なんだか本物よりリアル。
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by mariastella | 2017-03-29 00:41 | アート

首相夫人と大統領夫人

日本についてから散々目にし耳にしたのがやはり森友学園疑惑。
国会喚問の籠池さんのキャラがユニークだ。
首相夫人はメールといい「私人」認定といい支離滅裂な状況。

思えば、フランスでは、大統領夫人といえば、法律的にはともかく、非公式の陳情窓口として表向きに機能していた。

もっとも、特別の配慮とか利益誘導を願うのとは反対で、いろいろなレベルの行政から不当な搾取や損害を受けている人の駆け込み寺という位置づけだった。

コネもなく、弁護士に払う金もなく困っていて助けを求めている人、またそういう人を助けてあげたいと思っている人が、大統領あてではなく夫人宛に手紙を書く。
専任の係りが取捨選択しているのだろうが、まず間違いなく、読んでもらえて、返事が来る。

今は政治家もローマ法王もツイッターのアカウントをもっていて、メッセージを送ると少なくとも多分オートマティックに返事が来たりするのでて、それだけで一定の満足感を得られる人もいることだろう。

大統領夫人への訴えも、フランス人ファーストではなく、誰にでも開かれていた。
お役所仕事の緩慢さ、複雑さをスルーして、弱者優先の精神があった。
必要とあらばちゃんと「忖度」なり「口利き」があって救済措置が取られたようだ。

私も、今となってはもう何であったか覚えていないけれど、シラク大統領夫人に手紙を書いて、秘書の人だかに返事をもらったことがある。日本だったら考えもつかなかった。

もっともこの「伝統」はシラクの後途絶えたといってもいい。

サルコジ大統領は就任前から妻に逃げられていたし、いったん家族でエリゼ宮入りしたもののすぐ離婚し、再婚相手はよく知られたイタリア人歌手だった。

その後のオランド大統領は、4人の子をなしたロワイヤル女史とすら結婚しておらず、就任したときにいっしょだったジャーナリストとも別れて暴露本を書かれる始末だった。
その後の恋人の女優とも一緒にすんでいない。

すでにフランスでは「夫婦」「結婚」という制度自体がマイナーになりつつあるので(これに夢を持ち?こだわるのは同性愛カップルだったりする)、「セーフティネットとしての大統領夫人」はもう出てこないかもしれない。
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by mariastella | 2017-03-28 11:46 | フランス

橋本関雪のキリスト

先日の河鍋暁斎のキリストに続いて、橋本関雪のキリストとユダ。

なにかオリジナルがあっての模写なのかどうか分からないけれど、これはまったく違和感がない。

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どちらにしても、暁斎といい関雪といい、明治時代以降にキリスト教美術の倒錯的?なテーマ(教祖?が裏切られたり処刑されたりする)に遭遇した日本の画家たちの驚きが想像できて興味深い。
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by mariastella | 2017-03-28 00:24 | アート

哲学の道の猫

銀閣寺から南禅寺へ向かう哲学の道にいた猫です。さすが京都(なにが?)。


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南禅寺の屋根の猫。さすが京都(なにが?)。 (拡大してください)

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by mariastella | 2017-03-27 00:11 |

南禅寺と白砂村荘

つい先日、東銀座の歌舞伎座で、南禅寺山門の上で藤十郎の女五右衛門が「絶景かな」という華麗壮大な舞台を観たところだ。舞台と違ってあいにく桜はまだ蕾だったけれど、私もその山門(三門)に上がって来た。その階段の段差が半端ではなく、女五右衛門のあの豪華な着物では絶対上がれないだろうな、と思ったり。
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白砂村荘の庭にある藪羅漢の表情は味がある。
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by mariastella | 2017-03-26 00:14 | 雑感

三月大歌舞伎

先日、歌舞伎座の三月大歌舞伎の夜の部に行った。

絶妙の三作組み合わせだった。

ビジュアル的にも、『引窓』の引窓を使った効果、相撲取りという設定が印象的だし、昔風の家父長的親子関係でなく、義理の息子、別れた息子、遊女だった義理の嫁、など家族関係が錯綜していて、登場人物が少ないのに複雑な感情が書き分けられていて見ごたえがあった。

次が『けいせい浜真砂』で女五右衛門が南禅寺山門の場で「絶景かな」とやる。贅沢の極み。

名優ふたりの掛け合いで短いけれど極端に豪華絢爛な舞台。でも、人間国宝でなくてもいいから、藤十郎よりもっと若い細面の女形だった方が仁左衛門とバランスがとれたのに。

最後が『助六由縁江戸桜』で、これも豪華絢爛の上にあらゆるタイプの登場人物が出てくるので、まるで歌舞伎百科事典みたいだ。

海老蔵は2年ぶりで、前は「うまい」ことに感心したが、これは、「うまい」よりも前に姿のよさが引き立つ。
口上がついていて河東節付きのバージョンを観るのは初めてで、300年来、旦那衆とその夫人らが特訓するという話を聞いて、まるで300年前のフランスのオペラ・バレーみたいだと思った。日本では今でもそんなことを続けることができる層が存在するというのがすごい。

フランスのバロック・オペラは王侯貴族主導だったので、フランス革命でいったん絶滅したけれど、日本の江戸歌舞伎はそういう身分制度の枠外でいわば「悪所」で栄えた文化だから、「近代」の激動を乗り切って続いたのだろうなあと感慨深い。
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by mariastella | 2017-03-25 00:11 | 演劇

河鍋暁斎のキリスト

これは 今回 はじめて実物を見た河鍋暁斎のキリストの絵の部分。

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『五聖奏楽図』と言って、十字架の下で仏陀やら孔子やらが楽器を弾いていて、キリストも十字架に釘打たれた手で錫杖みたいなものと扇を持っている。

全ての聖人は衆生済度のハーモニーを奏でるような意図で、キリスト教の禁令が解かれた時の、まあ好意的な理解だと思うが、突っ込みどころはたくさんある。暁斎のような天才にして、異国の宗教文化の図像的理解は簡単でなかったのだろうなあ。

キリストが苦しんでいないで、なにか憮然としているのが何というか、外れまくっている。

暁斎のような天才が本気で磔刑図を描いてたらさぞや迫力があっただろうなあと思うから、見てみたかった。
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by mariastella | 2017-03-24 00:19 | アート

こうの史代さんと河鍋暁斎

これは前の記事の続きです。

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それは、今回日本に来てから真っ先に観に行った河鍋暁斎展で見た暁斎絵日記だ。巻紙に、毎日40センチくらいの長さに、1日の出来事のいくつかの場面をレイアウトして描いている。

絵日記というのはこういうものなんだとはじめて納得した。 昔小学校の課題の絵日記なんて、挿絵付きの日記だった。「絵」で全てを語らずにはいられない人っているんだなあ。

時代も立場も全く違うけれど、暁斎の絵日記を見てすぐに連想したのが日記仕立ての『この世界の片隅に』だったのだ。

暁斎の画集は、以前太田記念美術館で見つけて買い、すごく気に入っていた。実物を見るのは今回がはじめてだ。
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by mariastella | 2017-03-23 00:54 | アート



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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