L'art de croire             竹下節子ブログ

タグ:ネコ ( 2 ) タグの人気記事

スピノザ頌 4

(承前)
c0175451_23590685.jpg
どんなにぎゅうぎゅうでもカゴが好き。

c0175451_23572518.jpg
ノートパソコンの上におすわりしておやつを待つ。

c0175451_23575615.jpg
こうすると精悍な風貌に。鼻の上が濡れているのが実はかわいい。

スピノザの臨終のそばにいて、思いついた言葉は、何とか元気になって、絶対に回復して、死なないで、というものではなかった。
変な話だけれど、ヨハネ=パウロ二世が亡くなったすぐ後で人々がsanto subitoと叫んだことを思い出した。(人々がすぐに聖人として迎えたのだ)

スピヌーのような生き方と死に方をするネコは、死んでもいなくなるわけではない。
いや生きている時からもう、聖人のように生きていて(つまり、周りの猫や人をひたすら幸せにしてきて)、体が年老いて不具合になったから存在の形をシフトさせるけれど、そばにいてくれて私たちを幸せにし続けてくれることは自明のように思えた。

虹の橋を渡る、
とか、
猫の天国に行く、
とか、
いつか別の子猫に生まれ変わってきて戻ってきてくれる、
とかは思えなかった。

そのまま、そばにいて、愛してくれて、愛されてくれる。

スピヌーは私を力づけてくれ、力づけ続けてくれる。

時々目を開けたけれど、穏やかだった。
そばにいるよ、ずっとそばにいるよ、
と言っているようだった。

私がもしこういう安らかな死を迎えることができるとしたら、スピヌーのように、私のそばにいるかもしれない人を安心させて励ましてあげたい。

言葉が話せる状態なら、それを言葉にしてあげたい。

「いつも守ってあげるからね」

って。(それはスピヌーから聞越えてきた言葉でもある)

それが本当にできるのか、
死ねばただのブラックアウトなのか、
そんなことは分からない。

でも、愛する人や大切な人にそういう言葉をかけてから旅立てば、後に残る人にとって多大な慰めになるのは確かだ。死ぬ間際にでも、そういうポジティヴなことができるのだ。

愛する人や大切な人が臨終時に「痛い、苦しい、死にたい」あるいは「死にたくない、死ぬのは怖い」などと言うのを耳にしなくてはならない人の苦しみはどんなに大きいだろう。

私の父は亡くなる前に母に手を合わせて「ありがとう」と言ったそうだ。
母はそのことばかりをずっと話していた。
父が母に残した最大のプレゼントだったと思う。

私の母は脳幹出血で意識を失う数時間前にいっしょに散歩しながら、

「私は人生でやりたいことを全部できた」

と言っていた。

そのことが私にとってどんなに救いになったか分からない。

だから私も、死ぬ前には嘘でも偽善でも強がりでもなんでもいいから、できればそういうポジティヴな言葉を残すようにしようと思っていた。

スピノザの死を見て、もっと確信が持てた。

事故や災害や苦痛のともなう死に方を避けることができるなら、
「これからも、いやこれからもっと私を頼りにしていいからね」と言い残して死んでみたい。

マザー・テレサだって、リジューのテレーズだって、同じことを考えていた。
薔薇の雨はだれにだって降らせることができる。

なぜなら、薔薇の雨を降らせるのは聖人たち自身ではなくて、彼らの思いの彼方にある何かだからだ。

いのちとは関係性なのだ、と分からせてくれたスピヌーは今もすぐそばにいる。







[PR]
by mariastella | 2017-07-22 03:25 |

スピノザ頌 1




c0175451_05254175.jpg
c0175451_05263792.jpg
クチャクチャの書斎机の上で寝るスピ
c0175451_05273942.jpg
入っちゃいけない所に入ったのに、追い出されないで、iPadを取りに行ったので、不審顔のスピ。

16歳3ヶ月で旅立ちました。



[PR]
by mariastella | 2017-07-13 05:41 |



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
以前の記事
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
カテゴリ
検索
タグ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧