L'art de croire             竹下節子ブログ

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スピノザの49日?

「スピノザが亡くなってから今日で49日ですね」というお便りをいただいた。わたし的にはスピヌーは即天国で、いつも私のそばにいるので、49日って…なに、それって感じもするが、そうか、そろそろ喪も新しいステップに移るのかもしれない。

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「お兄ちゃんがいなくなって、ぼく、悲しい…」と涙を拭う今朝のイズー。(もちろんやらせです) 実際はママ(私)のひざの上でこんな感じ。
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by mariastella | 2017-08-28 19:16 |

スピノザ頌  (終)

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スピヌーの遺灰が戻ってきました。
白の陶器の壺か、絵柄で装飾された白の陶器壺か、エコロジカルな段ボール容器かどれにするかと聞かれました。はじめてです。値段は同じです。うちにはもうサリーとマヤの二つの絵柄付き壺があり、灰は庭に埋めましたが壺は捨てることもできず残っています。で、紙製でOKと言いました。エコロジー・ブームのせいか、いっしょに埋めたらお花が咲くという種のついたハート型の紙もついていました。
(考えたら、母の骨壺も、お骨を土に戻すように布にくるんでお墓に納めた後で、どうしますかと聞かれてそのまま引き取ってもらいました。その後リサイクルしているんだろうか。母のために「購入」した壺も前の人のリサイクルなのかなあ、と思ったことを覚えています。) 

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スピヌーの遺灰のそばに寄りそうイズーくん。

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おにいちゃんはどこ…


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ずっといっしょだよ…

....


以上、と、いうのは、2枚目以降、全部「やらせ」です。

イズーの座った横に壺を置く、
壺の上にカリカリのおやつを一粒置く、
庭から切ってきた薔薇の花にちょっかいを出しに来るイズーくん、

というのが事実です。

スピヌーが死ぬために部屋の隅に陣取って動かなくなった時、イズーがちょっかいを出したりすると嫌だから隔離しようかと思ったのですが、驚くほど関心を示しませんでした。スピヌーをさがす様子もなく、完全に気配がなくなったようです。

人間の方はなんだか「死の香り」を感じて暗澹としていましたが、イズーはただ、突然に、孤独の中にほうりこまれたようで、いつもよりも私たちに甘えていました。
猫は死ぬときに隠れるといいますが、イズーに対してはもう、完全に隠れて消えていたようです。私たちの愛撫や声かけは拒否しないで受け入れてくれたので、人間との関係は「別」で、人間の方は面倒だけどかまってやらないとだめだなあ、と気をつかってくれたのでしょう。

スピヌーの遺体を医院に持っていくとき、あまりにも「聖人」崇敬が頭にあったので、一瞬、聖遺物をとっとこうかと思いました。

白くてぴんと張った髭。

でも、こんなの、時々床に落ちてるし。
ブラッシングした毛は球にしてとってあるし。

美しい耳を見て、一瞬、この耳をとっておこうかという、聖遺物信仰の類推呪術が一瞬、頭をよぎりました(ジェイコブスのホラー小説の『猿の手』とかまではさすがに連想しませんでしたが)。呪術と関係なく、なんでもいいから愛する者の体の一部をとっときたいという原始的な衝動だったのでしょうか。

すぐに、モノとしての亡骸ではなく、私のそばにいるスピヌーに現実に引き戻されました。

ぼくはここにいるよ、

って。

スピヌーに勇気づけられて、ちゃんと「喪」の手続きをすることにしました。
偶像崇拝してちゃいけない。
それにはイズーも参加してもらわなくては。
というわけで、一連の撮影となったわけです。

スピノザ、ありがとう。

このシリーズはこれで終わりです。
書くことがいっぱいたまっているし仕事も遅れているのにこれ以上ぐずぐずしていたらスピノザに叱られます。君にもらった力をきっと生かすからね。


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by mariastella | 2017-07-23 02:52 |

スピノザ頌 3


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書斎机の上のスピノザ。死のひと月前くらいです。

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ベッドの上のスピノザ。

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デザートを待つスピノザ。


今回スピノザの死を見ていて、理想の死に方というのがどんなものかが実感を持って納得できた。
人間としてそれに付け加えるべきプラスアルファも。
少しずつ書く。

まず、ガイアのような軽い病気と医療事故、サリーのような悪性腫瘍、まやのような数年にわたる少しずつの衰弱と、死に至るときの数日間にわたるまた少しずつ増えていく苦しみ、などの経過は人間にもあり得るだろう。人の場合なら、緩和ケアというものがうまく機能することを願うケースだ。

スピノザはいつも少しやせ形で筋肉質で、ライオンのような子だった。
4年少し前、まやが死んだ後に全身を引っ掻き始めた。長年メンテナンスをしているので蚤などではない。獣医に見せたらストレスだろうと言われた。で、子猫イズーを迎え入れたらたちまち若返って、イズーと生き生きと遊び始めた。
イズーの教育係と言うか兄貴分の地位は最後まで変わらなかった。
年が離れているからもともと食の細いスピノザには特に気を使って老猫用の餌を与えていたし、特別扱いしていた。イズーもそれを受け入れていた。

でも、まやの死に近い16歳が近づいたころから、目を離すとプラスティックの袋をかじっては吐いたり、すぐテーブルにのって、クリームチーズを泡立てたデザートの容器の底にある残りをなめさせてもらうことを毎日要求するようになった。

味はついていないし微量だが、乳製品は基本的によくないのは分かっているのであまりやりたくなかったが、これを禁じたところで数年長生きするとも思えないし、今の幸せを優先した。

デザートまでじっと待って、後は冷蔵庫を開ける時からわくわくして、こちらが食べ終わるのを見守ってもう大きく喉を鳴らすのだった。

そのアディクションが増大してきたのは気づいていた。水も晩年のまやほどではないが昔より飲むようになり、腎臓が弱ってきていることは気づいていた。

インターネットで何度も調べた。
スピヌーとそっくりなケースの相談や体験談がたくさんあった。

つまり、

16歳を超えるような老猫
完全室内飼い
病的なほどに獣医息が嫌いで無理して連れて行くとストレスで死ぬのではないかと思うほど泣き叫ぶ

というケース。

8ヶ月くらいで去勢手術に連れていった時に、往きの車の中で恐ろしい声でなき続けた。

あらゆるトーンを駆使するし、フレーズが長い。

さて、インターネットにこの種の猫の健康相談がたくさんあるのはなるほどだと思う。
もともと猫医者の所に簡単に通っているような猫の場合なら、年を取って食が細くなったらすぐに医院に連れていくだろう。
点滴をしたり薬を与えたりして食欲や元気がその都度回復するようなケースもよく見かける。

でも、明らかに医者に行くことのストレスの方が年取ることの不具合のストレスよりも大きいと分かっている猫で、だからこそできるだけ医者を避けるという暮らしをして16歳で元気で幸せな猫と暮らしていて、それが急に食が細くなったり元気がなさそうになった時、果たして過剰なストレスをかけるのがいいのか、うちでそっと休ませるのがいいのかと自問することは、飼い主にとって大きな悩みとなる。だから、そういう人ばかりがネットに投稿するのだ。

で、答えは、まあこういうケースではとうぜん予測されることだけれど、

苦しんだり痛がっている様子がないならそっとしてずっとそばにいてあげましょう。
まず獣医に連れて行って診断を求めるべきです。血液検査が必須処置。
入院して点滴すれば回復するケースがあります。とにかく入院を。
猫によっては症状が現れる時にはすでに手遅れの場合もあります。

などなど・・・。

想定内である。

最後、スピノザがある日突然、ぱったり食べなくなり身を隠し始めた時の私の直感では、これはスピヌーに死期が訪れたんだろうと思った。それまでも、ある意味、いつ、どんな風にそれが来るのかを何度もシミュレーションしていた(私が日本に行っている間ならどうしよう、なじみの獣医がバカンス中の時だったらどうしようとかなど)ので、もし、このまま、こういう形で静かに逝くとしたら理想ではないかとも思った。

でも、獣医に診断させて、獣医の口から、

「ああ、これは老衰ですね、延命措置をしても長くはもちません。静かに看取ってあげてください」

という一言を「お墨付き」のようにほしかった。
それが欲しかったのは私だ。スピではない。

で、死の2日前にすでに泣き叫ぶ力もないスピヌーを獣医に連れて行っ点滴してもらったが反応はなく、「安楽死させますか」と聞かれたが、苦しんでいないので連れて帰った。もし苦しんでのたうち回るようなことがあればまた連れてきますと言った。

子猫のスピノザを16年前にうちに連れてきた当時の医学生は、今、大学の医学部で教え大学病院でも働いている。
その彼女にスピノザの状態や獣医の言葉を伝えると、

スピはなんといってももう十分高齢だ、
その様子ではこの週末が峠だから、無理な延命治療をしない方がいい、
私は病院で毎日人が死んでいくのを見ている。
スピのように幸せな生を送った猫ならそのまま早く逝った方がいいと思う、
何ヶ月もかかれば、もっと早く楽になれればいいのにと思うことで周りのみんなが罪の意識にかられることになる、
今回無理に持ちこたえさせてもすぐに次の危機が来るのは目に見えている、
スピのためにいいかどうかは分からない

という意味のメールが来た。

(続く)

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by mariastella | 2017-07-18 00:27 |

スピノザ頌 2

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リビングの食卓の上に寝そべるスピノザ君。客用のダイニングも隣接していますが猫禁止なのでほとんど使っていません。
うちは二軒長屋で、隣に猫の苦手な人を迎える玄関やダイニングもあるので、人には見せられないこういう姿もOKでした。テーブルの上にのってくれると写真を撮りやすいのでむしろ歓迎。
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たまには椅子の上にのってテーブルの下に隠れていることも。

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妹猫、弟猫、私の髪も舐めて整えて(?)くれるスピノザ。時々舌をしまい忘れるのがかわいい。
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スピノザの死を見て、はじめて「理想の死に方」に遭遇しました。
「聖人システム」の効用や 「santo subito」の欲求も実感しました。

死に方で言うと、ここ20年ほどで失った4匹の猫を比べると、

1997年に死んだガイアは、わずか3歳半、膀胱炎だったのに尿管結石と誤診されてカルーテル挿入と取り出しのために2度も麻酔されて死んだ。獣医の請求書に「一回分しか計算していませんから」と言われた。「心臓がもちませんでした」と電話があった。
うちから歩いて1分のところで開業している獣医だが、それ以来一度も足を踏み入れていない。

2010年に9歳で死んだサリーは、元気だったけれど、乳癌のしこりを発見して獣医(これは歩いて10分くらいのところにある医院でとてもやさしい人)のところに連れて行って、手術したが、免疫力が弱っているせいか猫風に感染して戻り、それがうちにいたスピノザやまやにも伝染した。
それ以来ぐったりして、目も見えなくなり、獣医は癌が脳に転移したのだろうと言った。
どうして自分がこうなったのか理解していないようで、動こうとして動けず、とても苦しそうで、最後に血を吐いてばたりと倒れた後でまた獣医のもとに連れていった時は、もう意識はなく、麻酔をかけてもらってお別れした。手術の前は全く元気にしていたので、死期を早めたという気がした。
5歳上のまやが12歳の時に口元に腫瘍ができたのを手術で除去したら元気に長生きしていたので、手術さえしたら助かるかと思ったのだ。

2013年に17歳少し前に死んだまやは、最後の数年、腎臓が弱っているのは分かっていたけれど心理的に問題の多い子だったので、積極的な治療はしなかった。サリーのこともあったので、もう外科的なことは何もしたくなかったし、病院にも連れて行きたくなかった。白内障もあった。だんだん食べなくなって動けなくなって、優しい先生に往診に来てもらい、うちでできる世話はすべてしたけれど、水も受け付けなくなり、立てなくなり、それでも痙攣して苦しそうだった。最後に獣医の判断を仰ごうと連れていった時はもう動きもしなかった。麻酔を打ってもらってお別れした。「麻酔」と言うのが即安楽死なのかどうかは分からない。ともかく、表向きには、まずゆっくり眠らせてくれる、ということで、納得する。

サリーもまやも火葬してもらって壺に入って戻ってきて、一年後に庭に灰を埋めた。

で、スピノザ。最後まで目も見えていたし、2メートル以上の跳躍力もあり、12歳年下のイズーに対して絶大な権威があった。ある日突然食べなくなった。次の日に飲まなくなり、排泄もせず、隠れた。腎不全の末期だと思ったが、念のため往診してもらった後、病院で一度点滴した。それで少し元気になって自力で飲んだり食べたりするなら続けようと思って自宅点滴道具も持って帰った。でも病院の点滴の後でますます動かなくなった。
一度だけ点滴してみたが、様子が変わらない上に痛々しくて、これは残される人間のためにやっているのだと確信した。

食べない、飲まないから死んでしまうのではなくて、
死ぬから、食べたり飲んだりしなくなるのだということが明らかだった。
静かに、ゆっくり息をして、声をかけると時々頭を上げたり尻尾を動かしたりしてくれた。

いっしょに暮らしてくれてありがとう。
愛してる。
これからもずっとそばにいてね。(今とは別の形で)

の三種の言葉をくりかえして愛撫し続けた。(続く)



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by mariastella | 2017-07-14 07:29 |

猫と音楽と学年末

ツボにはまりすぎてとろけそうになる。

(動画のリンクが開かないようなのでアドレスを貼り付けます。これをコピペして開いてください)

https://www.facebook.com/FelineLovers/videos/397358127288508/

写真はこんな感じ。
こんな風になるのは至福だけれど、でも私の場合、実際は、猫にまつわりつかれると練習できないのでドアを閉めている。

楽器を爪で引っ掻かれるのも怖い。

去年の今頃はフィルハーモニーで弾く曲の暗譜のおさらいとスピードアップで忙しかった。

今年もフランスでは「学年末」なのであわただしい。
23日にヴィオラでバッハのブランデンブルク協奏曲を弾く。
私は第一ヴィオラ。
緊張するのは第三楽章の32分音符が形を変えて出てくるところだけだ。
第一楽章は楽だし、第二楽章は一小節しかない。

生徒たちも混ぜることになったのでテンポをやや落とすので楽になった。
チェロとコントラバスは音楽院の教師が加わってくれる。

今日の午後も3楽章を4度も通しで弾いた。
いつも思うが、全く「間」のない曲で、弾いていると酩酊状態になりそうだ。
あんまり考えないで済む、というのは助かる。
その他に、カルテットで、イギリスの曲Giles Farnaby(1560-1640) のHis Humor 。
もう一つパサカリアを弾くのだけれど、このメンバーにはバロック・バレーの想定というものがまったくないので、フラストレーションを感じる。

その他は、秋のトリオのコンサートの練習をしている。
ある程度「毎日」さらわないと、左手の小指の筋肉が落ちるからだ。

ヴィオラでも左手の小指を使うけれど、ギターほどに角度がいろいろ変わらないしあまり力を入れなくても音が出る。ギターが一番大変だ。

田村洋さんのオリエンタル・ダンスの全楽章がそろったので、最近通しで弾き始めた。

物語が展開する第一楽章、
ゆったりメロディックなのにバッハっぽい場所もある第二楽章、
そしてリズムがおもしろく、ゲーム音楽にもなりそうな第三楽章。

第一楽章はのっけから「ダンス」が見える。
第三楽章はもちろん体を動かせる。

難しいのはダンス曲としての第二楽章をどう扱うかだ。

この楽章にだけ「dream trees」という副題がついている。
だんだんと見えてくると思う。

10月の山陽小野田市での初演が楽しみだ。





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by mariastella | 2017-06-03 02:42 |



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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