人気ブログランキング | 話題のタグを見る

L'art de croire             竹下節子ブログ

キリスト教の再活性化  フランソワ・ジュリアン   その4

(前の記事の続きです)

Q : 両側からのその批判にどう答えますか?

A :  哲学者とは、ある意見の体制の外側で試行する者で、矛盾したポジションに立たされるリスクを受け入れる者です。キリストのメッセージには思想にとっても生き方にとってもためになるものがあることを示すことで、私は哲学者としてキリスト教のメッセージを活性化する哲学的な一貫性を保とうとしています。キリスト教の源泉のすばらしさを断言することも躊躇していません。この源泉は誰にでも開かれているもので、そこを探ることでそれが活性化されます。無視することはそれを絶やすことです。過去になされてきた信仰と無神論のイデオロギーの戦いや、天を信じる人と信じない人、などの対立という図式の外に出ることが必要です。「もしも神が存在したら?」という問題の立て方は私のものではありません。

Sekko :  この辺の事情について私も『無神論』(中央公論新社)などに書いてきた。日本人にとっては、キリスト教のベースから発展してきた「西洋」のイデオロギーに服すより、その源泉に触れる方が、思想や生き方のベースになると思う。イエスは革命的な新しさを説いて政治犯として処刑されたパレスティナ人だ。欧米ヘゲモニーに対抗できる。
それでも、日本においてでさえ、キリスト教がマイノリティであることもあって、私の本を読んで「キリスト教でない人にこんなことを書いてほしくない」と言った「信者さん」がいたことがある。「まず信仰の有無を問う」という形から脱却しなくてはならない。

# by mariastella | 2024-03-05 00:05 | 宗教

キリスト教の再活性化  フランソワ・ジュリアン   その3  (お知らせあり)

(前の記事の続きです)


Q : 厳しいですね!  たとえば、ベネディクト16世はQuidの中で、ヨーロッパがキリスト教から受け継いだものの麻酔状態にあると批判していましたが。

A : ベネディクト16世はキリスト教精神を最も強調しました。ヨーロッパはエルサレムとアテネとローマの出会いであり、キリスト教が信仰と理性の関係を広げたと思い起こすのはいいことです。しかし今、偉大な神学者はいますか? 妥協的になり、司牧に特化してエコロジー色のある善意の言葉しか発しない。知的な狡さで、神学的怠慢です。やるべきことをやる人がいないから、キリスト教が思想に与えた影響を検証した『キリスト教の源流』(2018)以来、私がやっているんです。キリスト教側からは外野は黙ってろ、と言われるし、哲学側からは、私のやっていることは哲学者としての立場を裏切るものだという人がいます。

Sekko : これも分かる。「インテリ=左翼=無神論」のカテゴリー化が固定した時期が長すぎた。フランスの知識人はイデオロギーとしての無神論のベースで二元論的にカテゴリー分けされてきた。「キリスト教=女子供」で、教会に背を向けることが知的「自立」とされてきたのだ。日本人の私には、それがかえって、自由に動き回れる利点となった。何となく「東洋の哲学を身に着けながら知的好奇心によってキリスト教のフィールドワークをしまくるインテリ」という「別枠」で動けたからだ。 (続く)

(お知らせ)
サイトの掲示板が使えないままになっていました。新しいものを設置してもらう予定ですが、その過程で今まで私に見えなかったメッセージが読めました。慌ててお返事を書き込んだのですが、「海外ホスト」に規制がかかって書き込めませんでした。

この下に、送ることができなかったメッセージをコピーしておきます。

>>ここに書き込んでくださっていた小寄道さま、愚者さま、若生さま、どういうわけか私はここにアクセスできないままで、コメントを拝見していませんでした。
今回、管理してくださっている方に、新しい、使いやすい掲示板をつくっていただく予定です。

また、カトリック関係者や宗教に関心のある方などには、『カトリック生活』休刊と共に、連載していた『カトリック・サプリ』のブログ版『カトリック・サプリ2.0』を開設することにしました。サイトにはリンクしません。そこではコメントや質問もオープンです。https://jesus2024.blog.fc2.com/

遅きに失しますが、愚者さま、サンクト・ガーレン・マフィアというのは、1996-2013までスイスのSain-Gall司教区で始められたヨーロッパの司教、枢機卿の有志で始められた教会改革の会議グループです。
2005年から今のフランシスコ教皇を推していました。
2015 年になってTVで紹介されて知られるようになったそうです。
フランシスコ教皇就任と共に会議は解散しています。
マフィアと言うとなんだか右派のようですが、改革派です。

でも壁は厚く、おっしゃる通り、フランシスコ教皇の「改革」を阻む流れは強まるばかりです。
けれども、フランスの教会のスキャンダルもそうですが、困難な「自浄」を可能にしたのも「改革」の一部であり、カトリックの終焉、というより、なんだか初期教会の様々な試練を思わせて、期待しています。
サンクト・ガーレン・グループについてはSaint Gallen Groupで英語のwikiもありますのでどうぞ。
どうぞ。

若生さま、情報をありがとうございました。日本語のローマ字表記っていろいろ謎のままですね。

では、新しい掲示板が使えるようになってまたお会いできることを願って。<<<



# by mariastella | 2024-03-04 00:05 | フランス

キリスト教の再活性化  フランソワ・ジュリアン   その2

(前の記事の続きです)

Q : あなたのような、非キリスト教徒の哲学者がこれほどにキリスト教の神の概念に関心を持つのはなぜですか?

A : この概念が少なくとも二千年もの間ヨーロッパの思想にまとわりついていたからです。アウグスティヌスからパスカルを経てキルケゴールまで、多くの思想家が神について考えを述べてきました。ヨーロッパ思想の地平に根付いているからです。キリスト教がルーツにあることをまるでなかったことのようにするのはヨーロッパの自己否定です。キリスト教から目をそむけたくありません。文化的アイデンティティの問題ではなく、より豊かな文化を求めているからです。私の世代(1951年生まれ)のひと世代のうちに、ヨーロッパを形作る核となった宗教はまったく人々の関心外に追いやられました。考えられる限り最悪の展開です。すっかり非キリスト教化した私たちの社会ではもう「神は死んだ!」と叫んでも、だれの耳にも入りません。この無関心は、精神の麻痺で、ヨーロッパの壊死を招きます。心配せずにおれません。それなのに教会は大して反応していない。どこかが知的にストップしているのです。

Sekko : 私はフランソワ・ジュリアンと同世代で、しかも、1968年五月革命以降の世界のフランスに住んだから、フランスにおけるキリスト教、特に伝統宗教であるカトリックに対する無関心に驚いた。
それでも、その気になればもちろん膨大な資料や共同体がいくらでもあるわけで、逆に、他の社会学者やら比較文化学者でさえ関心を持たない多くの文書や実態に自由にアクセスできた。特に、無関心どころか、私の世代の知識人にとっては、軽侮の念を抱く対象でもあった。私の世代が影響を受けたサルトルなどの哲学者は、積極的な反キリスト教、反宗教のスタンスだったし、彼らの親共産主義が傾いた後は、次に「脱構築」ですべてを相対化するタイプのポストモダンの時代に移ったから、キリスト教の出番はなかったというわけだ。

(続く)

# by mariastella | 2024-03-03 00:05 | 宗教

フランソワ・ジュリアンの「キリスト教の再活性化」  その1  

『LA VIE』no.4092 (p74~77)に、おもしろそうな記事があったが読んでいる暇がないので、一問一答ずつここに要約おくことにした。

フランソワ・ジュリアンは、日本でも知られているようだ。1985-7年に日仏会館の研究員として日本に住んだこともあり、中国学者で比較思想家として有名だが、西洋中心主義のバイアスがかかったオリエンタリズムという批判もあるようだ。

そんな彼は2017年に『非-偶然 : アートと存在はどこから来るか?』(Dé-coïncidence. D'où viennent l'art et l'existence?, Grasset)という著作を皮切りに、脱-固形理論を展開している。(偶然の類似や偶然の出会いなどがいろいろな世界観を構築して一つの形を成して安定することがあるが、それを否定することで見えてくる可能性ということらしい。

その他に、中国思想の専門家として「自分はキリスト教徒ではない」と強調したうえで、「キリスト教の起源」だの「モーセか中国か : 神抜きで考える」などを出していて、今年になって、「神とは脱-固形である」を出した。
(Ressources du christianisme, Mais sans y entrer par la foi, Éditions de L'Herne, 2018, Moïse ou la Chine. Quand ne se déploie pas l'idée de Dieu, Éditions de l'Observatoire, 2022, Dieu est dé-coïncidence, Labor et Fides

彼の「なぜ中国に神はいないのか?」という記事はネットで読める。

今回は、リベラルなカトリック雑誌がインタビューしたということで興味をそそられた。

フランス人には理解しにくいだろう彼の立ち位置は、私には想像できるので、確認したくもある。(続く)

# by mariastella | 2024-03-02 00:05 | 宗教

パラプシー 2024   その5 タロットカードカード

(前の記事の続きです)

レクチャールームでの講演や実演(オーラの解読とか)もあまり面白くなかったので、あと一人の占い師を探していたらこの人にぶつかった。
タロットカードは、解釈によってすごく違ってくると思うので、純粋の霊感があると自称している人を物色していたのだけれど、この「いかにも」という感じのタロット占い師でも、まあいいか、と思った。
パラプシー 2024   その5    タロットカードカード_c0175451_22564580.jpg
この手の占い師のお決まりでまず生年月日とファーストネームを聞かれる。

そして、「さあ、質問は?」と聞かれて、また迷う。質問を抱えずにタロット占いに金を払う人なんて私くらいかもしれない。パワーストーンのペンダント(今は買わなかったことを少し後悔している。いろんなタイプの友人や知人や子供たちに実験してみたいという好奇心が捨てられないからだ)を買うかどうかについてはもうどうでもいい気分になっていたからだ。

で、強いて言えばということで、再び、「今年に予定しているプランが順調に進むでしょうか」と聞いてみる。

タロット並べ。

「あなたのプランは認められます」

「いや、いろいろなプラン自体はもう認められているんですけれど、自分や仲間の健康状態やアクシデントで中止になるということはないですか?」(今思うと、去年も今年も、彼らがコロナ禍をどう予測してどう分析したかを質問して答えを分析してまとめるべきだった。)

「すべて成功します。(中央に置かれたカードを指して、)ただ、あなたの真ん中に大きな罪悪感があります。」

「えっ、私は別に悪いことしてないですが…。ああ、強いて言えば、昨今のニュースで戦場の様子などを見て、この地球にこれほどの格差があることに愕然とします。フランスも日本も、生まれてこの方、一度も戦場になってないこともそうですし、今も、TVでは物価高で食費も削るという人が紹介されているのに、のんびりこんなところに来て占いなんかしてもらっていること自体に罪悪感ありまくりです。そもそも幼い頃から家庭にも恵まれていたのでアベル症候群みたいなのはあって、他人からの嫉妬も意識してきました。でも、今はこの年になって、そういう恵まれた部分は他の人にお返しするためにあると割り切っているんですが…」

と私が言ったことに対して、共感的に答えてくれたので、私だけでなく周りの人の運命にも左右されますから、見てください、と言って、仲間や家族の写真などを見せることにした。

「ああ、写真を見てキャッチするのは私にはできないんですよ。でもカードを弾きましょう。この人のファーストネームは?」

で、私にもタロットを切るときにその人のことを念じるように言い、開いて並べるときに彼女は目を閉じてファーストネームを繰り返し続けていた。

2,3人について見てもらったが、まあ、全体的にポジティヴで問題がない。

「問題がある時はどういうんですか?」

「その問題に特化してタロットを並べなおして解決の方向を探りアドヴァイスします。」

いかにも魔女な雰囲気の人がさばさばして共感的なので助かった。
多分向こうも、こちらの様子、差し迫った問題を抱えていないな、とキャッチして武装を解いているのだろう。
どうしても優越側に立ちたい、感情的に支配したい、というタイプの占い師や霊能者なら、むしろイライラして攻撃的になる傾向があるだろう。

ま、いいや、という感じでサロンを後にした。

(今回のサロンのレポートはこれで終わりです。
もうすぐ創元社から発売される『オカルト2.0』という本に、他の「占いショッピング」のエピソードも載せています。合わせてお読みください。)

# by mariastella | 2024-03-01 00:05 | フランス



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/

by mariastella
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
カテゴリ
検索
タグ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧