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L'art de croire             竹下節子ブログ

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# by mariastella | 2024-09-23 17:15 | 音楽

スーパーウーマン  マリー=マドレーヌ・フルカード 

最近出版されたマリー=マドレーヌ・フルカードの評伝。

「Libre et résistante Marie-Madeleine Fourcade  l'inclassable」

彼女はとにかくすごい人なのだけれど、レジスタンスの闘士としてだけでなく、1980年代に欧州議会の議員を勤めていたほど、現役で政治の場面で活動していたことなど記憶になかった。

日本語のネットで検索しても全く出てこない。

こうして見てみるとあまりにもすごい経歴なのでここでいちいち書けない。1909年に名門ブルジョワの家に生まれ、17歳で士官と結婚し一男一女をもうけ、ピアニストであり、モードのジャーナリストであり、メディアで活躍し、多大な人脈を持っていた。
夫と離れてパリに出て、子供を母親にあずけて、さまざまな活躍をした。
そして、戦争とフランスの降伏。
ドゴールと知り合い、人脈を利用してレジスタンスのネットワークを作り、イギリスに渡り、最も長く持ちこたえた一人だ。フランスでレジスタンスのグループを率いた唯一の女性でもある。(ベルギーにも一人いる)

フランスで二度も逮捕されたが、その度に、仲間も連れて脱出した。
警察に踏み込まれた時に、秘密書類を噛みくだいて飲み込んだエピソードもある。

彼女のレジスタンスのネットワークは「ノアの箱舟」で、彼女のコードネームはハリネズミ。一見柔らかくて弱そうだけれど、呑みこんだら棘を立てることが分かっているから攻撃されない。

戦後もずっと活動するのだが、戦中の偽名使用や戦後の再婚で名を変えるなど、同じ人がずっと第一線にいたとの認識は少なかったのかもしれない。しかも、1948年に再婚した相手フルカードとの間にさらに3人の子供をもうけたという。40歳を過ぎてのことだろう。

レジスタンスで貫いた信念、闘志、バイタリティ、エネルギー、体力だけでもどんな「アマゾネス」かと思うが、レジスタンス・ミュージアムの写真でも分かるように「楚々とした美女」で、そのギャップもすごい。(他の写真も。)
80歳まで生きて活躍した。(これは晩年の写真。)
彼女が他の女性レジスタントのようにパンテオン入りしないのはなぜだろう。
政治的にかなり右寄りの立場にいたことがあるという経歴のせいなのかもしれない。

レジスタンス運動の中で捕らえられて処刑された人の方が「殉教者」「英雄」とされやすいのは分かる。

レジスタント運動では、左派も右派も超越したナショナリズムが発動していたが、戦後にはそれぞれの立場が分かれた。レジスタントで命を落としたり戦後まもなく亡くなった人は政治的立場にかかわらない「栄光」を保持できたけれど、戦後の復興の時代において、ド・ゴールでさえ、断罪されたのだ。長生きすることにはリスクもある、ということだろうか。ジャンヌ・ダルクが「長生き」していたら、どのような「公的生活」を送りどのような「後世の評価」を得たのだろう。

それでも、ネオ・フェミニズムとは対極にあるマリー=マドレーヌ・フルカードのような破格の女性がいたことは、記憶にとどめる価値がある。





# by mariastella | 2024-10-12 00:05 |

ミカエル・クロノフスキ―

ミカエル・クロノフスキ―について調べているので、覚書。

日本語では検索しても出て来ず、ドイツ語wikipediaでは日本語訳ができるのでとりあえずリンク。でも自動翻訳で意味不明のところが多い。一応参考に。


この人に興味を持ったのは、メルケル首相の移民100万人歓迎の政策のその後と極右の台頭について調べていたからだ。ドイツ各地に配された中東を主とした移民には、家具、家電を備えた60平米のプレハブ住宅が無償で与えられていたことを知った。仕事が見つかれば家賃を払わなくてはならない。
その後、2015年末にケルン大聖堂の前などでの移民がドイツ人女性を襲うなどの事件があり、風向きが変わった。(次の年の初めにケルン大司教が東京に来た時に、東京大司教に頼んで質問をしてもらったことがある。)
極右が台頭し、法律で禁止されているナチス式の敬礼も辞さず、議席も得たのだが、コロナ禍に突入する。その時に、反ワクチン運動が起きて、極左と極右が接近したことがあった。極右政党Afdの集会では誰もマスクをしていない。反ワクチン、反マスクがイデオロギーやポピュリズムと結びついたあの頃を思い出す。

クロノフスキが興味深いのは、ナショナリストで差別主義者だと言われているのに、配偶者がユダヤ系ロシア人のピアニストであるエレナ・グレヴィッチであることだ。
極右の集会で彼女がトルコ行進曲を弾いている場面をドキュメンタリー番組で見た。

コロナ禍の時に、ドイツとフランスの違いも観察したけれどまだ総括できていない。
移民のほとんどは旧東ドイツに迎えられたことも知らなかった。
東西ドイツの断裂というのはまだまだ終わっていない部分があって、極右や極左の動きにも大きく関わってくるようだ。

全ては相対的で、ドイツの深刻さを見ていると、フランスの「極右」RNの台頭なんてまだましだなあと思えてくる。

# by mariastella | 2024-10-11 00:05 | 歴史

「養神」ふたたび

私が実家から持ってきて手元に飾ってある掛け軸に「養神」というものがある。

以前にも書いたが、これは戦後に父が援助して、私の名付け親となった僧侶が後に永源寺の住職となった時、訪ねて行った父に揮毫してくれたものだ。父は「神を養う」というのは気宇壮大でいい、と気に入っていたけれど、この「神」は「精神」の「神」で、「精神を養う、「精神修養」のことだとは知っていた。

「純粹にして雜(まじ)へず、靜一にして變らず、淡にして無爲、動くに天行を以てす。此れ神を養ふの道なり。(荘子、刻意)」というわけだ。




ところが、最近、あるブログに『水墨画入門岩波新書島尾 新』の引用として次の一節があるのを読んだ。


>>>「此れ乃ち心に得て手に応じ、意到りて便ち成る。故にその理は神に入り天意を迥得す」(『夢溪筆談』)というもの。なんとなく見慣れてきた言い方だが、「天からのインスピレーションが王維の創造力にはたらいて、心に浮かんだイメージをそのままにえがいたらこうなった。だから、常識に反しているようにみえるその「理」は、天の意を得たものなのだ」。
 (・・・)彼の主張は「書画の妙は当に神を以て会すべし」ということ。「神」は前にも触れたように、「天」「道」の霊妙な働きであり、それを感じられる人の心である。<<<


一神教的な「神」のイメージは中国の「天」に近いのだろうが、だとすれば、「天」の霊妙な働きである文人思想の「神」という言葉は、キリスト教なら「聖霊」に近い。


そして「それを感じられる人の心」も「神」と呼ぶならば、なんだか「三位一体」の中に人がいて、人の中に三位一体がある、という神学にも通じる気がする。


この掛け軸、ますます気に入った。


(今は何でも検索出来てしまうので一応「精神」を調べてみると次のようなものが出てきた。

これを見てから考えると、「養神」は英気を養う、という感じが一番近い気もする。住職は多分そんな意味を込めて父に贈ったのだと思う。)


# by mariastella | 2024-10-10 00:05 | 宗教

ルノートルが Chez Pippo に

9月初めの頃、1年ぶりにエコール・ミリテールの近くに行ったので、いつものようにルノートルでおやつを食べようと思ったらルノートルがなくなっていた。

ルノートルにおいてあるFigaroを読みながらケーキを食べて、お惣菜やクッキーを買って帰るつもりだったのに、なんと7ヶ月前にChez Pippoというイタリア系のお惣菜屋さん兼レストランになっていた。
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オペラ
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給仕してくれた青年と話した。料理学校にいる学生のバイトだそうだ。トゥールーズ出身だというので、オリパラでトゥールーズの選手が活躍したね、という話題になった。昔、ノルマンディからトゥールーズに引っ越して車の教習所をしていた知り合いが、トゥールーズの人は時間にルーズでいつも遅刻するので大変だ、と言っていたのを思い出して聞いてみたら、「そのとおりです」とあっさり認めた。

時間通りに動くという習慣がないのでパリに来てから遅刻が怖くて、何時間も前に時計のアラームをかけて緊張の毎日です、と言うのだ。
トゥールーズではみんなラグビーが好きで、自然も豊かでのんびりしていて、時間にうるさくなくて昼寝もする。それでもパリで「修行」しているのは、やはりパリならではのエレガンスを学ぶためだそうだ。好青年。
イタリアンの惣菜屋でトゥールーズの話をするなんて不思議な感じだった。
長々と話しているのでそのうち注意を受けるのではと気になったけれど、店の人はみんなのんびりしていた。

次に来るときはピザでも頼んで食事しようと思う。

パラリンピック閉会から3日しか経っていないせいか、アンバリッド前の広場はまだバリケードで覆われたままだった。まだそこかしこで英語が聞こえていた。





# by mariastella | 2024-10-09 00:05 | フランス

「ムーンフォール」の斬新さ

9月半ば、久しぶりにTVで映画を視聴。
しかも近頃めったに見ないSF映画、宇宙ものでカタストロフィ映画、軌道から外れた月が地球に接近、というストーリーだというので、小惑星の衝突のような、実際に可能性がないではない現象による「世界の終わり」的なものかと思っていた。


そして、実際この手のハリウッド映画にはお約束の、カタストロフィを前にしての家族愛とか、落ちこぼれが実力を発揮するとか、干されていた男が呼び戻されて使命感を目覚めさせられるとか、お約束のミニ感動ストーリーがちりばめられている。地上の大火災や巨大津波やカーチェイスやロケットの運命なども、大スクリーンで観たらどんなに迫力があるだろうとCG技術にもうならされる。

でも、この映画にはっとさせられたのはユニークな発想だ。

細かくみていけば無理があるとしても、この発想は、AIが独り立ち、暴走をするかもしれない、人間を超え、人間の手に負えなくなるかもしれない、シンギュラリティが超えられる日も近いなどという予測が現実味を帯びて語られるようになった2020年代以降だからこそ生まれたような気がする。

有機的な生物は文明を発達させても結局は滅び、それでも、残されたAIはまた有機生物が誕生するのを待っている。

主人公の一人が自分を犠牲にしてエイリアンの内部に突っ込んで地球を救うのだけれど、ラストシーンに彼が現れて、母親と再会する。彼の意識がスキャンされて再現したのだ。母の姿も彼の意識の中に組み込まれているものなのだろう。

有機的な肉体が朽ちても、意識が形をとって生き残るというイメージは、カトリックでいう諸聖人の通功(聖徒の交わり)にも通じるような気がする。この世を去った後の「聖人」たちは時空を超えて人と神との間のとりなしを続ける。他の文化でも「死者」が「霊」となって「生者」を守護するなどよくあるパターンだ。

それが一種の「意識がスキャンされたもの」なのだとしたら、私たちも遠い昔に絶滅した有機体の残した巨大なAIによって創られて守られている存在なのかもしれない。

普通のカタストロフィー映画や「スター・ウォーズ」のようなタイプの設定にはあまり興味がないのだけれど、この「ムーンフォール」は、私にとってなにか不思議な説得力を持つものだった。単に滅亡するかと思われた地球が救われたというようなものではなく、滅亡の果ての希望のような何かを感じさせてくれたからだ。

 

# by mariastella | 2024-10-08 00:05 | 映画



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/

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