ベルギー人アーティストのWim Delvoye。
この人の豚の刺青を見てると居心地が悪い。北京郊外の農場の三歳の豚を全身麻酔でレーザー刺青して、自然死を待って剥製にして展示するというのだから、化粧品の開発の実験に使われる豚や、生きたまま殺される食用豚よりも残酷な運命というのではないのだが。
また、ダミアン・ハーストのように動物の遺体そのものをアートに構成するのと違って、生きながらアートの「場」に仕立て上げるのだから、抵抗は少なくてもいいのだが。
このWim Delvoye(これで検索したらいろいろな作品が見れる)だが、日本語だとデルヴォワではなくてデルヴォイとなっていた。そして「笑いをとるのがねらいの折衷アート」という解説もあって驚いた。
豚の刺青って笑えるのか?
十字架をらせん状につないだDNAとか、ゴシック聖堂を模したトラクターとかは美しいと思う。
デルヴォワに豚とおそろいの刺青を入れてもらったスイス人の背中の皮を「終身年金」払いで「購入」した若いドイツ人のコレクターがいるらしい。金を払い続け、スイス人が死んだ後で皮を遺贈される。まさか剥製にはしないだろうな。いやプラスティネーションの国だからあり得るかも。背中に傷つくような事故で死ぬとか年とって劣化したらどうするんだろう。写真を見ると、そのスイス人も若そうだ。
この手のアートにはたいてい倒錯というより挑発という言葉が似合うのだが、デルヴォワの作品には、「聖なるもの」のアバターがあり、複雑な気分にさせられる。