前のブログでも触れたが、スイスの預金について相変わらず激しく叩かれているお気の毒なカユザック元予算担当大臣。
彼の前髪の植毛の10本のうち9本は黒髪だというジョークが流れていた。
フランス語の「黒」は税金を払わない闇の仕事などを指す言葉でもある。
実際、彼の経営する植毛専門のクリニックでフィリィピン女性を闇でやとっていたことを過去に告発されたこともあるそうだ。
もともとは外科医で、皮膚科医の妻(離婚係争中)と共にクリニックを開いたのだが、医薬関係のコンサルタントとしても大儲けしていたらしく、どう考えても、かなり精力的に金儲けに励んでいた人だ。
確かに、「社会党」とは相性が悪そうに見える。
ただ、フランスの社会党はフリーメイスン(グラン・トリアン)と関係が深く、フランス革命の頃から左派との絆は一貫している。
フランスで妊娠中絶が解禁されたのは1970年代半ばに過ぎず、当時は保守政権だったが、中絶法についてはメイスンのロッジや特別研究班によって練り上げられたのだとメイスンの女性が自慢しているのを聞いたことがある。
で、今の社会党政権にはフリーメイスンの会員がすごくたくさんいて、カユザックもその一人だ。
メイスンにとって「兄弟」に便宜を図るというのは原則であるから、求職や販路拡大のためにロッジ入りする人は少なくない。
しかし社会党から除名されても、ロッジからはどうなのだろう。
メイスンの理念は共和国理念(自由、平等、きょうだい愛)と同じなのだが倫理規定というのは政治やビジネスとは別物なのかもしれない。
私は今書いているユダ論の次にフリーメイスンをテーマにしたものを書くのでそれに必要なすべての材料はもう揃えたつもりだったのだが、「倫理規定」についてチェックすることは考えていなかった。
カユザック事件がそれに思い至らせてくれたと言える。