仏教フェスティヴァルで山伏神楽を観たが・・・
ヴァンセンヌの森のパゴダで毎年開かれている仏教者のフェスティヴァル(vesak)に付き合いで顔を出してきた。
その中で、 Kagura-danses sacrées japonaises de la tradition du shugendô (Kûban Jakkôin) というものがあって一体どんなものか気になった。 「修験道の伝統の日本の聖なる踊り神楽(Kûban 寂光院)」 ていったいどういう代物かと思ったら、烏天狗が一人で竜を退治して(竜とか獅子の姿はない)剣を奉納するというような舞だったのだが、剣が袖に引っ掛かったりして今ひとつ迫ってくるものもなければありがたい感じもない。 音楽も録音だ。 演者が後で面をとって挨拶したのを見るとフランス人だった。 主催者にKûbanってどういう意味ですか、と後から聞いたら、それは演じた僧の「出家名」なのだそうだ。 寂光院で20年修行したとかで、「寂光院のKûbanさんが踊る」という意味なのだった。 寂光院というと京都大原寂光院の雅なイメージを思い浮かべていたのだが、修験道と関係があるとしたら真言宗の寂光院(犬山市)なのだろうか。さっぱりわからない。 仏教フェスティヴァルとずれている気もする。 単にフォークロリックな芸能という感じだが中途半端だった。 パゴダの金色のブッダは、これまではいつ見てもつい「ブッダ・バー」を連想していたのだが、よく見るとハンサムで、このブッダの伏せ目の視線をしっかり受け止めて舞っているからすべてよしなのだろうか。 会場には仏教の僧の格好をして闊歩しているフランス人が少なからず闊歩しているのだが、日本系の仏教の僧は、「現地での修業を終えてこちらで一家をなしている人」が多いので、今風に言うとなんだか「どや顔」をしている。 チベット仏教系のフランス人は少し違って腰が低い。亡命してフランスに腰を落ち着けているチベット人の活仏(リンポチェ)について修行を続けている場合が多く、その活仏たちはたいていダライラマと同様にいつもニコニコと腰が低いものだから、弟子のフランス人たちもみなそっくりの雰囲気になるのだ。 フェスティヴァルの初日には内務大臣で宗教も担当するマニュエル・ヴァルスが挨拶したが、ユダヤ、キリスト教、イスラムなどの一神教系でない集まりだから安全圏にいてちょっと息抜きできるというリラックス感があった。 フランスのライシテとは宗教の自由な実践を保証するものだ、と関係者もみないっしょになって持ち上げていたが、同じことをムスリムの集まりではなかなか言えるものではないだろう。 この種の会合で常連のスーフィとも話したが、奥さんがドイツ人で、4人の子がみなグランゼコールを出たエリートに育ったのだそうだ。みなドイツ人の奥さんの教育のおかげですと言っていた。 やはり常連のドミニコ会のティエリー=マリー神父が来れなかったので、彼の人選で代わりに来たのは仏教シンパとしてはこれ以上考えられないベネディクト会のピエール・マッサン(Massein)神父だった。ノルマンディの有名なサン・ヴァンドリーユ修道院の名誉院長で、サンスクリットやパーリ語にも通じタイの「森の僧」のところで長期間過ごして本も出している。 前も思ったけれど、ここはフランスだからやはりカトリック界からの人物は傑出した人たちが豊富にいるのでこういう時はおもしろい。
by mariastella
| 2013-05-29 06:16
| 宗教
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