フランスの第五共和制が限界に来ていると語られて久しいが、先日マルセル・ゴーシェの解説を聞いて腑に落ちたことがある。
私は、第五共和制における大統領と首相の住み分けを壊したのはサルコジの5年間だと思っていたのだが、そうではなかった。
ECの政治的力が大きくなってきたからなのだ。
もともと、ド・ゴールの第五共和制は大統領に大きな権限を与えてきた。けれども、大統領は内政における政争や、イデオロギーの対立や利害の対立を超越したフランス統合のシンボリックな位置にあるとされていた。
具体的には、
首相が内政を、
大統領が外交と軍事を統括する
というようにすみ分けられていたのだ。
ところが、大統領が外交手腕を発揮すべきECの政治力が大きくなり、今や各国は主権の一部をECに委ねた形になっている。
で、ECでの決定が必然的に内政を縛ることになる。
つまり、大統領が内政を動かすわけだ。
それがさらに問題になるのは、統一ドイツが驚異的な経済成長を遂げて一人勝ち状態となり、EC内の格差が広がり過ぎた現状のせいでもあると私は思う。
オランド大統領の支持率は第五共和制の歴代大統領最低となっている。
この辺で根本的に変えなくてはいけない。「ゴーリスト対コミュニスト」というような構図はとっくに古くなっている。共和国主義を、フランス内、EC内にどこまで拡げていき、普遍主義を世界平和のためにどこまで拡げていけるかということでもある。