少し前にリュック・べッソンの『マラヴィータ』を観に行ったのだけれど、あまりにもつまらなかったのでコメントできなかった。
デ・ニーロやファイファーやトミー・リー・ジョーンズなどぜいたくな俳優を使っていて素材もおもしろく「ノルマンディのアメリカ人」(リュック・べッソンは舞台になった町の近くに別荘を持っている。この比較文的テーマがなかったら、暴力シーンがあると分かっている映画など最初から見に行っていない)のカルチャー・ショックを楽しめるかと思った。
しかしこれなら、南仏の人間がフランスの北の地方に行ったカルチャー・ショックのコメディ(「Bienvenue chez les Ch'tis」)の方が数倍おもしろかった。
この映画では、スーパーでピーナッツ・バターを探して「ない」と言われ、店員や他の客から「だからアメリカ人は肥満になるのだなど」と言われたヒロインが頭に来て店を爆破するとか、バーベキュー・パーティに集まってきた隣人たちに「ああ、そうそうフランスじゃこういう時は頬にキスするんだっけ」とデ・ニーロがつぶやくとか、水道の配管を見に来るはずの配管工がなかなか来ない上に修理費を吹っかけるなど確かにフランスではよくあるような話にデ・ニーロがキレて、配管工をバットでめった打ちにするとか、その程度のカルチャー・ショックしか描かれない。暴力もカタルシスにさえならない後味の悪いものだと思う。
最後に片田舎にマフィアが乗り込んでくるシーンはサスペンスフルではあるが、あの程度ならなんだか『ウルヴァリン SAMURAI』のラストを思わせるし、どうせなら荒唐無稽なウルヴァリンの方がまだおもしろかった。
フランス人監督が撮ったのがかえってまずかったんだろうか。
この顔触れで米仏比較文化の視点があって、ここまでつまらない映画になる原因をずっと考えていたのだけれど結論が出なかった。
べッソンって、実はひらめきのない監督なのかもしれない。