ベルギー政府は、自国内で認可されているモスク着任する新任のイマム80人に給料を払うため330万ユーロの予算を組んだのだそうだ。(De Standaard 2/17 )
もともと認可している宗教の聖職者の活動に金銭的援助をしている国なので、フランスや日本のような政教分離国から見るとしっくりこない。
11/13のフランスの同時多発テロのテロリストがみなベルギーを拠点としていることが分かって以来、戒厳態勢もとられたし、イスラム過激派対策は強化されている。
テロリストの巣窟とされたブラッセル西部のモレンベークでは24のモスクのうち16が完全な無認可活動をしている。公認モスクは4ヶ所、別の4ヶ所は認可を申請中だそうだ。
認可されるとイマムの給料や建物の維持費が政府から払われるが、会計や伝道内容を監査される。
今回の特別予算は要するに、政府のお墨付きの中庸イスラム教を説くイマムを送り込んで、過激派イマムによる若者の洗脳や煽動を阻止しようという作戦だ。
フランスではナポレオン以来、各宗教は政府の公認する代表団体をたてて政府と交渉したり橋渡しをしたりするシステムになっている。
でも、過激派などはそんなところにもともと近づかないし、「御用宗教者」を攻撃することでますます若者を煽動することになる。しかし金は出さない。
ベルギーのように
「金を出すからうちの国のやり方にしたがってくれ」
と言ってしまった方が危機管理的には果たして有効な作戦なのだろうか。
シンガポールのような国でなら実効がありそうだけれど、小国とはいえベルギーでは通用しない気がする。
ヨーロッパが金融共同体と化して以来、政治的外交的に機能する希望が潰えている今、各国がばらばらに知恵を絞っているのを見るのはなんとも危うい。