フランスでこの頃本を読んでいる暇がなかったので日本で読もうと思って持ってきた本を3冊ようやく読み始めた。
ここのところ『ナポレオンと神』を仕上げるのに忙しかったので、読書を封印していた。
本を読むと、関連書ではなくても頭の中で勝手につながってどんどん広がって手がつけられなくなるからだ。
むしろアウトプットする方がすっきりするので、ブログを毎日更新していた。
で、フランスではそろそろ秋休みが終わるのでもうすぐ戻るのだけれど少し時間が取れたので、持ってきた本に目を通す。
日本語は廣松渉の『〈近代の超克〉論--昭和思想史への一視覚』(講談社学術文庫)
日本の戦前戦後の思想の流れがよく分かって大いに役に立つ。
自分の若かった頃の状況や今の日本の政治状況も含めていろいろなことがクリアに見えてくる。
でも、西谷啓二が、近代で、宗教と科学と人文、つまり、文化、歴史、倫理等との間が橋渡しのない分裂に陥った、世界観的無統一の時代、などと言っているのは、「???」だし、個人主義対世界主義という時、その個人とはプロテスタント的な個人で、共和国主義的個人とは違うし、なんだか今の私から見ると突っ込みどころが多すぎる議論ばかりだ。
でも、私がこれから新しい議論を展開するにあたって何が問題点なのかが整理できるありがたくも貴重な本になりそうだ。
フランス語の本はClaude Tresmontant という哲学者が1993年に出した『Saint Paul』(seuil)で、パウロに向けられた反ユダヤ的キリスト教などの批判を検証するものと、
人気歴史作家Max Galloの新刊『Henri IV』(XO EDITIONS)。
アンリ四世はフランス史のキイ・パーソンの一人で、この人をじっくり観察するとフランスの宗教戦争の意味が見えてくる。