社会党系のリベラシオン紙の中にある「プチ・リベ」というおそらく中高生を対象にしたページが時々ある。その15回目(2016/11/5-6)のテーマは「政治における左と右」というものだった。
もともと右翼、左翼という言葉自体が、フランス革命後の国民議会に由来する言葉で、その歴史や、15歳の少女の政治観、「左」と「右」の考えたの違いなどが紹介されているが、その中に『幼児は「左」か「右」か?』という記事があった。
ここでは「右」とは既成の権威に服する保守、左とは被支配者側につく、というくらいの意味だ。
で、結論は、3、4歳では「右」、
5歳はばらばら、
8歳は「左」、
と、はっきり傾向が変わるそうだ。
三つの国立大学とCNRS(国立科学研究機関)が共同で行った「子供における政治観の誕生」という研究でヒエラルキーに対する感受性を扱ったもの。
やり方は、まず、キャラメルという名の猫とノワゼットという名のネズミのマリオネットが遊んでいるシーンを子供たちに見せる。
その寸劇の中で、何かを決めるのは必ず猫の方で、ネズミはそれに従う。
猫がリーダーだということが明らかに分かる。
それを見た後で、子供たちは大小二つのチョコレートをもらって、それを猫とネズミに渡すように言われる。
3、4歳の子供はみな、大きい方のチョコレートをリーダーである猫に渡す。
5歳の子供たちは、ばらばらだ。
8歳の子供たちは、大きい方のチョコレートを、決定権のないネズミに渡す。
3、4歳の子供たちは生活の多くのシーンで両親による決定に従っている。だから猫の権威を認める。
8歳になるとある程度の自立を獲得するので、弱い方のネズミに多くを与えることで、自分が助けを必要とするときにも与えてもらえるだろうという意識が働くのだそうだ。
猫に比べてネズミの権利が制限されているのを見て、大きいチョコレートを与えることでその「不公平」を「是正」してバランスを取ろうという感覚が働くという。
この結果から、3、4歳の子供たちは保守陣営の大人に似ているのではないかというのだ。
また、社会への見方、政治的志向は、自分の生活の環境や文脈によって変化するということでもある。
おもしろいといえばおもしろい。
フランス人は家庭でも盛んに政治の話をする。
8歳にもなれば親の政治的意見にも左右されるだろう。
逆に、8 歳の子供と政治の話をすることもあるし、その時には自分自身も責任を感じて慎重になる。
そういえば最近こんなことがあった。(続く)