イエズス会士とフランシスコ会士とドミニコ会士を比較するジョークは面白い。
いろいろ考えさせられる。
****
ある人がフランシスコ会士に、懸賞でレクサスが当たるようにノベナをお願いしたいと頼んだ。
(ノベナというのは、「9日間の祈り」という意味で、イエスが昇天してから弟子たちが9日間ひたすら祈り続けたら10日目に聖霊が降臨したという話に由来するとも言われる信心行で、聖母や聖人に神への執り成しを頼むものだ。個人でもできるけれど、修道会に頼んで祈ってもらうとより「効験」あらたかそうなのか、いろいろな折に修道会に寄進してノベナを頼む人がいた。それをふまえたジョークだ。)
フランシスコ会士は「レクサスって何ですか?」と答えた。
「高級車ですよ」
「おやおや、聖フランチェスコさまは、それは清貧の誓いに反するとおっしゃるでしょうよ。
残念ですが、私にはその種のことのために祈ることはできません」
その人は次にドミニコ会士を見つけた。
「レクサスが手に入るようにノベナをお願いしたいのですが…」
「レクサスって何ですか?」
「高級車です」
「おやおや、聖トマス・アクィナスさまはこの世の財への愛から身を守るようにおっしゃっています。
残念ですが、私にはその種のことのために祈ることはできません」
がっかりしたその人は、最後にイエズス会士に頼むことにした。
「神父さま、お願いです。レクサスが手に入るように私のためにノベナをお願いできるでしょうか…」
「ノベナって何ですか?」
*******
このジョークについてのイエズス会士の解説はこうだ。
イエズス会士の活動範囲は広くて、天文学者、数学者など科学者もいれば、エコロジーの専門家、経済倫理学、ロックミュージックから国際政治、インターネット、映画、ダンスなどいたるところで活動している。
いたるところで神の働きがあることを明らかにしたり問いかけたりすることが使命だからだ。
世間の垢にまみれることなく世間の中で活動する、という姿勢だという。
イエズス会出身の現教皇が聖フランチェスコを崇敬していて教皇として初めてフランチェスコ(フランシスコ)を名乗ったことなど考えると楽しい。
イエズス会を創始したイグナチオ・ロヨラには峻厳なイメージがあるけれど、
同時代人のLuis Gonçalvès da Câmaraの証言によると
「小柄で、少し足を引きずっていて、いつも楽しそうな眼をしていた」
そうだから、ジョークだってOKだったかもしれない。
それにしても、18世紀後半にローマ教会から一度禁止されてしまった修道会から250年後に教皇が出たというのも考えてみるとすごいことだ。
フランシスコ教皇も、いつも楽しそうな眼をしている。