カリカチュアでテロに遭ったシャルリー・エブドの画家2人が、今は取壊されたカレー難民キャンプ(一部はダンケルクや救援センターのレポートもある)に通って人々と交流し、最後の日々も記録した貴重な本が別冊になった。
難民の生活、トイレの問題からヘアスタイルのこだわり、子供のための学校や遊び場に至るまでいろいろ描き込まれている。
カレーからは、イギリスに渡ろうとして英仏海峡の手前でせき止められた人びとが決死の渡航を企てては命を落とす。
この本を読んで、初めて、難民は名前や顔や個性を持つ一人一人の隣人になった。
シャルリー・エブドは、テロの後で壊滅に近い打撃に関わらず世界中から読者を獲得して、「超リッチ」になった。だからこそ、こんな贅沢な企画が可能になったのだ。
テロへの最高のレジスタンスだ。
ここには、ノンフィクションの確実な視線がある。
ジャーナリズムの勝利だ。
カリカチュアはひとかけらもない。
いや、これを見ていると、カリカチュアにされているのは、「ジャングル」で何が起きているのかを知ろうとしなかった全ての人だという気がする。