ヤニック・ジャド、原子力廃絶、秋葉忠利さん
また寄り道。
ラジオで緑の党のヤニック・ジャドのインタビューを聞いた。 先日、自分の出馬を取り消して社会党のブノワ・アモンの支援に回ると言って話題になった人だ。 その時のインタビューも説得力があったけれど、今回も共感できた。 多くの人が「マリーヌ・ル・ペンに勝たねばならない」という視点から今はマクロン支持に回っている。「教師」のカテゴリーでは、29%がマクロン支持で社会党支持を上待っている(ル・ペンは7%)。私の周りにはこの「現役の教師」が多いが、やはりみな、ル・ペンに勝つためにはマクロン、といって社会党を見捨てている。 しかしこれは、トランプを阻止するためにクリントンを支持して結局敗れたアメリカの失敗と同じだ、とジャドは言う。 フランスのソシアルと、地球規模のエコロジーで妥協するわけにはいかない、と。 機会の平等ではなく、法の下の平等が必要だと。 本当にそうだなあと思う。 原子力発電については、現状維持でOKというのがル・ペンとフィヨンだ。 原則論として、この一点だけでもこの二派は避けるのが妥当かもしれない。 経済についても、単に、新自由主義のどこまでも続く成長志向がよくないという単純な話ではない。 日本でもフランスでも、「ブルジョワ知識人」のような人たちが、「脱成長」を唱えたり、断捨離、ミニマリスト、自給自足、農業回帰、清貧志向、みんなで平等に貧しくなろう、貧しくても幸せ、いや真に豊かになれる、という言説をふりまく。 けれども「弱肉強食の競争経済」には限界がある、格差が広がる、だから経済の縮小、ヒューマンな等身大の生活に切り替えればいい、かのような単純な言説は欺瞞だ。 経済システム自体を絶対に変える必要がある。 どう変えるかというと、国連で合意されている「環境保護」と「労働者の人権保護」の二つを直接「経済システム」に組み入れる形で構築しなおすのだ。 地球の環境を悪化させるような経済活動、不法移民の奴隷労働、就学もできない子供たちの労働、心身の過労で壊れていく労働者がいる労働形態と環境、などを解消する形で。 そのためにも、地球の環境を悪化させ、人類滅亡の危機につながるような原子力産業は民間、軍事ともになんとかしなくてはならない。 原子力の廃絶というのが絶対に必要だというのは、最近、秋葉忠利さんが書き手の一人であるブログを愛読するようになって、新たに確信するようになった。とても共感している。 初めはこのブログの注目記事の書き手が「前広島市長」だとは知らずに読んでいた。 ぶれない姿勢には信頼感をそそられる。 かっこいい。 やはり毎日読んでいる澤藤統一郎さんのブログもそうだけれど、今、70代半ばの世代のブログの説得力に感心している。 私より10歳くらい上のこの世代は、いわゆる団塊の世代よりは少し上で、60年安保と70年安保の狭間に「大学生」だったので、ある意味半端というか、中間管理職っぽいイメージがあった。東大闘争のリーダー的存在だった山本義隆さんとかも、当時は、やはり研究者として中途半端に「体制側」にいた後ドロップアウトしたかのようなイメージがあった。 でも、今になって、山本さんもそうだけれど、澤藤さんにしても秋葉さんにしても、ずっと信念を貫いた生き方をしていると分かる。 自分の利益や権力や地位や金や名声を求めて発言してきたような人たちは70代ともなるともう「功成り名を遂げ」てリタイアしている率が高いし、普通に考えてもう「野心」や「承認欲求」にかられて意見を述べるということはない。 もちろんトランプ大統領のような人もいるわけだけれど、そういう人は、もうそれを隠さない。 逆に言えば、70代になっても、個人の利害を超えた信念や原則を貫いている人は「本物」だと確定する感じだ。過去の実績もはっきりしている。 いわゆるインターネットの世代ではない彼らが、こうやってネットで発信してくれることはとてもありがたい。親近感さえ覚える。 不思議なことに、同じようなタイプの女性のブロガーにはまだ遭遇していない。 女性でこの年代で刺激的な論考を発している人はフェミニズム色があるような気がする。 まさにこの年代だから、これまでに、女性差別などのデメリットに遭遇してそれと戦っていくことが生き方に組み込まれているからだろうか。 そう思うと、信頼できる年配の男性の情報発信者がこうして信念を曲げずに戦い続けてこられた陰には、家庭を守ってきたり、家事育児を引き受けたり、夫の心身の健康管理をしてきた夫人たちがいる可能性が大なので、結局は、彼らの歩みは二人三脚なのかもしれない。 フランスでも女性論客は本人に安定した職や経済力があって、夫や子供がいる場合でも、家事や育児を外注できるという人が多い。今まで何度も書いたが、プロテスタントの男女家事分担文化と違って、保育園にしろ、乳母にしろ、家政婦さんにしろ、ベビーシッターにしろ、家族以外の手を借りることへの罪悪感がない社会だからだ。 (ちなみに、私のこのブログの上に、時々、「よく似たブログ」というのが出てくるので、好奇心でたまにクリックするのだけれど、写真ブログが多くて驚く。「外国暮らし」の女性ブログや猫写真のブログというのはまあ共通点が分かるけれど、ケーキのレシピがたくさん出てくるブログが出てくることもある。いったいどういうリサーチでこうなるのかなあ。)
by mariastella
| 2017-02-28 00:19
| フランス
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