ケペルによると、イスラモ・ゴーシストたちは2012年の国会選挙に「(マグレブ系)移民の子弟」がはじめて400人も立候補したことを「政治参加の意思」として高く評価していた。
『ル・モンド』紙も同じ路線だった。
けれどもそれは実は、セラフィスム(イスラム過激派)が移民の子弟に浸透したことの表れでもあり、アラン・ソレルら、マルキシストを称する極右反ユダヤ主義者と、「移民の子弟」の世界に連携が生まれることにもなった。
ケペルはまた、フランスにおけるアラビア語学の伝統の終焉を語る。
移民の増加によってアラビア語人口そのものは増えているにもかかわらずだ。
フランスと言えば、一昔前までは、そうそうたる哲学者「オリエンタリスト」たちが存在していた。
今は、アラビア語は「移民のことば」であり、社会学者や政治学者が、移民の子弟のゲットーについて研究するのにアラビア語は必要ないと言っている。
政治エリートを輩出するパリの政治学院でケペルらが立ち上げて25年間続いていたアラビア語を含むアラブ世界の講座は、2010年に閉鎖された。
それ以来、「アラブの春」事件が起こり、フランス生まれのジハディストが生まれている状況なのに、政治学院でアラビア語を学んだ学生は一人もいない。
今やアラブ世界について学びたい学生は外国に出ていくありさまだという。 (続く)