カトリーヌ・ドヌーヴとジェラール・ドゥパルデューの10度目だかの共演ということで、これは面白いかなあと思ってつい観に行った映画。
ウェスタン・ダンスに入れあげている妻とその母親から馬鹿にされるのに嫌気がさして出ていった整備工が、田舎の自動車整備工場を買って独立しようとして、工場の向かいにあるレストラン・ホテルの女主人バルバラ(ドヌーヴ)と出会う。
タイトルのpommeというのはリンゴのことだが、同時に馬鹿、間抜け、お人よしという時にも使われる。大金を持って出てきたドゥパルデューは、ドヌーヴから金を巻き上げられるのだが、なぜかいつも親切にピンチを救ってやる。
妻の母親が仕切っている工場ではただのpommeのように扱われるのだけれど、ドヌーヴや彼女に振り回され迷惑をかけられている町の人や旅人に気前よく手助けしてしまう人の好さはまさにbonne pommeで善良な馬鹿、お人好し、というわけだ。
完全に肥満体になっているドゥパルデューのどっかり丸い体が動き回る。
非現実的なシチュエーションなのに説得力があるのはさすがの演技力だ。
「日本人のカップル」というのもホテルの客として出てくるが、へらへら笑って自撮り棒を振り回しているカリカチュアで笑えない。
笑えないと言えば、ギャグのすべてがほとんど笑えない。
『人生は長く静かな河』や『ダニエルばあちゃん』のシナリオ作家のフロランス・カンタンがシナリオと監督だから話もうまくできているに違いないと思ったのだけれど…。
市長役のギヨーム・ド・トンケデックがせっかくいい味を出しているのに、それもうまく生かされていない。
ドヌーヴとドゥパルデューを使うのがもったいないような平凡な映画だ。
ドヌーヴも随分どっしりとしているが、脚はきれいだ。
年配になっても、コミックな味や自虐的な味を出したりして、なかなかしたたかな活躍ぶりだがそれでもどこかにエレガンスを残していた。
この映画ではそのエレガンスがなくほとんど下品だ。プロとしてすごいと思うが、この映画の出来栄えの悪さに釣り合っていない。
このフランスの小さな町、いかにもありそうな町の人間模様だ。
でも、ドヌーヴとドゥパルデューが、例えば30年前の「終電車」の自分たちの姿と役柄と、子の映画での姿と役柄の差をどんな風に受けとめられるのか知りたい気がする。
テレビのニュース番組で二人がインタビューされていたのを見たが、リラックスして、和気藹々と楽しそうだった。
見ているこちらの方が、来し方を振り返って感傷的になる。