日本でもフランス料理の権威として有名なポール・ボキューズが91歳で亡くなったので、ニュースになっている。
懐石料理に影響を受けたとか言われるヌーヴェル・キュイジーヌが流行ってからも、料理に古いも新しいもない、おいしい料理かどうかだけだ、と言っていて、毎朝8h15に、朝市を見て回るのが最後まで日課だったとか。
食材に挨拶するためだったという。
おもしろいのは彼を形容するのに、フランス料理のPapeだと言われることだ。
Papeはローマ法王、教皇のこと。
日本でも業界の実力者などを「・・天皇」などと形容するのを見たことがあるが、こういう時に、「王さま」という言葉は使われない。
「王」は支配者であり、天皇やローマ教皇は、支配力を行使しないで尊敬されているというニュアンス、シンボルという感覚があるのだろうか。
ポール・ボキューズの愛称が「ムッシュー・ポール」だったこともおもしろい。
フランス語ではムッシュ-やマダムの後には姓をつけるし、親しい人にはファースト・ネームだけで呼ぶから、ファースト・ネームの前にムッシューなどとつけるのは正しくない。
特殊枠、芸人的な感じだ。
でも、ポール・ボキューズの場合は、教皇がフランシスコなど、ファースト・ネームだけで呼ばれるのも連想してしまった。
リヨンのレストランはミシュランの星の最長記録を更新していて、亡くなって空の星になったというイメージで、
「ムッシュー・ポールは、星々の間にいる」
と言われるのもほほえましい。
料理に関しては、いろいろな意味での総合芸術としての演劇心が印象的だ。
それが彼の名を一大ブランドにしたのだろう。