大ヒットした『シチィにようこそ』の続編をダニー・ブーンが作った。
あれからもう10年になるんだそうだ。
ダニー・ブーンはすっかり「ビッグ」になった。
3人目の妻とロンドンに住んでいるそうだ。
今回の 《La Ch'tite famille》(シチット・ファミリー)は、続編といっても、ノール県の方言、訛りをめぐってのフランス内異文化衝突コメディという共通点はあるものの、話はまったく別のものだ。前作が、マルセイユの男がパリをとばして北の果てに行くというシチュエーションだったのに対して今回は、パリのブルジョワ社会とノール県のプロレタリアのコントラストということで、先行上映されたノール県では、紋切り型にすぎる、馬鹿にしている、と批判の声もあったらしい。
シチィの人たちは、発音がはっきりしない訛りが強くて話が通じない。
主人公は20年前にうちを出てパリで成功し、ミラノで出会った美しいデザイナーと結婚している。世間的には、自分は孤児だと言っている。
立派な回顧展に、家族が突然やってきて、その後で妻の父親の車にはねられて17 歳以降の記憶を失ってしまった。完璧に身につけていた標準語も、ブルジョワのマナーも妻徒の出会いも忘れた。
カリカチュラルだ。
でもやはり、ダニー・ブーンはうまい。
役者もそろっているが、親子兄弟という家族をめぐる人情噺と三組の夫婦(主人公ヴァランタンとコンスタンスという成功したデザイナー夫婦、ヴァランタンの兄夫婦、老いた両親)の愛の絆に説得力があって、笑いと涙のバランスがよくとれている。
最後に父親がジョニー・アリディの歌をシチィ方言で披露する。
そういえば、ジョニー・アリディも父親がベルギー人で「北」フランスと相性がよくダニー・ブーンとも仲が良く、いっしょに映画をやる予定もあったという。