L'art de croire             竹下節子ブログ

キリスト最後の6日間

先週『キリスト最後の六日間』という、エルサレムを舞台にしたドキュメンタリーをArteで視聴した。

イギリスで人気のTVスターHugh Bonnevilleという人が、30年前はケンブリッジで神学を学んでいたそうで、エルサレムの博物館や遺跡を見て回り受難について検証する。

Gerry Hoban監督で、フランスとアイルランドの共同製作となっている。


私にとっては目新しい情報はなかったけれど、過ぎ越しの祭りの期間にしか滞在しないポンス・ピラトと神殿の大祭司の反目、その期間に普段3万人の町に30万人の巡礼者の集まるエルサレムでイエスの周りに人々が集まることの迷惑ぶりが実感として分かる。

何だか今のフランスでのテロリスト対策でテンションが高まるのとだぶる。


そして、過ぎ越し祭の昼前に神殿で正式にイエスを裁いて冒涜罪とするなど考えられないので、おそらく大祭司は、イエスに、弟子たちと共にエルサレムから即刻出ていくように命じただけだろう、ユダも、祭司たちも、願っていたのは町やイエス自身のセキュリティの確保で、ともかく出て行ってもらうことが優先だったのだという解釈も、納得できる。


それをイエスから拒否された時点で、イエスを解放して騒ぎになるよりは、セキュリティの観点から、ピラトの手に渡して処刑してもらうことを選択した。

ユダ国を統治して10年になるピラトにしたら、危険分子を排除してローマの優位を見せつけることに躊躇はなかった。福音書が形をとった時代にはすでにローマ市民のキリスト教徒がたくさんいたから、「神殺し」をユダヤの祭司に押しつけてピラト(ローマ)の罪を軽減しようと描写されたのも分かる。


しかし、まさか、ローマ帝国統治下の一部族の「公教の秩序紊乱」のユダヤ教改革者として殺された男から、その後2000年間も世界史をリードするほどの影響力を持つ大宗教が生まれて、福音書の「神殺し」のレトリックが、やはりその後2000年になっても遺恨を留める反ユダヤ主義のルーツになるなんて、お釈迦さまでもご存じなかっただろう(当然か)…。


事実は小説より奇なり、というやつだ。


しかも、そんなキリストの復活が、エルサレムから遠いところで21世紀に生きているいろいろな人々の中で繰り返されているなんて、これもくらくらする。


「キリスト教徒」だと称するすべての人が、せめて、「殺す側には絶対に回らない」という生き方によってキリストを生かし続けてくれたら、この世の争いの半分くらいは解決するような気もするが‥。






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by mariastella | 2018-04-04 00:05 | 宗教
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