今読み始めた本は非常にユニークで、すばらしいものだ。
私は、次に出す本の中で、神、金、革命の関係とイデオロギー化、偶像化について、近代以降の世界が抱え続けているジレンマの分析や問題提起をしているが、具体的な「解決策」については例を挙げていない。むしろ、失敗例を積み上げる中からあるべき形を示唆はしているが、今現在の「成功例」は、長いスパンでどうなるか分からないので書いていない。
そんな私の問いの一部に答えてくれる本が出た。
『修道経済』という、学術論文をベースにしたものだけれどわかりやすく説得力がある。
本はこういうもの。

これについての著者インタビューの10問10答の記事が分かりやすいので、これから10回に分けてそれを紹介していくことにする。
まず、本と著者について。
著者はブノワ=ジョゼフ・ポンスといって、フランスのエリートコースであるエンジニアのグランゼコールを出た後、食品ミクロ生物学の研究者として生産業に従事、その後で、薬学化学の企業トップになった。リタイアした後で、経済学と神学を学んで博士号を獲得。その博士論文がこの本のベースである。現在はリヨンのカトリック大学で教えている。
本の内容。
修道経済は代替経済の一つになり得るか?
地球のエコシステムの中で人類が最も調和的に活動していくことを視野に入れて社会全体が緩慢に少しずつ豊かになるために可能なモデルの一つとして修道経済を考えることはできないだろうか?
この本は2つの調査に依拠する。
まず、現在の修道院の創設基盤となった夥しい文書の渉猟。
次に、フランスのベネディクト会とシトー会の修道士、修道女たち20人へのインタビュー。
このインタビューの中から、エコロジーの問題の特別な面が見えてきた。
インタビュー調査は、その後、4つの軸を立てて分析される。
財産、時間、空間、他者。
修道経済のふたつの特徴は、私有財産の放棄と必要経済だ。
この2つは、今の我々に労働の意味、報酬、為政(ガバナンス)について目を開かせてくれる。
と、これだけでは分からないので、次回から著者インタビューを少しずつ訳していく。
近刊の本でも、何度も、初期キリスト教徒の原始共産制と近代の共産主義を比較した。
いわゆる東西冷戦は「自由主義経済」が「社会主義経済」に勝利した形で終わったが、その後の歯止めのない新自由主義経済が深刻な環境破壊や貧困の増大につながったことは誰でも知っている。
修道経済は、もう一つの経済活動の可能性を示唆するものだ。
ちょうど、政治と倫理学に関するヒューマニズムの分野で、
リベラル資本主義と
マルクス主義、アナーキズムとの
中間にある3つ目の道としての
「ペルソナリズム」の模索と軌を一にする。
(ここでいうペルソナリズムとはエマニュエル・ムニエが提唱したもので、最重要価値は一人一人の人格の尊重にあるとした大陸ペルソナリズムであり、アメリカのパーソナル・イデアリズムとはまったく別のものなので要注意。)
(続く)