沖縄を考える (番外)これを書いているのはフランス時間で5/15。 沖縄復帰から46年の記念日だ。 澤藤統一郎さんのブログに沖縄タイムスの記事が組み替えて引用されているのを読んだ。 ここにコピーしておく。 「復帰後生まれの人口が過半数を占め、米軍基地の形成過程を知らない人が多くなった。沖縄に基地が集中するようになったのはなぜなのか。 米軍普天間飛行場のように、《沖縄戦で住民らが収容所に入れられている間に米軍が土地を接収し基地を建設》したり、《本土から米軍が移転してきた》りしたケースがある。 在沖米軍の主力で、兵力の6割、面積の7割を占める海兵隊はもともと沖縄に存在していたわけではない。1950年代に反基地感情が高まった岐阜や山梨・静岡から米軍統治下の沖縄に移転してきたのが実態だ。 復帰後本土では基地が減ったが、沖縄の基地はほとんど変わらなかった。その結果、国土の0・6%を占めるにすぎない沖縄に米軍専用施設の7割が集中する過重負担の構造が出来上がったのである。 日米の軍事専門家らが認めているように、海兵隊が沖縄に駐留しているのは クリントン米政権下で駐日米大使を務めたモンデール元副大統領が普天間の返還交渉で、1995年の少女暴行事件で米側は海兵隊の撤退も視野に入れていたが、日本側が沖縄への駐留継続を望んだと証言している。引き留めるのはいつも日本政府である。 橋本政権下で官房長官を務めた梶山静六氏が98年、本土での反対運動を懸念し普天間の移設先は名護市辺野古以外ないと書簡に記している。本土の反発を恐れ沖縄に押し付ける論理である。 屋良朝苗主席は復帰前年の71年、「復帰措置に関する建議書」で「従来の沖縄はあまりにも国家権力や基地権力の犠牲となり手段となって利用され過ぎてきた」と指摘している。46年後の現在も何も変わっていない。 辺野古新基地ができてしまえば、半永久的に残る。普天間にはない強襲揚陸艦が接岸できる岸壁や弾薬搭載エリアが計画され、負担軽減とは逆行する。米軍の排他的管理権によって国内法が及ばない基地ができるのである。 基地が集中する沖縄で、生物多様性豊かな宝の海を埋め立て、基地を建設するのは明らかな禁じ手だ。 北朝鮮情勢が劇的に動き始めている。日本政府は東アジア情勢を俯瞰する大局観をもって、辺野古新基地建設をいったん止め、海兵隊や不平等な日米地位協定の在り方を問い返す機会にすべきである。」 先日沖縄を案内していただいた時にも、技術を要する海軍や空軍は規律も厳しく兵のレベルも高いが、最も問題を起こしやすいのが海兵隊で、辺野古の基地も、海兵隊が増えることの懸念が反対の理由の中にあるということだった。 基地の資料を読んでいくと、沖縄の人々の痛みが伝わってきてよく我慢していられるなあ、とも思うが、現実には我慢しないで声を上げ続けているのがよく分かる。 でも、フランスに戻ってきてから、シリアでの惨禍に加えて、パリのテロや、パレスティナでのイスラエル軍の暴虐などの映像ばかり見せられて、茫然としてしまう。 全てに共通するのは、大きくて強い者が一貫して、小さくて弱い者を支配し、搾取し、尊厳を踏みにじる、ということだ。 考えてみると、世にはびこる「セクハラ」でも、結局は、人類の半数以上を占めているという意味ではマイノリティなどではないはずの女性に対して、一般に男の方がフィジカルに「大きくて強い」というただそれだけの理由で女性を支配したり襲ったりする連鎖の上に成り立っている。 運動場でのいじめから、大国が小国を脅し、大量破壊兵器を持つ国が民主的手続きを無視したり破壊したりする国際関係まで、一貫して「弱肉強食」の実態がまかり通っているのだ。 宗教者が唱え続けてきた利他だとか、助け合い、連帯、共生のスローガンだとか、過去の蛮行を反省し過ちを繰り返さないという歴史の学びなど一体どこにあるのだろう。 「大きくて強い者」が自分より小さくて弱い者に仕えるという原則、強さは弱さを支えるためにだけ存在する、ということを毎日毎日、何度も何度も、一人一人が自分で唱えなくてはいけない。 笑顔は大切だと思う。 でも、ついこの前まで悪魔のように見えていた金正恩の笑顔の外交を見ると、「優しい言葉をかけるよりももっと効果的なのは、拳銃を持って優しい言葉をかけることだ」と言ったアル・カポネの言葉を思い出す。すべての「平和条約」はアル・カポネのレベルと変わらない。 何年も前から何度も何度も繰り返してリンクしているヴェイユの言葉をまた自分のためにここにリンクしておこう。
by mariastella
| 2018-05-18 01:14
| 沖縄
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