4月に日本へ行った時の機内では日本映画を3作観た。
今年のカンヌ映画祭のパルム・ドールを獲得した是枝裕和監督の2017年の作品「三度目の殺人」については前に少しコメントした。
次に観たのが『亜人』。
体も命も瞬時に再生できる新人類の話。
「死なない奴はいくら殺してもOK」というのがベースにあって、それにもてあそばれた「亜人」たちが復讐を企てる。
機内のミニ画面でないと絶対に見ないだろう、ヴァイオレンス満載の映画。
コミックが原作というので、なるほどと思わせる。
でもこれだけ特撮ぶりがよく分かる大量殺人だと、悪夢に残るほどの実感としては迫ってこない。むしろそれ以外のしっとりしたシーンが際立って見える。特に、吉行和子が人のいい労農婦の役で出ているのがわざとらしくない清涼剤のように見えてくるから不思議だ。
家族愛もあり、亜人であろうがなかろうが「人種」といっても「個人」は多様であることや、生き方を選択する自由についてなど考えさせられる。
帰りの機内では、アカデミー賞作品となった『シェイプ・オブ・ウォーター』を観たのだけれど、人間よりも優れた身体能力を持つ「怪物」が捕らわれて実験材料にされ苦しむのを、助けられて人間と心を通わせるというテーマでは共通している。
科学の名のもとにまかり通ってしまうエゴイズムや非人間性というのは普遍的だということで、どちらの作品も、特撮やストーリーの展開以外にもそれなりにしみじみ見てしまえたのが意外だった。