このブログは今は基本予約投稿ばかりなので、書いている時、話題と、アップの時間にかなりのずれができる。
でも、5月の末にようやく観に行ったマルモッタン美術館のコロ―展は、ともかく一見の価値があるので、会期中の7月8日までにパリにいる方にはぜひお勧めなので、今のうちにそのことをアップしておく。
コロ―と言えばバルビゾン派の風景画家、というイメージだけれど、その人物がシリーズがすばらしくて、その中に、私がどうしても観たいものがあって、もちろんすでにネット上ではじっくり見て、それについての記事すら書いていた。
でも、記事にするにはやはり実物を見ておかないと、と、重い腰を上げたのだけれど、その3点の絵の前に立って、衝撃を受けた。
展示室の角のコーナーで直角にかけられていて、その絵の大きさのせいもあるけれど、そこだけがまるで異空間のようなスポットになっているのだ。コロ―とその絵の世界に体ごとワープさせられる気がするほど、何かの「密度」だか「波動」だかが凝縮している。
ネットやカタログで絵を見ていろいろ論評することの傲慢さ、というより、空しさを感じてしまった。
どんな「ほんもの」でも、いったんその出会いの「場」を離れれば、「記憶」のフィールドにインプットされる。
それを「言語化」する時には「記憶」と対峙するのだから、本物でも画集でも「脳内再構成」のアートを養うという意味ではそう変わらないとまで思う時もあった。
音楽だって、自分が弾く曲にしても、毎回異なるわけで、その度のライブの体験が層をなして脳内イメージが形成される。固定したものはない。変化したり進化したりする。
そのような「経験知」を揺さぶるほどの「ほんもの」の強度に驚いた。
で、その絵については後日アップするけれど、ここではともかく、可能なら今、ぜひ、マルモッタン美術館へどうぞ、というお勧めだけひとまずアップ。
メトロのミュエットで降りるとラネラグの公園があって、そこには一目でラ・フォンテーヌだと分かる銅像がある。
キツネとカラスの寓話がモティーフ。
この美術館にはいわゆる美術館カフェはないけれど、帰りには昔の駅を利用したミュエットの「ラ・ガール(La Gare)というレストランで食事できる。
ここに来るのは久しぶりだったけれど、初夏のいい天気で、昔のレールがあった場所のテラスで食事した。周りより低いので通りの喧騒もなく完全に囲まれた空間なので、落ち着けるし安心できる。大きな声では言えないが、ラマダンの期間中の今、パリの普通のテラスで食事をするのはテロのリスクが気になって避けたいからだ。
昼のコースのデザートのチーズケーキについてきたベリーソースの「ト音記号」がまったく逆向きっていうのには興をそがれるけれど。
ト音記号がG(ソ)の位置の記号で、Gの筆記体からできたことを知っていればこういうカーブの間違いはあり得ないのだけれど。
そういえばマルモッタン美術館は、今はフランス美術アカデミーの本拠地なので、アカデミー会員が創らせる「剣」の展示があったけれど、音楽評論家でもあったジョルジュ・デュアメルの剣の束はト音記号のデザインだった。