L'art de croire             竹下節子ブログ

ワールドカップのロシア大会

6/21の夏至の日に行われたロシアのサッカー・ワールドカップでのフランスとペルー戦について、スタジアムの大半が赤い色のペルーのサポーターで埋め尽くされていたのに、フランスのサポーターはちらほらにしか見えないことについていろいろ解説されていた。フランス・チームはペルーの国歌斉唱の時も圧倒されていたという。

ロシアに行って滞在するのは費用が掛かるからフランス人はあまり行かないのだそうだ。


で、ワールドカップに外国から来る人たちのうちで一番多いのは、なんと、自国のチームが予選落ちしていて出ていないアメリカ人なのだそうだ。

アメリカと言えばベースボールにバスケットボールにアメリカンフットボールだから、サッカーのレベルが今一つだというのは理解できるけれど、競技としてのワールドカップを楽しみたい人は多いらしい。そして、やはり、金があるんだろうなと思う。

ドイツ人も多い。前回優勝の強豪国で金もありロシアにも比較的近いから分かる。


でもペルーなどの中南米の国からそんなに大挙して押しかけることができるのはなぜだろう。一体だれが金を出しているのだろう。それとも4年に一度の大会のために必死で積み立てているのだろうか。

距離的に言っても、フランスやドイツやイングランドなどからロシアに行くよりもずっと大変なのに。

今回初めて全試合が無料テレビで放映されるというイタリアは、皮肉なことに欧州予選落ちしているからみんなで盛り上がって観戦というのはなくて、カフェなどのテレビ観戦している人は肩身が狭いこともあるそうだ。

欧米から経済制裁されているロシアで存在感を増す中国企業の漢字広告がスタジアムで映る中国も出場していない。

ワールドカップを本当に支えているのは愛国心とは別の次元の「金の論理」で、「愛国心」はマーケティングの一つのアイテムということなのだろう。

それにしても、ナイジェリアやセネガルなど、経済難民がたくさん出るようなアフリカの国と、難民に厳しいポーランドのような国や、サウジアラビアとイランなど、普通なら絶対に「対等に向かい合う」などと言うことはあり得ないような国々が出会い、サポーターが国旗を振っているシーンはなんだか非現実的だ。

オリンピックでも国別のメダル争いなどが話題になるけれど、サッカーのワールドカップというのはなんだかもろに「世界大戦」であるかのような愛国ワードがとびかうので、フィクションみたいだ。


そういえば、日本で韓国ヘイトの言説が堂々と目に見えるきっかけになったのが2002年の日韓共催ワールドカップ以来だという話を最近読んだことがある。フィクションもヘイトの種になるのだ。


フランスのナショナルチームは相変わらず黒人選手が活躍して彼らの姿がメディアによく出るのはよかったなあと思う。

2015年のパリのテロで実行犯の逃走劇があった時は、黒人テロリストの兄弟の顔写真がずっとTV画面にアップされっぱなしで、同名の人や黒人は肩身が狭かったと思うからだ。

(私はこういうテロや犯罪の時に画面にアップされ続けるのがもし東洋人の顔だったら、しかも自分と同じ姓だったら、などと想像してしまうタイプなのだ。しかも、マジョリティの白人系フランス人たちからは、知り合いでもない「黒人の顔」とか「東洋人の顔」は、「個人」でなく「カテゴリー」に見えてしまうからなおさらだ。)


今は一番露出度の高い黒人の姿がサッカーのスター選手たちだからイメージアップでほっとする。それに、フランス・チームが勝ち進むといつものことながら、町の機嫌がよくなってリラックスするのはいい。


20年前に自国で優勝したワールドカップを回顧する特集があちこちで見られる。

当時のキャプテンが今の監督で、当時のスター選手もレアル・マドリードの監督としてチャンピォンズ・リーグ三連勝の記録を達成したばかりだから、「栄光の過去」は存在感を増しているのだ。


それでも、20年前とは決定的に、何かが、変わった。


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by mariastella | 2018-06-30 00:05 | 雑感
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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