オセールのサン・ジェルマン修道院の聖堂。

ここはその地下聖堂が何といっても圧巻だ。
地形そのものが崖のようになっているから建物の構造も複雑で、9世紀から15世紀くらいに少しずつ広がった地下墳墓がまさに地下聖堂の観を呈している。
普通は代々の司教はカテドラル(司教座聖堂)に安置されるのに、オセールの司教たちはカテドラルでなくこの修道院の聖堂地下に安置された。そのせいでどんどん広げられた。
しかも、20世紀になってから発見されたフレスコ画が残っていて、「インディアナ・ジョーンズみたいだったんですよ」とガイドの女性がいうくらい、劇的だったそうだ。司教から司教への教えの継承のシンボル化が非常に興味深い。もちろん写真撮影禁止なので「地下教会」の雰囲気はこの絵葉書の写真で。
上の聖堂には現代彫刻展も。
これはサン・ドニ像(15世紀)。 彩色がよく残っている。
切り落された自分の首を持って、モンマルトル(殉教者の丘)まですたすた歩いて行ったというパリの殉教聖人。この像は味がある。
地下墳墓の石棺が上から見える場所もある。


このガルグイユも悪くない。

修道院の住居部分は美術館になっていて、今は「女性とアート」がテーマだった。無料。

「彼女たちも--女性で芸術家 1850-1930」
女性が絵を描くアトリエ。
伝統的なジェンダー・バイアスの問題なども解説され、なかなか充実。
女性アーティストの作品群も展示されている。
19世紀後半のリュシ―・シニョレ=ルディユ―の糸巻き少女(ディジョン美術館提供)の表情は胸に迫るものがある。
同時代のヴィルジニ―・ドゥモン=ブルトンのこの「イスマエル」の大作も迫力があった。
イスマエル(イシュマエル)というのは、アブラハムの最初の息子で、アラブ人の祖先とされる。後継ぎができないまま年を重ねた妻のサラが、自分の女奴隷であるエジプト人ハガルをすでに86歳だった夫の側女にして生まれるたのがイシュマエルだ。けれど、アブラハム99歳の時にサラは奇跡的にイサクを身ごもり、まあ、いろいろあって、アガルとイシュマエルは荒れ野に追放されてしまう。子供の泣き声を聞きつけたに神が井戸を与えて助けた。
このストーリーによってユダヤ教、キリスト教、イスラム教は「アブラハムの宗教」として「兄弟関係」にあるとされる。最初から理不尽な展開だ。
この母子をテーマとする絵はたくさん描かれてきたけれど、はじめて目にする女性画家のこの絵は迫力がある。
前にマルモッタン美術館の記事で書いたモリゾーの絵ももちろんあった。
美術によって自由を求めフェミニズムの嚆矢となった女性たちのアートへのアプローチは興味深い。