ロマン・ロランの家は、近代美術館になっている。
広い。ヴェズレーは崖地なのでどの家も高低の構造が複雑だ。
書斎も残る。
小高い庭の部分もある。 屋根裏も展示室になっている。
ピカソの部屋が充実している。
1957年作の横顔のデッサンのモデルとなったジャクリーヌが、
1962年のリノカットではこんな感じに変容した。
そのピカソの友でもあったハンス・アルトゥング展も興味深い。
抽象画は退廃的、堕落した芸術だと糾弾されたナチス・ドイツを離れてフランスにやってきた。
ピカソやカンディンスキーに影響を受けた。
抽象画が主だけれど、彼には、1940年頃に描いた、まるでメッサーシュミットみたいな「顔」のシリーズがある。
横顔ばかりで、コンテ、油、パステル、グアッシユなど、いろいろなもので試みたものが80-90点くらいあるという。舌を出しているものが多く、怒りや不安などネガティヴな感情の表出だが、強烈だ。
こういう「連作」モノを前にする時にだけ、全体からしみ出してくる「情報」というものがある。
ヴェズレーでそういうものに遭遇するとは思ってもみなかった。