先週、新シーズン初めての室内楽の練習に行った。
スカルラッティのシンフォニアと、年度末に上演計画しているオッフェンバックのオペレッタ「Le Violoneux」を始めた。この記事を書こうと思ってタイトルを知るために日本語ネットで少し検索したけれど、この作品(一幕もの、1855年)は見つからなかった。1855 年には6作も発表している。
Violoneuxとは、Violonisteより格が下がり、世紀の教育を受けずに民謡などを弾く「ヴァイオリン弾き」という感じだろうか。今調べたら、英語ではviolonistに対してfiddler という言葉があるそうだ。
そういえば、ミュージカルの『屋根の上のバイオリン弾き』の原題は「Fiddler on the Roof」だった。
「バイオリニスト」は屋根の上では弾かないのだ。
いつもながら、オッフェンバックのオペレッタを弾くと、古臭いのと愉快で陽気でノスタルジックなのが混然一体となって鼻歌を歌いたくなる。歌手やオーケストラを少しずつ足していくが、それは万聖節休みの後になるだろう。
実は、いつものメンバーの一人が休んだ。
この夏、ブルターニュの別荘に行っていて、元気で泳いでもいたのだけれど、連れ合いが突然倒れて入院し、そのまま2週間集中治療室にいたけれど亡くなったのだ。彼女は抗がん剤の錠剤を飲んでいた。
病院で検査すると、血小板がほとんどゼロの状態だったそうで、どうしても正常に戻らなかった。
意識はずっとはっきりしていて、亡くなる前の日も、クロスワードパズルの回答を娘と一緒に考えていたという。
彼女は、私たちのほとんどすべてのコンサートに来てくれた。2007年の宇高会の能の公演にも、2011年の東日本大震災のチャリティコンサートにも、私が招待した日本文化会館の『夕鶴』にも。
現役時代は生物の高校教師で、穏やかで、謙虚で、音楽のアグレガシオンと楽器教授の国家資格を持つ二人の娘と、パリ市の役人でありながらバス歌手とヴァイオリニストの活動もずっと続けてきた夫をずっと支えてきた。
トリオは来年のパリのコンサートのプログラムを練習し始めている。
こちらは順調。
バロックバレーは、カンプラの『L'Europe galante』からトルコ人の踊りだ。
キャラクターダンスだ。実はすごく長くて難しい。最初の部分は男性が女性の前でアクロバティックで力強いところを固持するような振付なので、アントルシャ6なども入って大変だ。
これは全13枚の振り付け譜の最初の2枚。この部分を頭に入れるだけでも毎日譜を眺める必要がある。
このオペラ・バレエは、ヨーロッパとして、フランス、スペイン、ベニスに続いてトルコが出てくるのだ。トルコがEU加盟を望んでいた時にはこういうところを強調すればよかったのに。
それにしても、この楽譜の部分を見てもらうと分かるが、二分音符ふたつから始まるフレーズは5小節、4小節、4小節となって、また5-4-4となる。それに対応するステップの連なりがまた超バロック的だ。